第37話 魔物たちの行方
ヤバいヤバいヤバい!
主様に「俺たちの命運を託せるのはお前しかいない。頼んだぞ」なんて言われちゃったよー。
※言ってません
しかも頭を撫でながら「頑張れよ」とか、はぁー! テンション上がりすぎて存在が爆発するかと思ったぁ。
お顔も物凄く凜々しくて輝いていたわ。
もしかしてもしかして、過去1じゃない?!
そんなん頑張るしかないじゃない!
きっちり守るわよー。
離れに向かってくるヤツは、あたしが許さないんだから!
「別に……命令されたから仕方なくやってるだけで、喜んでるわけじゃないんだから! ふんっ」
※命令されてません
「龍魚、こっちに向かってくる不届き者は居ないの?」
〝どっちー?〟
「こっちよ」
〝こっちー?〟
〝そっちー?〟
〝どっちー?〟
〝あははははは!〟
「真面目にやりなさい! 主様を守るためなんだからね!」
〝主ー?〟
〝女将ー!〟
〝龍魚、女将守るー!〟
「あんたたちはは偵察が任務でしょ! 守るのはあたしに任せなさい」
〝えー〟
〝つまんなーい〟
〝みーてーるーだーけー〟
〝退屈ー〟
「退屈でも重要なの。分かってるの?!」
〝分かんなーい〟
〝あー!!〟
「どうしたの!」
〝魔物怖ーい〟
〝1匹食べられちゃったー〟
〝大丈夫かー!〟
〝ただいまー〟
〝〝おかえりー!〟〟
「遊んでないで教えなさい!」
〝〝なにをー?〟〟
相変わらず意思疎通が難しい子たちね。
主様はよく相手してられるわ。
さすがあたしの主様ね。
やだ、〝あたしの〟だなんて、キャー!
……こほん。
と、とにかく、龍魚たちが使い物にならないから、近づいた奴らを片っ端からやっつければいいのよ。
でも人間も中々やるわね。
魔物がこっちへ来る前にみんな倒せているわ。
わ、凄い。
今の光の筋はなに?
地上から、剣を振っただけ?
その剣筋から光が飛んでいったみたいだわ。
魔法っぽくなかったけど、剣技とかいうヤツかしら。
纏めて何匹も切り裂いているわ。
え、うそ。魔物が再生してる?
あいつら切り裂かれても分裂するだけで、別個体として再生しているわ。
羽が無い方は下に落ちて這いずっているようね。
さすがに大きさまでは戻らないみたいだけど。
斬っても小さくなるだけで、倒せないみたい。
そういえば、泥棒犬が斬っても倒せてなかったわ。
それと同じね。
倒せないなら意味無いじゃない。
ほら、周りの人たちが魔法で倒しているわ。
面倒を増やしているだけじゃないのかしら。
でもこの分だとあたしの出番は無さそうね。
あぁあ、久しぶりに主様のお側に居られるかと思ったのに……
あたしの至福の時間を邪魔するなんて、許さないんだからっ!
それにしても数が多いわね。
一体何処に隠れていたのかしら。
なにを目的としているのかしら。
村人を襲っているようには見えないけど……
なにかに引き寄せられてる?
攻撃されれば反撃してるみたいだけど、それ以外は脇目も振らずに直進してる感じ?
その先はどこかしら。
ここでは無さそうだけど……
さっき泥棒犬たちが行った方かしら。
次回は村の奥から新手が来たようです




