ハイテクな女の子
「なんで……あ、ちゃんと自分の持ってるよな? 」
俺は鞄の中を探り自分のスマホを確認する。
「あ、あった……ってことは俺のとは別物……」
もう一度俺はその端末を見る。
「う~ん、どう見ても俺のスマホにそっくりだよな」
封筒に入っていた端末を調べているとあからさまに押してくださいと言ってるようにしか見えないボタンが一つ画面に浮かび上がった。
「これを押せってことでいいんだよな……」
俺は恐る恐るそのボタンを押した。
すると、
〈ようこそ、陽城学園へ!! 〉
と、陽気な音とともに端末の画面に文字が現れた。
「え、もしかしなくてもこの学園専用の端末……? 」
俺は、この学園の豪華さに驚きながらも画面をタッチし次へと進めた。
すると次の文字が現れた。
〈これはこの学園で使用されている端末で、この学園生活を送るために欠かせないものになってきます。まずは、この端末にあなたのスマホを重ねてください〉
それを読み終わると同時に画面が変わり、緑の枠がそして真ん中に
〈スマホを重ねてね!! 〉
という文字が現れた。
俺は疑いもなく言われた通りに自分のスマホを重ねた。
するとスマホのホーム画面に陽城学園というアプリがダウンロードされた。
「え、ちょっ!! な、勝手に……」
それが合図のように、スマホにはデータ送信中とその端末にはデータ受信中という文字が浮かび上がった。
「データ送信中!? ま、待ってよ!! 」
しかし、俺の声が届く訳もなくダウンロードが完了していた。
そして、スマホのホーム画面にはアイコン一つ残らずきれいに端末へと送られた。
「あぁぁあああ!! 何してくれたんだ!! 俺のデータ返せよ、結構大事なものもあったんだぞ!! 」
なに機械に話しかけているのだろう……
「あー!!うるさいな、別にデータが消えたわけじゃないんだからそう騒ぐなよ!! 」
「えっ!? 」
とうとう、頭でもおかしくなったのかと思った。
「さっきまでしゃべっていたのに、急にだんまりかよ……」
そう、端末がしゃべっているのだ、厳密に言えばスマホの中の女の子が……
俺は、あまりの驚きに脇に挟んでいた封筒を落としてしまった。
すると落ちた封筒の中からある一枚の紙が出てきた。
「なんだこの紙……?」
そこには端末の説明が……というか母の手紙が入っていた。
〈やあ、ソウタ君!! 端末見た―? きっと驚いているんだろう!! 驚いている顔が目に浮かぶよ、まあ、講堂の中で驚いてくれるとありがたいけど、ソウタってこうゆう時遅刻するからな~、まあいいや今から端末の説明するよ。その端末はそこの学園で使われる端末なんだけど、ソウタが持っているのは周りのとは少し違う。そう可愛い女の子が毎日会話してくれるのだー。ま、そうゆうプログラムだけど……、今明かそう、私はプログラマーの仕事をしているのだ。でも詳しいことは教えないよ。話を戻すけどその女の子はルルっていうよ、これからそう呼んであげてね。その子の役針はデータ処理の向上化そして、ソウタは文字を読むのは時間の無駄だーとか言って本を読んだり教科書を読んだりしなかったソウタのために質問に答えてくれることだよ。まあ、その子がいればデータの処理などはすべて任せればいいから……あ、そうしたらソウタがゆ・い・つ誇れることもなくなっちゃうね(笑)機械大好きくん?ま、そうゆうことだから、大事にしてね。母より〉
「な、なんか手紙にすっげー大事なことがさらっと書いてるんですけど……」
(俺の母プログラマーの仕事してたんだ……)
俺は、さらっとしたカミングアウトに驚きながら、母の手紙をしまう。
「そう言えば、さっきから静かだな」
そう、さっきまで端末の女の子 ルル が、「無視するなっ!! 」とか「何見てるんだ? 」
とかうるさかったのに……
俺は少し気になり、端末の画面に目を向ける。
すると顔を真っ赤にして俯いているルルの姿があった。
「ど、どうしたんだ……? 」
すると
「いやな、かまってくれないからデータの処理をしていたんだ……そしたら」
ルルは、ある画像アプリを立ち上げた。
そこには女の子に見られたらやばい&高校二年生には相応しくないちょっとあれな画像が並んでいた。
「もしかして、これが大事な物というものなのか……? 」
「……」
俺の冷静さは一瞬に吹き飛んだ。
「わぁああああぁああぁああっ!!!!!! なんでお前が俺のコレク……な、それには三重パスワードに指紋認証そして本人以外に見られた時のための偽造画像強制送信にパソコンにデータ送信後の強制削除まで俺ができる限りの厳重なロックをかけていたのに……ぁぁぁぁああああああああ!!!! もう死ぬ俺はもう死ぬ。見られてしまったとうとうわぁああああああわぁあはっはっはっはっははああははあはは……」
「わあああ!! ごめん!! ごめんって見なかったことにするから!! 」
俺が壊れたことを察したのか気を使うルル
そして、俺が壊れそれを抑えるまで十分かかった。
「それにしても、ソウタのプログラムの技術もすごいな。このロックの解除にさすがの私も本気を出したぞ。」
俺は、褒められたこともうれしいのだが普通はそのロックを解除し、そして画像の送信削除まで止めれるとなるととてもすごいことなんだけど……と思った。
「はぁ~、俺の母ってすごい子とするよな。なんでこんな人みたいな声を出せてるんだ? しかも意思や感情まであるし……」
俺のふとした疑問にルルは答えてくれた。
「私も、意思とか感情の仕組みまで分からないが、声はお前の好きな声優さんの声に似せているらしいぞ」
「なるほど、だから少しその声に聞き覚えがあったのか」
そして俺はあまりの衝撃に忘れていた入学式のことを思い出した。
「そう言えば、さっきから待ってるけど一向に終わる気配がないな」
そして講堂から少し離れ、あたりを見渡す。
「まあ、それはそうだろう、この学園の生徒はお前みたいに説明してくれる私のようなものがないから端末の使い方とか注意事項なんかを一から説明するんだよ。だから、先生も生徒も全員ここに集まるんだ人を探しても見当たらないのは当然だ。」
俺がした質問とこれから聞こうとしていたことまで答えてくれた。
「お前、心とか読む機能ついてんの? 」
「さぁ、どうだろうね」
そんなあいまいな言葉で返されるととても気になってしまう。
俺は少し怖くなったがよく考えたら心を読めたら質問しなくても答えてくれるし、きっと俺の行動を察して答えてくれただろうと冷静になったら、簡単に答えが出てきた。
「ま、そうゆうことだ」
と、またまるで考えてたことが分かってたように返事をした。
「やっぱ心読めるんだろ!? 」
するとルルは
「そんな、機能があったら今頃世界は機械に支配されてるよバーカ。ソウタはよく考えてることが顔に出るだからそんなありがた能力がなくても簡単に考えてることが分かるんだよ。」
「そ、そうだよな」
あまりにも、ばかなことを言わせてしまったな、と反省しながら次の質問に移る。
「そういえば、此処の地図とかないか、結構詳しく書いたあるやつ」
そうゆうとルルは画面から消え数秒後あるサイトを開いた。
「はい、この端末に配布されていた奴じゃ物足りなかったから少し足しといたよ」
そこには、フルカラーの地図があった。
建物や道をタップするとより詳しい説明が書かれていた。
「おぉ、これをあの数秒でか……すごいな」
その俺の声が聞こえていたのかルルは画面の向こうでドヤ顔を決めていた。
俺はそのルルを放置し、地図を念入りに調べそれをさらにメモにまとめた。
「えーっと、誰もいないことは分かったけど誰かいることにかけて、一番先生が居そうな高校の職員室に行くか」
「なら、道をナビみたいに教えてあげるよ」
「うん、助かる」
講堂から高校の職員室までそこまで遠くなかった。
「それにしても、ルルの言った通り誰もいないな」
結局意味なかったか、と思いながら職員室の壁に寄り掛かり座った。
「どうした? 体調でも悪くしたのか? 」
そう、ルルが心配してくれる。
「うんん。大丈夫、ちょっと疲れただけ……ルル今何時?」
ルルはすぐ答えてくれた。
しかし、その答えを深い睡魔によって聞くことができなかった。
現在九時
3回目の投稿です。
2回目の時からどんどん書きたいことが湧いてきて今も絶賛書いています。
どんどん楽しくなってきました。
引き続き続きもし暇だったら意見とか感想とか書いてください。