第013話 ゴブリンか!?
ハイファンタジーのような、壮大なストーリー展開は一切起きない…予定…です。
よろしくお願いします。
ギルドの一角にある掲示板。
ここには、ほぼ全ての依頼が壁一面張られている。
「うーん……そろそろ、行けるかな」
パーティのリーダーであるシロウは、一枚の依頼書を手に取る。
その行動をいち早く見つけたサーシャは、彼に近寄って依頼書をのぞき込み、シロウの顔をマジマジと眺めたあと口を開いた。
「ゴブリンか!?」
いつものような可愛らしい声ではなく、兜でも被っているかのようなダミ声で。
「え!?どうしたんだい?サーシャ君……。風邪でも引いたのかい?」
「いや、何となく」
今度は普通のいつも通りの声で、サーシャは答えた。
「シロウさん、気にしないで下さい。サーシャはゴブリンと聞くと、そういう声を出すんですよ」
そう言って二人の前に現れたマコトは言う。
間違っても元の世界で見たアニメが原因だとは言えない。
そんな事を思いながら‥‥‥。
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‥‥‥。
ギルド併設の食堂のテーブル。
パーティ全員集まり、食事が来る前の話し合いが始まった。
「まぁ、そろそろ、ええじゃろう」
そう答えたのは、パーティで最年長の合法ロリエルフのエリス。
「わたくしも別に反対はありませんわ」
「そうですね。ボクも大丈夫だと思うよ」
続けて、貧乳エルフのリリスと爆乳女戦士のオフィーリア。
「えぇ!?ちょっと待ってみんな」
そう言って立ち上がったのは、サーシャであった。
「ゴブリンだよ?ゴブリン」
「あの、女性を拉致してはいやらしい事をするという、有名なゴブリンだよ!?」
「洞窟に連れ去られたら最後、ドエロい事されて苗床になるんだよ?」
身振り手振りでサーシャは熱弁を振るう。
「お主は何を言っておるんじゃ?」
「そうですわ。何と勘違いしてるのか知りませんけど、ゴブリンはそんな魔物ではありませんわ」
エリスとリリスは言い、それにオフィーリアとシロウも頷いた。
「あれぇ?」
一人素っ頓狂な声を上げたサーシャの腕を、マコトはちょんちょんと指で叩いた。
「なに?マコっちゃん?」
サーシャは、マコトの手招きに応じ、自身の耳をマコトに向けた。
「あの設定は日本限定のゴブリン像だから………」
「え!?マジで!?何で日本だけ、そんな感じになったの?」
「さぁ………」
「どうしたんじゃ、二人して」
訝し気にエリスは二人に言う。
「いえ……ちょっとサーシャが誤解してたようなので、その説明をしていただけで」
「うん。そうそう。誤解してたー」
マコトに続いて、サーシャは若干棒読みな言葉を発した後、静かに座った。
そして、丁度サーシャが座ったところで、料理が届いた。
「お待たせにゃ」
そう言って給仕兼任のギルド職員であるカチューシャは、頭の上、両手、尻尾の先で持って来ていた料理を器用にテーブルの上に乗せていく。
「何かあったのにゃ?」
サーシャの一件を見てたのか、カチューシャはそう訊いてきた。
「特に何も無いよ。ちょっと議論が白熱しちゃってね」
シロウは答える。
「それは良いにゃけど、騒がしくし過ぎるとメドーサの石化食らうから注意するにゃよ」
カチューシャは、そう言って同様に給仕兼任のメドーサの方に目をやった。
それと同時に、皆の目に石化した冒険者の姿が映る。
バカ騒ぎをして笑っている最中に石化を受けたのか、石化を受けて喜んでいるのかは謎であるが。
「まぁ、それが目当てでわざと騒がしくする馬鹿もいるけどにゃ」
「んじゃ、ごゆっくりにゃ」
そう言うと、カチューシャは給仕の仕事へと戻っていった。
ともかく次の日、パーティ一行はゴブリン退治に向かう事になったのである。
お読みいただき、誠にありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。




