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第002話 ごちゃまぜパーティ

ハイファンタジーのような、壮大なストーリー展開は一切起きない…予定…です。

よろしくお願いします。

「シロウ!!!説明なさい!!!」


リリスは、そう言ってシロウの襟首を掴み前後に激しく揺らした。

無理もない話であった。


何故なら、席に座っていたのはシロウの幼なじみの女戦士(アマゾネス)だけでなく、まだ成人していないであろう少年と少女の二人が居たからである。


「小娘だけじゃないじゃない!!!わたくしたちを騙したの!?ねぇ!!!答えなさいよぉ!!!」


鬼のような形相でシロウに食い掛っていたリリスであったが、程なく血の気が失ったような表情に変わった。


「はっ!?…まさか……そこの小娘たちをパーティに入れた後、わたくしたちを追い出す気なんじゃ………」


襟首を掴んでいた手を離すと、リリスは首を垂れ(ひざまず)き、両手を床に付けて四つん這いになった。


「なんじゃと!?シロウ!それは本当なのかや!?」


背の低いエリスは背伸びをしながら、シロウの襟首を掴んで微妙に前後に揺らした。


「いや、だから二人とも話を聞いてくれって………」




そして、それから数分後。




「なんじゃ、そういう事なら、そうと先に言わんか」


「そうですわ。人騒がせにもほどがありますわ」


すっかりと気を取り直した二人は言う。


「聞く耳持たなかったのは、二人じゃないか………まぁ、いいや」


シロウは、頭を掻きながら話を続けた。


「それじゃあ、紹介がてらみんな冒険者カードを出してくれ」


シロウの言葉に、全員が冒険者カードをテーブルの上に置く。


エリスとリリスは、シロウの幼なじみで彼と同じく性格属性が中立である女戦士(アマゾネス)オフィーリアのカードをスルーして、少年と少女のカードを手元に持って来て眺めた。

代わりに、少年と少女はオフィーリアのカードを眺めている。


「ちょっと!シロウ!この子達、性格属性が『善』じゃないの!!!」


リリスは顔を紅潮させてシロウに吠える。


「え?別にいいじゃん。昔じゃないんだから『善悪』が同じパーティを組んでもさ」


そう、エリスとリリスの二人は性格属性が『悪』なのだ。

ちなみに補足すると、悪と言っても悪党という意味ではなく、自分本位な考え方をするという程度である。


「良くないわよ!いざという時に連携に支障が出るでしょ!」


リリスは席を立ち、キッとシロウを睨みながら再び吠えた。


「そうじゃぞシロウ。それに、この小僧と小娘、冒険者になったばかりではないか」


一方、エリスは席にちょこんと座り、腕を組みながら視線を少年と少女に向けながら言う。

だが、二人の非難を他所にシロウは笑顔でこう言った。


「そう!そうなんだよ!今朝、散歩してたらさ、馬小屋で寝泊まりしてるマコトくんとサーシャくんを見かけてさ」

「聞いてみれば、最近町に着いて冒険者になったばかりだって言うじゃないか」

「しかも、二人とも戦士なんだぜ!」

「そう。つまり、なんと!一気に戦士(前衛職)が3人も加入することになるんだ。やったぜ!」


シロウは、エリスとリリスに親指を立てながら得意顔(ドヤがお)を決めた。


「そんな『ウザッ』みたいな顔しないでくれよ………」




それから10分ほど経った。




6人パーティが出来上がり、みな和気藹々と話が盛り上がる‥‥‥なんてことも無く。


「ダメじゃ。小娘(オフィーリア)はともかく、そこの小僧(マコト)小娘(サーシャ)をパーティに入れる事には、わしは反対じゃ」


「伯母上の言われるとおりですわ。属性が中立の小娘(オフィーリア)はともかく、この二人は属性が善じゃない。わたくしも反対ですわ」


シロウの説得も虚しく、エリスとリリスは一向に首を縦に振らなかった。

そんな中、当事者のマコトとサーシャの二人は、エリスとリリスの冒険者カードを眺めていた。


「ぷっ。マコト、見てみて。エリスさんって1024歳なんですって。ロリババじゃん。しかも、見て見て、信仰が自然神オチ●ポ様ってなってるわよ。プークスクスクス」


「サーシャ、そんなこと言ったら失礼だよ………それに信仰神の名前…」


マコトが言い終わるより早く、エリスは机を両手でバンと叩きながら鬼の形相で立ち上がった。


「誰がロリババじゃ!それにオ●ンポではない!オジンボじゃ!オ・ジ・ン・ボ!!!」


「まぁまぁ、伯母上。あのような小娘相手にムキになっても仕方ありませんわ」


エリスとは違い余裕を見せるリリスであったが、それも直ぐに崩壊することになる。


「リリスさんのも見てよ、136歳ですって。あの見た目で既にババ様じゃない。プークスクスクス。しかも信仰する神が真愛神エミリアですって……あ、まぁこれは普通か。普通過ぎてつまらないわね」


「だから、サーシャ言い過ぎだよ………」


「何ですって!!!この小娘ぇ!!!」




‥‥‥それから、更に10分が過ぎ去った。




「何度言おうが、嫌じゃ!」


「わたくしも嫌ですわ!」


テーブルには既に食事が並び、パーティは遅めの朝食をとっていた。

エリスはシチウにつけたパンを頬張りながら、リリスはシチウをスプーンで口に運びながら、相も変わらず拒否し続けていた。


その一方で、オフィーリアとマコト、サーシャは完全に打ち解けて和気藹々と食事を楽しんでいる。


それは、結局、食事が終わっても二人の心は変わらなかった。

業を煮やしたシロウは立ち上がる。


「しかたないな」


「おう、分かってくれたかシロウ」


「伯母上。わたくしたちの勝利ですわ」


エリスとリリスの得意顔(ドヤがお)を他所に、シロウは口を開く。


「じゃ、一旦パーティを解散するか」


「なっ!何じゃと!!!」


「何ですって!!!」


「だって、しょうがないだろ。二人(マコトとサーシャ)を誘ったのは俺だし、駄目だったから彼らだけ『はい、サヨウナラ』とはいかないだろ?」

「その責任を取らなければいけない。だったら、パーティ全体を解散するほかない」


苦渋の表情を浮かべながらシロウは言う。


「まっ!待て、シロウ!………そうじゃ!なんか突然、気が変わったわい」


「そ…そうですわね。わたくしも突然、気が変わりましたわ」


「おおっ!じゃあ、受け入れてくれるんだな」


「う……うむ………まぁの………」


「まぁ………仕方ありませんわ………」


二人の答えに、シロウはニヤリとほくそ笑んだ。

だが、またしてもエリスとリリスは視線をそらしていた為、気付くことは無かった。


「よっし、明日から6人で頑張るぞー」


シロウは拳を思いっきり振り上げ、それに応じてオフィーリアとマコト、サーシャの三人はそれなりに拳を振り上げ、エリスとリリスは落胆した表情を浮かべながらほんのりと拳を上げたのであった。

お読みいただき、誠にありがとうございました。

次回もよろしくお願いします。

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