表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/42

第022話 回復魔法が使えない女僧侶 その1

えっと、真面目な話が結構続きますが、よろしくお願いします。

今より1年と少し前の事。


エルフの王都よりスレイブ侯国のオアシス都市ランスに向かう一台の馬車があり、二人のエルフの女性が乗っていた。


一人は王位継承権第三位を持つエリス、もう一人はその姪で王位継承権第十三位のリリスであった。


「あぁ、もうすぐシルバ様とご一緒にパーティを組めますのね」

「ありがとうございます。伯母上」


「あ………うん。それはもう何度も聞いておるし、もうええぞ?」


期待に胸をふくらませる‥‥‥といってもそれほどの胸を持たないが、リリスは将来への期待に胸をふくらませていた。


一方、エリスはといえば、あまり乗り気ではなかった。

何故なら、今回の一件のおぜん立てをしたのはエリスであったが、シルバの目的はリリスではなく自分にあることを知っていたからである。


………………………………………………。


スレイブ侯国オアシス都市ランス。


スレイブ侯国は、アストライア大陸の中央に位置するオアシス連邦を構成する国の一つで、国土の大半が不毛の荒野と砂漠で覆われた小国であるが、オアシスと呼ばれる自然豊かな土地が点在しており、少数ながらも独自の文化を形成していた。


そんな小国に転機が訪れた。

首都ランスで古代に建造されたと思しきダンジョンが発見されたのである。


この事は瞬く間に世界中を駆け巡り、大陸の国々から冒険者が集い賑わいを見せるようになった。


エリスとリリスが向かう先のシルバもまた、その冒険者の一人であり、エルフの若手貴族随一の 騎士(ナイト)と称される男であった。


「この度は助力頂き誠にありがとうございます」


シルバはそう言うと、エリスの両手を包み込むように持ち膝を曲げ地に付けて礼をした。


「そのような堅っ苦しい挨拶は良い。そんなことより………」


エリスは、チラッとリリスの方に視線を向ける。

彼女の意図を汲んだシルバは立ち上がると、今度はリリスの手を取ってお礼を述べたのであった。


「わたくしも頑張らせていただきます!」


「ははは。今からそんなに張り切らなくてもいいよ」

「少しずつ成長していけばいいから」


「はい!頑張ります!」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。


「………というわけです」


ギルドに併設された食堂で、シルバはエリスとリリスにこの地のダンジョンについて説明をする。


「ふむぅ………ダンジョンで死んだ者は蘇生出来ぬのか………」


シルバの説明に、エリスは眉をひそめた。

無理もない、エリス自身はかつて冒険者として世界各地に赴いた経験もあり実力もあったが、リリスは今回が初めてである。


「伯母上、わたくし頑張りますわ!」


ふんすと鼻息を鳴らしながらリリスはエリスに迫る。

その気迫に押されながら、エリスは話を続けた。


「で…そこで前衛職(アタッカー)回復職(ヒーラー)を失ったと………」


「では、わたくしが回復職(ヒーラー)をやりますわ!」


リリスは勢いよく立ち上がる。


「そう言って貰えると助かるよ。期待している」


「はいっ!シルバ様」


こうしてリリスは 女僧侶(プリーステス)として冒険者をスタートしたのであった。


お読みいただき、誠にありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ