第52話 駄目人間製造機
「ひぃ！ また変なのが来たぁ」
更に新手？！
「副隊長！」
「遅ぇぞ！」
新手は新手でも、先遣隊の方たちだったか。
５人で来たらしい。
「うおっ」
「前に進めん」
「敵の攻撃かっ」
「結界師！ 味方だ味方。止めなさい」
「ひゃあ！ 怖いよぉ」
怖いよじゃなくてだな……
見境無しかよ。
でも攻撃じゃなくて足止めでよかった。
「っとっと。副隊長、今のは……」
「てめぇらの顔がおっかねぇからお客人の１人がビビっちまったじゃねぇかっ」
「ええっ？！ 副隊長は平気だったんですよね」
「てめぇ、なにが言いてぇんだ？ ああ！」
「いえ、なんでもありませんっ」
「無駄口叩いてんじゃねぇ！ 応援呼びやがれ！」
「魔物ですか」
「見りゃわかんだろ！」
「はっ」
「人形だ。前回よりゃ弱ぇが、気ぃ抜くなよ」
「「「はっ！」」」
え、これで前回より弱いの？！
マズいな。
こいつらでもいっぱいいっぱいなのに、そんなのが来たら対処しきれないぞ。
残り１３分弱ってところか。
時子のお陰で大分抑えられたな。
「モナカ、後ぁ俺たちに任せろ！」
「え？」
「お前たちの強さは分かった。それで十分だ。それにこれは俺たちの仕事だ。お客人のやるこっちゃねぇ」
「でも！」
「だからこれ以上……先には進むなよ」
くっ、見透かされたか。
このまま中に突撃……といきたかったんだけど。
さて、どうする。
『一旦戻るわよ』
『いいのか？』
『私の武器を取りに戻るだけよ』
やる気満々かよ。
『それはいいが、どうやって戻ってくるつもりだ？』
『タイムさん、他にも入り口があるはずです。探してもらえませんか？』
『地下も広いから難しいと思います。今回は魔物の後を付けただけですし』
『お願いします』
『タイム、この村の地図はあるんだろ。その中にあるちょっとした隙間付近にあるんじゃないか？』
『んー、分かった。でも期待しないでくださいね』
『分かっています。ありがとうございます』
『あと敬語禁止！ じゃないと見つけてきませんよ』
『う……それは難しいと存じます』
２人供仲がいいとは思うんだけど、なんか踏み込めていない気がするんだよね。
『ならタイム、まず自分がため口になれ』
『ええっ？！』
『それならなんとか……』
『ほら』
『うう……それじゃあエイルさん、探して……くるよ』
『〝エイルさん〟じゃなくて〝エイル〟な』
『それはやり過ぎじゃないかな』
『いえ、〝エイル〟でお願いします』
『お前も〝お願いします〟じゃなくて〝よろしく〟とか〝いいよ〟とかだろ』
『いきなりそれはハードル高くない？』
『俺にはいつもそんな感じだろ』
『そりゃモナカくんだもの』
『おい』
『あはははは。細かいことを気にする男の子は女の子にモテないぞ』
『細かくない』
ったく、あっちでは心琴さんたちが戦っているというのに、緊張感がないな。
『じゃあ探してくるね。マスター、暫くドローンに処理を裂くからサポートできなくなるよ。気をつけてね』
『あいよ』
ドローンが一斉に飛び立って魔物が出てきた穴に入っていった。
何匹飛ばしたんだ？
てっきり２匹かと思ったら凄い数だった。
「おい！ 大人しくしてろって言っただろうがっ」
やばっ、見つかってんじゃん。
マジか。
「副隊長？」
「……チッ。なんでもねぇ！ 集中しろっ」
「「「はっ」」」
ほっ。
仕方ないな。
『心琴さん』
「うわあ！ なんだ？！」
『しー、静かに。俺たち、離れに戻ります。ご武運を』
「おい、勝手に行動すんなっ」
「はっ」
「てめぇのことじゃねぇ！」
「は？」
「チッ。いいから戦え！」
「はっ！」
といっても、えーと確か道はこっちだっけ。
……世界地図に案内させるか。
現在地から離れ……住所が分からん。
地図から選択……何処だ！
えーと……あった。
離れまでのルートを検索してっと。
で、結果を幻燈機で表示させて……よし。
「東南方向へ進みます」
あ、音声案内が外部スピーカーから出ている。
えーと、内部スピーカー？ にするのはどうやるんだ？
それを時子とエイルに共有する方法は？
うー、普段は全部タイムがやってくれていたからな。
やり方が分からんっ！
いいや、外部スピーカーのままで。
『行くぞ』
タイムって、ダメ人間メーカーなんじゃないか？
次回の主役はアニカです
