雪に会う
常夏の島に生まれたアリスにとって、雪、というものは空想の産物以外のなにものでもなかった。アリスにとって、雪は、虹の根元のたからものとか、ひらひら散る桜とか、月に住むウサギとか、紅葉する落葉樹とか、空飛ぶソリに乗るサンタクロースとか、そういうものと同じで、本当にあるかどうかわからないもの、だ。
そんなアリスがこの冬出会ったのは、“雪のように”真っ白な、――猫又だった。
そんなアリスがこの冬出会ったのは、“雪のように”真っ白な、――猫又だった。
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2016/12/20 14:00