霊に出会う。そして――
この世に霊が存在しないのなら、僕が昨日見たあれは何だったのだろうと考える。
カーテンの隙間から覗く真っ暗闇を通過する人型をした真っ白な光。
それは一瞬の出来事だったかもしれない。僕の幻覚だったのかもしれない。
けれど脳裏に焼き付いたあの光景は僕の頭に保存されている。
けれどまた、昨日幽霊を見た、と言って、証拠も無いのに誰が聞いてくれるだろうか。
写真に収めておけばよかったとも思うけれど、映らないらしい。それは何故?
居たのに、居ない存在として扱われてしまう。
僕しか知らない僕の見た幽霊。
これを誰かが見れば話は別なのだろうか。知ってくれれば居ると言ってくれるのだろうか。
話し合える事を知れば、皆話してくれるのだろうか。
幽霊の悲痛な叫びを、寂寞を見て、知ってくれているのならば、お祓いは消えるのだろうか。
形のない存在に形を想像してみてもそれは『無い』と言ってしまうのだろか。
幽霊と言う言葉の形だけでは、人の直感だけでは……別次元の世界を肯定してくれない……のか……。
僕は昨日幽霊を見た……。と思う……。
外へ出た。
悲痛な叫びをした幽霊を知った。と思う……。
そして、見えない形がこの世界にある事を知ったのだ。