第018話 エリスも転職した
ハイファンタジーのような、壮大なストーリー展開は一切起きない…予定…です。
よろしくお願いします。
「ほら、ちゃんと転職してきたわよ」
そう言って、シロウ達の下へとやってきたサーシャは新しい冒険者カードに記された『女魔術師』の箇所を指差した。
「見ておったから分かっておるわい」
「えー、文字まで見えたわけじゃないでしょ」
「見えとったぞ。なんせわしは視力７あるしの」
「うそっ！？千歳越えのおばあちゃんなのに！？」
サーシャは『うわっ！？私の年収低すぎっ！？……』みたいな表情を浮かべながら両手を口にあてがった。
「おばあちゃんではない。エルフの中には万を生きる者もおる」
「わしはまだひよっこの小娘じゃ」
両手を腰に、ほぼ存在しない胸を張り、二つの突起物をわずかに見せながらエリスは得意顔を決めた。
「いや、人間からしたら仙人レベルなんだけど……」
サーシャは困惑しながら、そう言った。
「万を生きる……か………」
そんな二人を他所にシロウは、手を顎に当てて呟く。
「どうしたの？シロウ？」
「いや……何でもないよ、フィー」
「…………」
首を傾げながら訊くオフィーリアにシロウはそう答え、リリスは無言でただ見つめていた。
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十数分ほど過ぎ、ようやく窓口はエリスの番となった。
「エリス様、本日はどのようなご用件でしょうか？」
「うむ。転職をしに来た」
エリスは、そう言うと冒険者カードをアリアに向けた。
「え"っ！？エリスさんも転職されるんですか！？」
胸の巨大マシュマロをぼよんぼよんと上下に揺らしながら、驚いた表情でエリス…そして隣にいるシロウに視線を向けた。
「いやぁ、色々あってね。そういう流れになったんだよ」
頭を掻きながらシロウは答える。
「あぁ…それで………」
「コホン……それではエリス様。ご希望の転職先ですが……」
「女騎士で頼む」
胸の二つの突起物が僅かに見えるほど胸を張り、ふんすと鼻息を鳴らしながらエリスは得意顔を決めた。
「やはり、既に決められていたんですね。……それでは、こちらの用紙にご記入願います」
アリアは『 騎士・女騎士転職請求書』を両手で手渡し、エリスも当然のように読みもせずにサインをしたのだった。
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場は再びギルド併設の食堂。
「おーっ！！！凄い！！！女騎士になってる！！！」
サーシャは、エリスの冒険者カードの職業欄を凝視しながら驚きの表情をする。
「あーあ。本当は私がなりたかったのにぃ」
と、次の瞬間、サーシャは口を大きく開けて天を仰いだ。
「まぁ、人には適材適所っていうのがあるからね」
「サーシャは知性が高い女魔術師が最適だったってだけだよ」
マコトは、そう言ってサーシャの肩にポンと手を置いた。
そして、慰めた途端。
「そうよね！絶大なる知性を持った私には女魔術師が最適よね！」
と、鼻息を大きく鳴らしながら得意顔に変わった。
「こやつ、本当に知性高いんかのぅ」
「伯母上の言われるとおりですわ。ただのお馬鹿にしか見えませんわ」
エリスとリリスは、率直な感想を述べた。
「ま、ともあれ二人とも転職したんだ。今から装備を揃えに行こうか」
シロウはそう言って立ちあがり、異議なしと全員立ち上がったのであった。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。
