望んだのは自分、選んだのも自分、全て自分が行った結果が現実だった
誰からも必要とされないんだと、期待に沿えないんだと実感した時、この世に生まれる理由を失った。
母は「勉強しなさい」という。
だから勉強する。でも理解が出来ない。何も解らない。
低い点数を取ると、殺意の籠った目が攻撃してくる。心は抉り取られる様な感覚になる。
先生は「何で出来ないの?」と言う。
文武共に、百点満点中ゼロ点近い。
零点を量産すると蔑んだ目が上から現れる。
母は言葉で父は行動で暴力を振るう。
クラスメイトは嘲笑う。友達など一人もいない。作ったことがない。
だって、親御さんたちが自分と関われば駄目になるというから。
関われない。
勇気を出して一歩目と、挨拶しても侮蔑の目を向けられる。
何をしても何をしなくても、僕は人を不愉快にさせてしまう。
虐めを我慢しても彼らはスッキリした顔をしない。
だったら、死ねば皆快楽を得られるんだろうか。
何時しか学校に行かなくなった。
父からは殴られ、母からは言葉をぶつけられる毎日だ。
けれどそんな僕に唯一の友達が出来た。
幻聴と言われればそれまで、でも僕にとってはそれが唯一の安住だった。
「学校嫌だよなぁ」「クズだよなぁ!あいつら!」「自分勝手でさぁ!!」「消えればいいのにな!」「何もしてないじゃん!君!」
唯一、いや、多くの何かだ。
毎日語り掛けて来る。
自分を分かってくれる、味方してくれる存在。
でも、死にたいという気持ちは消えない。ここ以外僕に居場所はないから。
「じゃあ、俺に体をくれ!」「俺達がお前の居場所を作ってやるよ!」
ある日、『なにか』がそう提案をしてきた。
嬉しそうな声だった。自分も心が温まる。
この『なにか』が体を活かしてくれるなら、もっと世界を広げてくれるなら断る理由はないと思った。
だから『なにか』に体を与えた。
勝手に動く体。自分はただ体の中で心という形で存在しているだけ。
何も出来ない。
そこでやっと理解した。
「ああ、これは、俺だ。ずっと心に合った淀んだ俺だ。俺が作り上げた真っ黒だ。俺は俺の作り上げた憎悪と対話していたんだ。それが神に見えていたんだ」
結局、溜め込んだのも、反抗しなかったのも、挨拶を諦めたのも、結局自分で選んだ道だった。
憎んだのも、神様と奉ったのも、全て、自分の選択した道だ。
まあ、いいや。
選んだんだから。望んだんだから。
自分が憎悪に塗れる人間になれるように。
人に嫌われても仕様がないよね。
でも、勉強は?
自分でやって出来なかったじゃないか。理解が追い付かなかったんじゃないか。
いや、結局理解を諦めた自分の選択か……。
「良いじゃないか。勉強なんて。理解したくなかったんだろうしな。それが全て正しいなんて、勝手に作った式なんて、理由なんて、形なんていう、人が勝手に作った様に取り繕ったものを。根本も知らない癖になぁ。でもま、それが社会だよな。そうやって成り立っているんだから、人は喜んでいるんだからいいか。どうでもな」
何か間違っていると思う自分がいた。