二人の生活
僕と妹はいまだに同じ部屋で寝起きを共にしていた。
元は家が狭く部屋がない為一緒に寝るしか無かったが、今は父さんが単身赴任中なので両親の寝室のベットが一つ空いている。なのでこの間母さんと一緒に寝る事を妹に提案したが被せる様に秒で拒否された。
「お兄ちゃん……手」
「ハイハイ」
子供部屋は狭くベットを置くともう常にベットの上で生活するしかなくなる為に布団で寝ていた。
手を繋いで寝るのも子供の頃から続いている習慣、元々は僕から言い出したので今さら止めようとは言え無かった。
生きている……という実感、生きていてくれる事への感謝、死んじゃえば良いのにと言ってしまった罪悪感。
手を繋ぐとそんな気持ちが混み上げる。
寝ながら手を使い指を使いグニグニと相手の手の平や指を絡めて遊ぶ。
こちょこちょとくすぐったり、恋人繋ぎをしてみたり、指の順番をあらそったりする、これも毎晩の日課だ。
変な絡め方をして時折クスクスとお互い笑いあう……単純だけど、でも……こんな事が凄く楽しい。
グニグニとお互いの手の平を指で押していると、妹は突然言い出した。
「そういえば……最近お兄ちゃんと一緒に寝てない」
は? いや、寝てるだろ、そう言おうとしたが、同じ布団でという意味だと直ぐに認識する。
「いや、さすがにそろそろ……」
「逆でしょ? そろそろ一緒に寝ても良いと思うんだけど」
「逆?」
「だって私達婚約してるし、お母さん公認だし、そろそろそういう年だと思うの……」
「いや、ちょっと待て、婚約?」
「は? お兄ちゃん何を今さら、私達結婚するんだから婚約してるって事でしょう?」
「いや、まあ……」
「私も高校生になったんだし、そろそろ良いよねお兄ちゃん」
「いや、何が……」
そういいかけて僕はその先の言葉を飲みこんだ。
多分違うと、妹はいまだに子供なのだ。そういう意味では言ってないと。
「……わかった……良いよおいで」
4月初旬、まだ朝晩は冷え込む。折角暖まった布団を捲ると冷気が入り混む。
その冷気と同時に妹が布団の中に……当たり前だけど妹の髪からは同じシャンプーの匂いがした。
妹が中に入ると布団を戻す。一人で入った時よりも早く直ぐに布団の中が暖まる、これが一緒に寝る効果か……妹湯タンポ(非売品)
「えへへへへ、小学校の頃ちょくちょく一緒に寝てたよねえ」
布団から顔だけ出して俺を見つめる妹、凄く近い……歯みがき粉の匂い、シャンプーの匂い、妹の自身の匂いが混ざりあう……凄く甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「秋がいつの間にか入って来るからだろ」
「だってお兄ちゃん暖かいんだもん」
「夏は暑くて目が覚めたんだけど」
そう言うと足先を僕の足に絡めてくる妹、つ、冷たい……
「ほらお兄ちゃんの足暖かい~~」
「湯タンポがわりに使うな」
「お兄ちゃん湯タンポ、私専用」
考える事まで一緒かい……やっぱり兄妹だよ俺達。
そして今度は両手を繋ぐ、お互い向き合って目を瞑る。
そして今度は布団の中で両手で遊ぶ、子供の頃によくやった手遊びを二人で始める。
「ハイ、お兄ちゃんの負け~~」
「今のは布団が引っ掛かって」
「相変わらず負けず嫌いなんだからあ~~」
「だって昔から真剣にやらないと怒るだろ」
「だってお兄ちゃん優しすぎてつまんないんだもん」
「つまんないって」
「でも優しいお兄ちゃん大好きだよ」
「あ、うん」
「そこは僕も大好きって言わないと!」
「……好きだよ、秋が大好きだ」
「えへへへへ」
そう言うとまたお互い目を閉じて両手を繋ぐ……今度はただ繋ぐだけ、そして眠りにつく……今日はまた秋の夢を見そうだ……ウエディングドレスの格好で僕に寄り添う秋の姿の夢を……。
イチャイチャ( ̄¬ ̄)
次はどんなイチャイチャ?(笑)
ブクマ評価宜しくです└(゜∀゜└) (┘゜∀゜)┘