3 暁組
<<暁組>>
夕刻、オレンジ色の強い西日が差し込む日本家屋はやけに雰囲気があった。
一瞬かすかに風を感じ、目を開けたときには
目の前に大きな影が何かを振り下ろす瞬間だった。
ドゴン!!!!!
瞬時に身をかわし、ソファーから転がり落ちた。
黒い影は金属バッドのようなものを振り下ろしソファーを布地を裂いていた。
「わっ!」
黒い影はすぐに持ち手を整えこちらに向く。
ギシギシと一歩踏み込むごとに手入れのしてない木の板が軋んだ。
「てめぇ、この家の事知っててはいったんか?不法侵入やぞ?」
やけにドスが効いた声だが、その声の高さと柔らかさで女性だろうか。
「やぁ、君はこの家の人かい?」
「せやな・・・今はそうじゃ」
暗闇に目が慣れ、姿をよくみるとやはり10代後半ほどの若い少女だった。
姿には似合わぬ言葉づかいと無理にドスを聞かせて喉が苦しそうだな、と思った。
「じゃあ君の用があるんだけど・・・」
「用があって人の家のソファーで勝手にくつろぐ奴のいう事なんかきかんで」
さっと姿勢とただし、懐から封筒のようなものを差し出し少女に渡した。
「初めまして、当方ソラと申します。この度、暁組の組長殿にお願いがあり参りました」
「なん、これは金か?金はここじゃもう紙きれ・・・・これは―――」
少女は封筒の中身を凝視した。
「聞いたことありますよね。これはチョコレートです」
「なっ!!あのチョコレート!は、初めてみた!本当に黒い!!」
少女の眉間の皺がとれ、目がキラキラと輝きはじめた。
封筒の中からほのかに香るカカオの香りにうっとりしていたが
はっと思い出しまた皺をよせた。
「お前、これはどこで手に入れた」
喰いついた。
今回いろいろな品を用意していたが、まさかおやつに持ってきていたチョコレートで
事足りてしまったことに自分でもびっくりしていた。
「俺は海外から来た使者だ、といえばわかるな?」
「本当か!本当に海外から!」
「10年間孤立した島ニホンの調査、そして黒森一家の残した遺産を探るべく、ここへきた」