第014話 ゴブリン討伐
ハイファンタジーのような、壮大なストーリー展開は一切起きない…予定…です。
よろしくお願いします。
パーティ一行は、町の郊外より更に外にある農村地域にやって来た。
家屋はポツンポツンと点在しているだけで、大半は農地か森など自然が広がっているだけである。
そんな農村地域では、春になると植えた作物を荒らすゴブリンが出現する。
作物が育ちたわわに実った果実も好む種族であるが、春になったばかりの頃にひょっこりと顔を出し始める柔らかく甘い植物の若芽も好んで食べるのだ。
「こんのっ!!!………っ!……‥‥また外したっ!?」
のどかな農地で、サーシャの声が木霊する。
「ゲケケケケケケケ」
サーシャの攻撃をかわしたゴブリンは、彼女の攻撃範囲外から指を差してゲラゲラと笑う。
「ぐぬぬぬぬぬぬぅっ!!!」
馬鹿にされたサーシャは、再びゴブリンに突進し縦一閃に剣を振るうが、また外す。
そして、再びゴブリンに馬鹿にされるのだった。
「あやつ、相変わらず猪突猛進じゃのぅ」
そう感想を述べたのは貧乳ロリエルフのエリス。
「シロウ。あの小娘、戦士に向いてませんわ」
これはエリスの姪でシロウの左隣にいるリリス。
「いやぁ…一応戦い方はフィーと一緒に、何度か教えたんだけどなぁ………」
頭を掻きながらシロウは答える。
なお、フィーというのはシロウの幼なじみで彼の右隣にいるオフィーリアの事であり、その名前が出た瞬間、オフィーリアは慌てたように手をわきわきとさせた。
彼女の名前が出た瞬間、リリスの睨んだ顔が目に入って来たからである。
「現に、一緒に教えたマコト君なんか………」
シロウの言葉に、四人はマコトに視線を向ける。
マコトは三匹のゴブリンに囲まれながらも、足さばきで一体を転ばせ、その隙を付いて攻撃してきたもう一体の剣を受け止め押し返す。
そして、もう一体が攻撃してきたところを見事に切り伏せ残り二体となった。
こんな感じで、既に7体は倒している。
一方、サーシャと言えば未だに一匹のゴブリンに手こずっていた。
そんな彼女の背後に一匹のゴブリンが迫り、後ろから攻撃を仕掛けたところで。
「聖石」
エリスの放った聖魔法攻撃でタゲが彼女から離れ、エリスに突進してきたところをオフィーリアが止めを刺した。
「自分が背後から攻撃されかかったことすら気付いておらん」
エリスはため息交じりに言う。
パーティに二人が加わって以降、マコトとサーシャのレベル差は開く一方で、マコトが既に7に到達しているにも関わらず、サーシャは相変わらず3のまま。
結局、サーシャは一匹もゴブリンを倒せないまま、ゴブリン討伐は終わったのであった。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。




