紫陽花の空
蒸し暑い。
雨が降っては止み、降っては止み。
その繰り返し。
肌に纏うようにジメッとした空気が気分も憂鬱にする。
元々落ち込んでいるから、気分がよくないのか?
それとも憂鬱な気候が心も引っ張っているのか?
どちらでもいいけど。
夕方。
夕食の用意で台所に立つ。
流しの上、網戸の向こうから僅かに心地好い風が吹いた。
顔を上げれば、降っていた雨が静かになっていく。
くすんだ網戸と細くなった雨の向こう。
黒く厚い雲に橙が覗いていた。
空が流れ景色が変わっていく。
黒の間が広がり、紫陽花の空が覗く。
光の柱が射し、美しい空模様をつくりだす。
くすんだ憂鬱な世界に、優しい光の色が交じる。
気分も、少し晴れた、そんな夕暮れ。