プロローグ
爽やかな朝、そして眩しい太陽。
そして、今日もけだるい俺……。
この紅月学園に来て二年目、すなわち今日から二年生だ。そして、魔法の実習も増える……
「今年度からこの紅月学園の土系統魔術の担当および貴方達の担任になる立花です。みなさんよろしくお願いします」
なんて憂鬱な考えをしているといつの間にか40代ほどの女教師が丁寧なあいさつをしている。長年の経験を感じさせる流れるようなあいさつだ。
「では、さっそくですが授業に入りたいと思います」
マジか。しっかり最初くらいやらんと。
「今日は錬金です。このように薬草と精霊の水を錬金すれば……このように回復薬を作ることが可能です。その他にも……」
駄目だ。始まって十分なのに昨日の寝不足のせいで起きてられん。もう眠くてまるで先生の声が子守唄をうたっているようだ。今年度の始まりく…らい……しっ……かり……
「……ょう、九条君!!」
「……は、はい!何でしょうか?!」
びっくりした!いきなり起こさないでくれよ。起きてないといけないんだけど
「先生の前にある薬草と精霊の水を使って回復薬を作ってください。さっき説明したからわかりますね?」
くそ。こいつ寝てたの知っててこんな質問ぶつけてきたな。最初に良い先生だと思ったのに……俺の純情を返せ!!
とは言ったもののわからんしここは正直に
「すみま……」
「先生、こいつにあてたって無駄ですよ。何たってコイツできそこないですから」
「そうそう、何たって技術試験ほぼ赤点」
「だから、二つ名も血の九条だよな」
「まぁ、血って言っても全部自分の血だけど!!」
高笑いする4人の男子生徒。さすがの俺でもムカッときたぞ。テメーら覚えとけよ。
「先生。今から錬金します」
精神を両腕に集中させる。そして手を調合物の前に差し出し魔力を送りだすと両方が淡い光をだし発光しだす。
「いい調子ですね。この調子ですよ」
フッ顔が弛み、褒められて気が抜けた瞬間……
ドガッーーーーーーーーーーっん!!!!!!!!!
なぜか薬草・精霊の水が爆発。教室はボロボロ、先生は吹っ飛んでる。そして俺は……
「コイツ、また爆発させやがった。いつもどうり血だらけだぜ」
そう爆発の中心にいた俺は、頭や腕やら足やらいたるところから血が吹き出ている。
あーもう駄目……
クラスの笑い声と罵声ともに不快な眠りに落ちた。
「魔法」
つい10年くらい前には魔法なんてどこかの「おとぎ話」「神話」「伝説」の現象のものだと認識されてきた。
だか、世界各地で「世界樹」「クラヤミ」が発見されてからは話が大きく変わった。
世界樹は魔力を放出する能力があり、クラヤミは一般的には魔力を栄養源に活動する動物だった。
クラヤミにとって世界樹は必要不可欠な存在であり世界樹にとってクラヤミは守護だった。
人間が世界樹を発見し調査に乗り出すのには時間はかからなかった。
そして、研究の邪魔となるクラヤミを追い出そうとしたのが違いだった。
クラヤミは侵略してきたと怒り人間を襲うようになった。
そこで、政府はクラヤミに対抗するため、魔力を研究する機関として世界各地に魔術学園を建造した。
紅月学園はその中でも日本一の魔術学園である。