で、出来るか!
翌日妹と買い物に出かける。
近くのショッピングセンター内にあるランジェリー専門店が目的だ。
ネットで調べたが通販でも有名なそのお店にはフィッターという採寸してくれたり付け方を教えてくれたりする専門の店員さんがいるとの事で、妹を連れ一緒にそのお店に向かった。
「……お兄ちゃん……手……」
「ん? ああ、そうだね、ほら」
「んへへへへ」
出かける時はいつもの様に妹と手を繋ぐ。人見知りの妹はいつも僕の後ろを歩いていた。
手を繋げば少なくとも僕の隣に並んでくれる。だから必ず出かける時は妹と手を繋ぐ。
幸いにも僕は友達が殆どいない、休みの日に遊ぶ様な友達は皆無だった。
妹の世話をしないと行けなかった。だから今まで友達遊ぶ暇なんて無かった……今思うと言い訳だった気もする。でも後悔はしていない。
春先、暖かくなって来たとはいえまだ気温は低い、妹と手を繋ぐとその手は冷たかった。
僕は妹の手を自分の手と一緒にコートのポケットに突っ込む。
ポケットの中でごそごそとまた指や手の平を使い妹の指で遊ぶ。
布団の中でもポケットの中でも、手を繋ぐとこうやって遊んでしまう、悪い癖なのかも知れない。
妹の手がだいぶ暖かくなって来た所でショッピングセンターに到着した。
ご飯も食べてきたし他に寄る所も無かったので直接ランジェリーショップに向かった。
「……ここか」
ディスプレイには色とりどりの女性用下着が飾られている……妹の下着で見慣れているとはいえ、このところ中に入るのはかなりの勇気が必要だった。
「一人で……行けるわけ無いよなあ……」
僕を見上げながら目で絶対無理という妹……母さんと一緒に行って貰えば良かったと今更ながらに思うが、プレゼントという事を思いだし僕は勇気を出して妹を連れ店内に入った。
開店直後とあってお客はまだいない……でも逆に言うと僕達は店員さんから見て非常に目立つという事だ。
「いらっしゃいま…………せ」
僕を見た店員さんが一瞬怪訝の顔になり絶句した……しかしすぐに目線を僕から妹に切り替えると満面の笑みに変わる。
「いらっしゃいませ、妹さんの下着ですか?」
「あ、はい、直接買うのは初めてなので……妹のブラ選びとかつけ方とかしてもらえたらって、ネットで見たので」
「ああ、畏まりました。それでは……えっと……何年生かな?」
店員さんは妹を見て年齢ではなく学年を聞いた。
「……」
「あ、1年です」
人見知りの妹、特にこういう所では全く喋らない。すぐに僕の後ろに隠れてしまう。
思えば入学式の新入生代表挨拶も初めはかなり渋った。僕が見てるから僕に向かって挨拶してとなんとか妹を説得した。家でかなり練習もした。
「中学1年生ですか?」
「あ、いえ……高1です」
「え? ああ、失礼しました。えっとでは採寸いたしますのでこちらに」
どうみても小学生にしか見えない妹、高校1年と言われ少し動揺する店員さん。
「じゃあ行っておいで」
そう妹を促すも僕の服を掴み泣きそうな顔でフルフルと小さく首を振った。
「えっと……お客様?」
僕らのやり取りを見て不審がる店員さんに僕は勇気を出して言った。
「えっと妹は僕がいないと駄目で……一緒に居ちゃ駄目ですか?」
「えええ! あ、失礼しました……えっと……その……採寸は服の上からでも出来ますが……試着やつけ方指導はさすがに脱がないといけないので……」
「あ、ああ、僕は大丈夫です」
「えええ?! えっと、妹さんは……平気なの」
店員さんは僕から目線を外し妹を見てそうだね訪ねる。妹は僕の後ろでコクコクと頷いた。
「い、妹さんが良いなら……ではこちらに……」
そう言って僕達は店の奥にあるフィッティングルームと書かれた部屋に連れていかれた。
部屋に入ると店員さんはメジャーを取り出す。僕は側にいるからと言って妹から少し離れた。
僕から離れ不安がる妹に店員さんは構わずに採寸を始めた。
採寸は服の上からトップとアンダーをメジャーで測りブラのサイズを決める。
そして採寸が終わると、店員さんは店からいくつかお勧めのブラを選んで持って来る。
一通りバストアップだとかの機能を説明をされるもよくわからない……妹もわかっていないのでとりあえず適当に可愛いデザインを選んだ。
「えっと……では試着とつけ方を……」
店員さんがそう言うと、妹は僕を見て側に居ることに安心したのか着ているセーターを脱ぐ。
そして恐らく僕より店員さんが居る事に少し躊躇うも僕からのプレゼントが貰えるからなのか? 妹は着ていたスポーツブラを外した。
「……えっとそれでは着付けさせて戴きます」
そう言うと店員さんは上半身裸の妹を少し屈ませ、肩紐を通し胸にブラを当てる。そして背中のホックを締める。
締めるとすぐになれた手つきでカップに手を突っ込み妹の胸を持ち上げた。ええええ? なにこれ……きまし?
「ふええええええ!」
「こうやってバストを持ち上げてから肩紐のストラップを調整します」
店員さんは慣れているのか妹の小さな悲鳴に構わず淡々と説明しながらブラジャーを調整していく。
「胸の回りからお肉をカップの中に入れて行きます」
そう言ってグイグイと妹の胸をブラのカップに詰めていく……なにこれ……。
テキパキと事務的に説明しながら全ての調整を終えると妹を鏡の前に立たせた。
「いかがですか?」
店員さんは妹にそう聞きながら鏡越しで僕を見る。
「お、お兄ちゃん……私……大きくなった……」
サイズアップの機能があるのか? 妹の胸は少し大きくなった気がした。さすがに谷間迄は無いけど……。
「姿勢よくすればもっと大きく見えますよ」
そう言って店員さんが妹の腰を軽く押す。姿勢よく立つ妹……身長は低くまだまだ幼児体型だけど、身体の線はとても綺麗で僕から見ても……妹は女の子そのものだった。
「お兄ちゃん! 私これにする!」
「うん……いいんじゃないかな」
「お買い上げありがとうございます」
そう言って店員さんも含めて3人で笑った。
ブラを外し着替えの終えた妹と一緒にレジに行く。
「優しいお兄ちゃんですね」
会計の時、妹に向かって店員さんはニッコリ笑ってそう言うと、妹は慣れて来たのか最後に店員さんに向かって口を開いた。
「お兄ちゃんじゃなくて……婚約者だもん……」
「え?」
「あ、いや、何でも無いです、ほら行くぞ」
そう言って会計を終えた僕は店員さんにお辞儀をして、慌てて妹の手を引き店の外に出た。
お店の袋を嬉しそうに抱える妹……昔はあんな事言わなかったのに……。
僕は一抹の不安を抱えつつ妹の手を握った。
その後妹が雑貨屋で買いたい物があると言ったので、そのお店に立ち寄り、家路についた。
部屋に入ると妹はランジェリーショップの袋を開け嬉しそうにブラを眺めだす。
僕からのプレゼントがそんなに嬉しいのか……と妹を見ていると僕の視線に気が付いた妹はブラを持って僕の前に立った。
「お兄ちゃん! ブラつけて!」
「は?」
「あの付け方でブラ付けて!」
「ええええええええ!」
あのつけ方って……あの胸をグリグリと持ち上げたりする……あの?
「お兄ちゃん、早く!」
妹はそう言うと服を脱ぎ始めた。
「で、出来るかああああ」
さすがにあれは無理だ……僕は部屋から飛び出るも妹は上半身裸でブラを持って追いかけて来る。
「お兄ちゃん~~~~~つーーーーけーーーーてーーーー」
某ホラーゲームの様に追ってくる妹から、僕は逃げ切れたのか? それとも妹にあのつけ方でブラをつけたのか?
それは……想像に任せます!
意味深なタイトルですが、基本妹とただイチャイチャしているだけの作者の趣味全開の物語です。(笑)
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