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オカ研の旗の下(もと)  作者: 淡太郎
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ハレー彗星が来た日・第五幕・中二病終息に向けて。

「さぁ準備はいい!」

四人は防御服でてっぺんからつま先まですっぽりと身を包みいざ戦場に向かった。体育館倉庫の扉を開くとまだそこには自分達のやりたい夢?に向けて独自の表現をしている状況が続いていた。

「翠の声が変に聞こえるよ」

沙織は慣れない防御服にふらふらしている。

「顔全体も覆っているんだから仕方ないでしょ。沙織の声も変になっているよ」

翠は消毒スプレーを両手に持っている。

「沙織、殺虫剤はないでしょ。」

由香の声が余計に気だるく聞こえる。

「由香と綾乃だって食器洗剤に芳香剤じゃない」

沙織は由香と綾乃が持っている物に突っ込んだ。

「仕方ないじゃない。何が効くんだか分んないんだから。他にも胡椒や玉葱もあるわよ」

翠のポケットの中が膨らんでいる。

「しかし患者さん達はとりあえずしっかりとお弁当は食べているみたいね」

由香が言うように自己表現を続ける学生たちの足元には空の弁当箱が体育館所狭しと散乱してあった。

「腹ごしらえは済ましてお昼からの体力は付けてあるのね」

綾乃も感心した。

「何だかまたお腹が空いてきたわ」

沙織のお腹が鳴った。

「四人ともハロウィンパーティかい?」

後ろから男性教師が声を掛けてきた。

「あっ、あの時の先生」

翠のポケットから玉葱が転げ落ちた。

「そんな物じゃ効かないよ」

男性教師は何か知っている素振りで言ってきた。

「君たちも見ただろう?昨日のハレー彗星。こうなったのはあれが原因さ」

「やっぱり私の思った通りだったわね!だけど私達が見たって何故ご存じで?」

翠の挙げた大声が変に聞こえた。

「UFOも見たんだろ。ハレー彗星の見え方はその人によって違うだろうけど、君たちは実際その場で空を見上げているから病気に罹ってない証拠さ」

男性教師はあたかも昨日の合った事を知っているかように続けた。

「そういえば小佐井先輩も何か言っていたわね」

由香が頬を赤らめた。

「妙子も見たときに思ったイメージと違うって言っていたわ」

沙織も思い出した。

「そうしたら昨日ハレー彗星を外で見てなかったら逆に病気に罹っていたってわけ!」

翠の驚いた大声がまた変に聞こえた。

「・・という事は、その時間外に出ずに家の中に引き籠って居た人たちが中二病になっちゃったって事?」  

綾乃が首を傾げた。

「そういえば昨日はスポーツの祭典の生中継や歌のヒットパレードのライヴ番組で目白押しだったわ」

沙織も大声を挙げ声が変になった。

「そうよ、それでみんなテレビに釘付けね」

由香は納得した。

「だけど何でそうなっちゃうの?」

綾乃はもう一度首を傾げた。

「そうだね。たまには外に出て夜空を眺めるのもいいもんだって事かな」

男性教師の冗談とも思える返答に四人は首を傾げた。

「いまのは置いといて・・。賢い君達も気付いたとおりあれはハレー彗星じゃない。遠い宇宙から旅をし続けている者達の集まりなんだよ」

その男性教師は普通では理解できないような事をすらすらと喋った。

「なんですってー!」

四人は傾げていた首を戻し一斉に大声を挙げ声が変に響き渡った。

「この事は世界は気付いてはいないけどね。」

男性教師はこの理解できない話を続けた。

「詳しくはまだ分かっていないけど、あの長く続く尾の粒子に君達の様な年代の歳の遺伝子に影響を与える何かがあるんだろうね。そんな事に年を過ぎた大人達は発病もせずまったくこの状況に寄っていないけどさぁ」

四人は口をぽかーんと開いている。

「先生ー。昨日私たちが見た“あれ”は結局何だったんですか?」

沙織がぽかーんとしたまま手を挙げて質問した。

「いい質問だねぇ。“あれ”は言うなれば宇宙の大きな花だよ。空から舞い落ちる大量の花粉が脳に影響を与えハレー彗星というイメージをきっと狂わさせてしまうんだろうね。しかし君達の年代以外の人達は関係なくイメージ通りに見えるから、そういうものだと頭に刷り込んでしまうんだね。それで世界中気が付かず安心して一件落着さ。」

男性教師はまたすらすらと理解できない話を喋った。

「先生ー。なぜUFOはその宇宙の珍しい花を地球に植えていったのですか?」

また沙織がぽかーんとしたまま手を挙げて昨日の出来事を質問した。

「それも調査しないと詳しく分からないが趣味?じゃないかな」

「しゅ、趣味ー!」

四人は大声を挙げ我に返った。

「それはそれで、まぁおそらく他の惑星に子孫を残す為なのだろうと思うけど・・。それから君達が撮ったUFOの写真は僕が預かっておくから。あと、この騒がしい事態も僕のチームが治めておくからそのコスチュームは着替えていいよ」

その男性教師は話の間に冗談らしき事を言いながら平然と答えた。

「質問ー。結局先生って誰ですかー」

四人は手を挙げ変になってる声を揃えて言った。

「紹介が遅れました、僕はMIB JAPANのエージェントの者です。それでは会えた記念に写真でも撮ろうか」

防御服のままポーズをした四人を前にカメラのフラッシュが焚かれた。


同じ頃、デジタル写真部では。

「あれっ、ここに置いてあったオカ研からのデータカード知らない?」

和哉が机の上を探しながら尋ねた。

「何か新任の先生が来て“返しておく”って言って持っていきましたよ」

一人の部員が山ほどの写真を抱えながら答えた。

「そうか?今からプリントしようと思ったんだけどな・・。まぁいいっか、それより新聞部すごいのスクープしたな。“ハレー彗星は実は恐怖の大王だった!”ってまぁ~たタブロイド的な」

和哉は新聞部からの依頼でプリントした写真を眺めていた。そこにはぼんやりと竜の様な生き物が夜空を駆け巡っているように写っていた。

「また皆からタブロイド紙部って言われちゃうじゃないの。それより我らの出来栄えはやっぱりすごいねぇ」

和哉はそんな独り言を言って自分たちの撮った写真に眼をやってほれぼれしている。そこには真っ赤に輝く太陽の様な星が写っていた。


また同じ頃、園芸部では。

「うわぁ~たいへん!枯れちゃっているぅー!」

妙子が沙織から預かった“宇宙の花”の無残な姿を見て慌てふためいている。

「私の唄がそんなに下手で聞き苦しいって訳~!」

妙子が試みた音による植物促進実験で“宇宙の花”を密閉した中で自分が歌ったカラオケを聞かせ続けた結果の末だった。

「沙織には申し訳ないけど、なんだか自分の歌唱力にはがっかりだわ」

他の音楽や音声を流して聞かせている植物達はすくすくと成長していた。


日も西に傾き下校の頃、ようやく“中二病”の熱が冷め目が覚めた生徒達はふらふらと各々の荷物を抱え家路に向かっていた。またこちらも目覚めた人がいた。

「此処は何処?息苦しいわ・・」

真っ暗な暗闇の中から西園寺の声がする。自分の置かれている状況に理解が出来ず慌てて体をジタバタ動かし棺桶の蓋を飛び開けた。

「私をこんな中に入れやがって!」

すぐに四人の仕業にするのは西園寺の常套手段である。

「もう夕方五時じゃない!まぁいいわ。どうせ新入部員もひとりも入っていない事でしょうし明日からは此処もあいつ等の顔も見るのも終わりだわ」

棺桶の中で起き上がったまま寝ぐせの付いた髪を振り乱し勝利を確信した。その時・・。薄暗い部屋の中をスクリーンが映写されお狐様が映し出された。

「この度相まってこちらの者達と一緒になった新参者じゃがよろしゅうお願いする。ところでお主は何者じゃ?」

突然の挨拶に西園寺の目は点になり顔が青ざめてきた。

「キャー!!」

また西園寺はそのまま棺桶の中に倒れ込んでしまった。


西日が差す帰宅中、仲間三人と別れた由香は仲の良い可愛がっている野良猫“輔清”と会話をしていた。

「今日はなんだか長い一日で疲れたよ。だけど何があったか何も覚えてないんだ」

由香は輔清の頭を撫でながら問いかけている。そうあの時の記念撮影で記憶が消されちゃった訳だ。

「そんな日もあってもいいんじゃない」

輔清が何か言ったような気がした。由香は持ち上げ頬に押し当てた。

「お前は可愛ゆいのぉ」

朝から起こった慌ただしい騒動はまるで何も無かったかのように赤く染まる夕日と共に幕を閉じた。



※今回のウィキペディアで検索してみよう!※

●ハレー彗星

●UFO

MIBメン・イン・ブラック

●第一話・ハレー彗星が来た日(全五幕)


●出演者


オカルト研究会メンバー

早乙女沙織、鷹塚翠、飾磨由香、栗須川綾乃


●ゲスト出演者


生徒会会長・西園寺公佳

園芸部部長・和中妙子

デジタル写真部部長・小佐井和哉先輩

新入部員・お狐様


執事の琴原

野良猫の輔清

謎の男性教師


※この物語はオカルト研究会の四人組のドタバタコメディのフィクションであり実在の個人名、団体名、建物名、本のタイトルなど一切関係はございません。

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