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兄妹になんてなれない~兄に恋した妹は毎日ドキドキ~

作者: 来留美

私が恋をした人は母親が再婚して、その相手の連れ子の一つ上のお兄ちゃんです。

私は一目惚れをしました。

お兄ちゃんは誰からもイケメンと言われる、顔の整ったそれはそれは完璧な人でした。

だから、私になんて興味がないのです。


「おい、妹」

「妹って、私には名前があるの」

「お前は俺の妹だろう? それなら妹だ」

「お兄ちゃんって本当に性格が悪いよね」

「それが俺だ。お前もこんな俺がいいだろう?」


そうお兄ちゃんは言って私の顎をクイッと上げます。

そんなお兄ちゃんに私はドキドキしてすぐに顔を背けます。


「私は優しい人がいいの」

「あっそ」


お兄ちゃんは手を離して私から離れていきます。

いつもこんなです。

お兄ちゃんは私をからかうことしかしないのです。

私は毎日ドキドキして心臓がもちそうにありません。



◇◇◇◇


「おい、妹」

「今日は何?」

「お前は何が好きなんだ?」

「えっ、何よいきなり」

「好きな物だよ」

「食べ物?」

「違う。欲しい物は何なんだ?」

「う~ん。ぬいぐるみかな?」

「お前はその歳でまだぬいぐるみが欲しいのか?」

「いいじゃない。一緒に寝る子が欲しいもん」

「それなら俺が一緒に寝てやろうか?」

「なっ、何でそうなるのよ」

「寂しいんだろう?」


お兄ちゃんはそう言っていつものように私の顎をクイッと上げます。

またからかっています。

私はいつものように顔を背けます。


「私は可愛いぬいぐるみがいいの。意地悪なお兄ちゃんなんていらないよ」

「あっそ」


そしていつものようにお兄ちゃんは私から離れていきます。



◇◇◇◇


ある日のことです。

私はお兄ちゃんと可愛い女の子が街を歩いているのを偶然見てしまいました。

二人はとてもお似合いです。

仲良く話しをしていてお兄ちゃんも楽しそうに笑っています。

私はあんなふうに笑っているお兄ちゃんを見たことがありません。

いつもぶっきらぼうで私には鋭い目しか見せないお兄ちゃんが彼女の前では優しく笑っています。


そして私はお兄ちゃんの手にある物に目がいきました。

それは私が欲しいと言ったぬいぐるみです。

大きな熊のぬいぐるみをお兄ちゃんは手に持っていました。

私に聞いたのは彼女にあげる物が分からないから聞いたのでしょう。

私も欲しかったなあと思いながら私は家に帰りました。

お兄ちゃんはその後、帰って来ました。

楽しかったんだろうなと思いました。

なぜなら私の部屋の前を通るとき、鼻歌が聞こえたからです。

それも、私の好きな歌です。


◇◇◇◇


「おい、妹」

「何よ朝から」


朝からお兄ちゃんは私を妹と呼び、顎をクイッと上げて言いました。

いつも朝は、機嫌が悪いお兄ちゃんは何も言わないのに今日は話しかけてきました。


「今日は早く帰って来いよ」

「何でよ。今日は友達と約束があるから無理よ」


私はそう言って顔を背けます。


「今日は早く帰って来いよ」


お兄ちゃんはまた同じことを言いました。

私は何も言わず今日は私がお兄ちゃんから離れました。

何度言われても無理なものは無理なのです。

今日は大事な日なのだから。


それから私は友達との用事を済ませ、少し遅く帰宅しました。

家には誰もいないのか、帰っても物音がしません。

お兄ちゃんの部屋のドアをノックしました。

返事はありません。

ドアノブを回して中を確認するとお兄ちゃんはベッドで寝ていました。

お兄ちゃんの寝顔が見たくなり私はそっと部屋に入ります。

お兄ちゃんはすやすやと子供のように寝ていました。

寝顔も整っているお兄ちゃんはやはりイケメンです。

お兄ちゃんの顔に触れたくなりました。

そして手を伸ばした時、『ガタン』という音に驚き私は振り向きます。

そこにはクローゼットから大きな熊のぬいぐるみが転がっていました。

私は熊のぬいぐるみに見覚えがありました。

あれはお兄ちゃんが彼女にあげたものです。

なぜここにあるのでしょう?

私は熊のぬいぐるみを持ちました。

フカフカで気持ちいいぬいぐるみです

思わず抱き締めてしまいました。


「気に入ったか?」


えっ?

声のする方へ顔を向けるとお兄ちゃんがベッドから起きあがって私の見たことのない優しい笑顔で見ていました。


「お兄ちゃん?」

「お前が欲しい物だろう?」

「私のなの? 彼女のじゃないの?」

「何言ってんだよ」

「だって可愛い彼女とこのぬいぐるみを持って歩いてたでしょう?」

「俺が一人じゃ買えないから一緒に行ってもらっただけの友達だよ」

「そうなの? でも何で私に?」

「今日は何の日なんだ?」

「ハロウィン」

「違うだろう。お前の誕生日だろう」

「お兄ちゃん、知ってたの?」

「当たり前だろう。妹の誕生日を知らない兄貴がいるかよ」

「だって、私は教えてないよ」

「お母さんに教えてもらったんだよ」

「何で?」

「お前は気付けよ」

「え?どういうこと?」

「こういうことだよ」


そしてお兄ちゃんは大きな熊のぬいぐるみと一緒に私を抱き締めました。

大きなお兄ちゃんの腕の中で大きな熊も、私も綺麗に収まっています。


「お兄ちゃん?」

「俺はお前が好きだ。初めて会ったときから」

「おっお兄ちゃん」

「お前が俺を男として見ていないのは分かっている」

「えっ?」

「俺を嫌っているのも分かっている」

「お兄ちゃん? 何を言ってるの?」

「俺が顎を上げるとお前はいつも背けるだろう?」


お兄ちゃんはそう言ってクイッと顎を上げます。

私とお兄ちゃんは見つめ合います。

私はドキドキし過ぎて耐えきれません。

そしていつものように顔を背けます。


「ほら。いつもそうするんだ。そんなに俺のこと嫌い?」


お兄ちゃんは勘違いをしています。

私は恥ずかしいので顔を背けるのに、お兄ちゃんは嫌いだから背けると思っています。

私はどうすればお兄ちゃんに伝わるのか考えます。

そして思いついたことを行動にうつします。


まず、大きな熊のぬいぐるみを下に置きます。

そしてお兄ちゃんに抱き付きます。

そしてお兄ちゃんに言います。


「私はお兄ちゃんと一緒に寝れば寂しくないと思う」

「お前、それどういう意味か分かってんのか?」

「私はお兄ちゃんが大好きだから一緒にいたいの」

「俺もお前が大好きだ」


お兄ちゃんも私を抱き締めてくれました。

そしてお兄ちゃんは私を横抱きにしてベッドに寝かせました。

その後、私の上にまたがります。


「お兄ちゃん?」

「お前が言ったんだよ」


そしてお兄ちゃんは私に優しいキスを落としてくれました。


「お兄ちゃん? もういいでしょう?」

「もういい?」

「私、まだ寝ないよ」

「は?」

「お兄ちゃんが私の抱き枕になってくれるのは嬉しいけど、私はまだ寝ないからまた後でね」

「おい、妹。お前は意味も分からず、一緒に寝たいなんて言ったのか?」

「意味分かってるよ。お兄ちゃんを抱き枕にしたいの」

「お前、俺を何だと思ってるんだよ」


お兄ちゃんはがっかりした顔で言ったのでお兄ちゃんが欲しい言葉を私はお兄ちゃんの耳元で言います。


「う~ん。優しくて格好いい私の大好きな人」

「お前、分かって言ってるよな?」

「私は何も分からないよ。だからお兄ちゃんが教えて」

「お前はどれだけ俺を困らせるんだ」


お兄ちゃんはそう言っていたけど嬉しそうに笑っていました。

私も一緒に笑いました。


兄妹として仲良しになんてなれないよ。

だってお兄ちゃんは私が、私はお兄ちゃんが大好きだから。

読んで頂きありがとうございます。

評価などしてくださるかた、本当にありがとうございます。私の励みになっております。

私は連載を書いています。

乙女ゲームには当てはまらない~私には選べないから~

第三から読んでみてください。

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