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あと1年で……


 秋は病気のせいで、未熟児だった。

 しかしその小さな身体で精一杯生きようと頑張った。

 

 病気は克服したが、その影響は大きくおかげで幼稚園もろくに通えなかった。


 そのせいか、小学校に入っても妹は勉強も運動も周りについていけなかった。


 テストの度に悪い点数を貰う……でも妹は僕のお嫁さんなるという逃げ道を作り自らそう宣言をし、ずっと勉強もせずに僕にベッタリくっつき遊べとせがんだ。そんな現実から逃げる毎日だった。


 しかしあの時を境に、母が僕が秋を騙したあの時……僕との結婚を餌にしたあの時を境に、秋は変わった。そして僕も……。


「さあお兄ちゃん、勉強の時間だよ!」


「えっと……今日は……止めとかない?」


「ダメダメ1日さぼったら取り返すのに3日かかるんだよ!」


「それって運動とか筋肉とかじゃ」


「い、い、か、ら! はい参考書開いて」


「はーーい……」


 部屋の真ん中に置いてあるテーブルに二人で向かい合って勉強をする。

 

 子供の頃からほぼ毎日、妹と向かい合い勉強をした。

 

 一つ違いの俺と妹、当初妹の学力は落ちこぼれの僕でも教えられるレベルだった。

 しかし勉強出来なければ僕と結婚出来ないという事実に燃えた妹は、必死に頑張った。

 すると凄い勢いで落ちこぼれの僕に追い付く……そんな妹に負けまいと、僕も必死に努力した。


 そして今……。


「えっと……これって……」


「ん? ああ、それはここに線を引くと分かるよお兄ちゃん」


「ああ、成る程……」


 進学校に首席で入学した妹……一応僕も同じ高校なんだけど、僕は首席では無理だった。

 さらに妹はあっという間僕を追い越し、既に僕の学力を抜いてしまっていた……今僕は1学年下の妹に教えて貰っている立場……本当に立場が無いとはこの事だ。


 数年前から続けている毎日2時間の勉強……でも集中力の差か、それとも天性の差か……僕は妹にどんどん差を付けられていた。


 そしていつも通りの時間で勉強を終えた。


 妹は既に僕と同じ、いやちょっと先、ほんのちょっと先の2年の勉強をしていた。ほんのちょっと先な、大事だぞここは……そのほんのちょっと先の勉強を僕に教えながらしていた妹……それでも妹の方が僕より進みが早い……復習で精一杯の僕とは大違いだった……今日もさらにほんのちょっと妹が先に進んでしまった……。


 妹は参考書を閉じると僕に向かって笑顔で言った。


「お兄ちゃん、いよいよ来週だね」


「ん? 何が?」


「もう~~お兄ちゃんの誕生日だよ!」


「え? ああ、そうか……」

 春という名の僕の誕生日は4月……秋という名の妹は11月、今は一つ違いだがもうすぐ2つ違いになる。


「いよいよあと1年だねお兄ちゃん!」


「1年?」


「そうだよ、来週の誕生日でお兄ちゃん17歳でしょ? 前にお母さんが言ってたじゃない18歳になったらって」


「18歳なったら?」

 妹はテーブルに頬杖を付きにこにこしている。あと1年? 僕が18歳? 一体なんの事だ?


「もうううう、お母さん大人になったら結婚出来るって言ったでしょ? 私がその時大人って何歳? って聞いたらお兄ちゃんが18歳になったらって言ったじゃない、覚えてないの?」

 今度は頬を膨らましふて腐れた顔をする妹……いや……覚えていない……でも確か法律だと男が18歳、今はまだ女が16歳で結婚出来るって…………ええええええええ!?


「いや、え? 確かそうだけど、俺達……まだ高校生だぞ、結婚て……」


「駄目なの? 私校則読んだけど結婚してはいけないって書いてなかったよ?」


「いや、校則には書いてないけど……でも……駄目だろ?」

 常識的に考えて駄目だろ?


「どうして?」


「いやそりゃ不純異性交遊はダメって」


「不純? 結婚って不純なの?」


「……いや、不純ではないと……思う……けど」


「じゃあ平気だね!」


「いや、えっと……そう、結婚したら一緒に暮らさないといけないけど、それは駄目と言うか」


「もう一緒に暮らしてるじゃない?」


「ああ、何を言ってるんだ僕は……えっとえっと」


「問題ないよね?」


「いや……問題だらけと言うか……」

 僕は考えた……しかし、何故高校生で結婚してはいけないかという理由が見つからない……。


「もううううう、わかったじゃあ明日先生に聞いてみる!」


「だ、駄目ええええええええ」


 それはらめえ~~、色々まずい……この話が終わっちゃう……。


「もううううう、なんでえええ?」

 机をバンと叩き怒りを露にする妹……妹は俺との結婚柄みの話となるとこうやって向きになる事が多い。


「いや、ほら皆ビックリしちゃうって言うか…………そう、こう言うのは寸前で発表した方が盛り上がると言うか……テレビとかでもほら、芸能人が結婚するって発表するのって子供が出来た後とかだろ?」


「……お兄ちゃん、子供ってどうやったら出来るの?」

 うわーーーい、藪蛇だったーーー。


「いや、えっと中学の時習っただろ?」


「うーーん、なんだっけ? 雄しべと雌しべとかって奴だっけ? うーーんと、なんか教科書に断面図でお兄ちゃんがお風呂でぶら……」


「駄目えええええええええ」

 これは全年齢版だああああ!


「えーーーー、って言うか、受験に関係無かったから、とりあえずそのまま覚えたけど、なんか今一よくわかんなかった」


「……そ、そうか……」

 中学の時結構休みがちだったから、保健の授業は休んだのかも…………はあ……。


「お兄ちゃん、なんでそんなに疲れてるの?」


「いや、ちょっとな……」

 秋のせいだ……とは言えない。


「そうかあ~~、ああ、そうだ! じゃあさ、お兄ちゃんが教えて」


「な、何をだ?」


「子供の作り方」


「出来るかああああああ!!」


「えーーーーでも結婚したら出来るんでしょ? あれ? でもさっき芸能人は結婚する前って? あれ? あれれ?」


「いや……とりあえず……17歳だと出来ないから……1年後な……」


「はーーい」


 こういう所は素直で可愛い……でも……18になっても出来ないんだけど……。


 こうやって僕は妹に対し真実を告げる事が出来ず、この問題を先送りにしていた。




 

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 出産のときに未熟児で生まれるもので、原因を別にして早産だと思います。 筆者様は早産しないように、36週まで頑張ってお腹の児を護ってね。
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