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オープンエンドの結末は  作者: 氷田まりか
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私と真護が通う中学校は私立のせいか素行が良い生徒が多いらしい。

…表向きは。

今日も真護と別れて教室へ向かう途中に何回かぶつかったり舌打ちされたりした。

それもこれも私の容姿が異質だから。

「…化け物みたいだよね。」

「気持ちわる…真護くんはあんなに恰好良いのに。」

歩くたびに聞こえてくる言葉は悪意だらけだ。

これで有名私立なんて笑わせる。

あいにく家庭の事情で悪意なんて慣れに慣れているからへこたれはしないけどやっぱりいい気分ではない。

でも私の見た目で彼女たちの気分も害しているのだから文句はいえない。

「ましろ先輩、おはよっす!!」

「三毛谷先輩ちーすっ!!」

「ミケちゃんおはー。」

のんびり階段を上がっていると朝練を終えた部活の仲間たちがどやどや後ろからやってくる。

子犬みたいにまとわりついてくる後輩たちをいなして、最後尾を歩いていた男に目を向けた。

朝と同じように無感情いっぱいな瞳は、相変わらず私を無機質に見つめる。

「凛。」

「…なんだ。」

「今日コーチ休みだって。メニュー預かってる。」

鞄からプリント数枚を出して彼に渡せばわかったというように無言で頷かれた。

「ミケ、今日ロードからだから来るのゆっくりでいいよ。」

副部長の言葉に凛と同じように無言で頷いた。

最後尾の凛の後ろに着いて朝から元気な彼らの声に耳を澄ませる。

昨日食べた新製品のチョコがおいしかったとか、今週発売の少年誌のグラビアが今お気に入りのアイドルだったとか、今日の3限目に現文の小テストがあるとか、何気ない「日常」の話。

…悪意の声は、もう聞こえない。

バレー部という性質上、壁のような身長の彼らによって私は今日も助けられる。

どこにいても嫌われている私にとって彼らとの関わりはひどく尊いものだった。

でも、いつまでも続くわけないってことも知ってたんだ。

ちゃんと、知ってた。

覚悟もできてた。

心の準備もちゃんとしていた。

だから、『その時』が来ても崩れることはなかったんだ。

ちょっと…しんどかっただけで。

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