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序章:型作り  作者: gleaner
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化物と怪物と人間は同意義

君は誰、僕は人間だ。

誰かが言った。

「人間はね。怒りで人の肉体も物体も傷つけないし、苦しみで人を病気にはさせないし、憎悪じゃ人を殺せないんだよ」

君は人じゃない、化け物であると。

僕は日も当たらない牢獄で鎖に繋がれ、鞭打ちを受ける。

「君が存在する事、それ自体が脅威なんだ。君の選択一つが、感情一つが人を壊す、化け物なんだよ」

これは感情を表に出さない為の躾だと言う。

なんで看守は笑顔なのだろう……。感情のまま、鞭を振うんだろう。

僕は怒っちゃいけない。感情を出しちゃいけない。

出せばまた、物を破壊し、人を消滅させてしまう。

(あれ?)

可笑しい。

感情さえ無ければ君だって立派な人間だ。そう言われた。

(え?)

分からなくなった。

感情が無ければ人型ロボット同然だ。

人の形をした生物が人を名乗るのが当然?

じゃあ、僕は最初から人間じゃないのか。

(どういう事だ……?)

感情を出さなければ人……。

(感情を出す?)

……感情ってどうやって……。

(違う……違うぞ)

僕じゃない……。

(僕がしたくて……出してるんじゃない……じゃあ一体……誰が……)

僕は見る。

この残酷な光景を。生々しい傷の跡を。甚振る事で愉悦に浸る看守を。

僕は思い出す。

母の汚物でも見るかのような顔。家族からの暴虐。心に痛む言葉の数々。嘲笑う姿。僕に感情を吐き捨てる人々の姿。

(……ああ、全てが)

僕に憎悪を持たせたのは誰なのか?泣かせたのは誰なのか?


苦しませたのは……。


「お前達じゃないか」


こいつらの怒りが、憎しみが、発言が、態度が、行動が、僕を……動かしたんじゃないか。


人。


こいつらが言う『人』が目の前にいる敵なんだとしたら僕は化け物のままでいい。

「なぁんだ……。お前たちも同類じゃないか」

悪魔の様に唆し、考えもなく感情に身を任せて僕の心を破壊する獣じゃない方がいい。

「お前ら人間は人と言う名の獣だ。僕を化け物にしたのは化け物だ。なぁ、化け物たち。僕の苦しみ、全て味わえよ」

感情が全て表に溢れ出て来る。

「辞めろッ!!」

「自業自得だ。消えろクズどもがッ!」

そして、文字通り、感情が爆発した。

看守は早急に銃を構え、トリガーを引いた。

けれどもう遅い。

眩い閃光が一帯を包む。

すると、銃は消滅する。建物は消滅する。

音もなく、光に飲み込まれるように。

人は苦しみ、痛み悶え、砂の様にさらさらと消え居ていく。


――――――


俺は今日、また犯罪者となった。

でも、自分の発言に、感情に行動にさえ、責任が持てない人間よりは幾分かマシだろう。

ただ、こいつらには感謝する。

「ありがとう。感情が要らない事を身をもって教えてくれて。これで俺は少し『人』になれるよ」

俺はもう生きる理由が分からないけれど。


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