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フィフロスヴ  作者: 煎茶
勇者の章
3/5

Number.3 フィティ・ウィザード

「ね?言ったとおりでしょ。」少女はミナトの声にびっくりして目を開いた。

怯えながら見てみると、ミナトは目を瞑る前と変わらずそこに立っている。違うのは、何かを握っていることだった。

「ほら...」ミナトはゆっくりと手を広げた。ミナトの手から出た円錐状の物体が、地面に向かって落下した。


チチチ...不気味な音を鳴らしながら、デセアトは懲りずにミナトへ発砲(・・)した。

再び乾いた音が響き渡る。しかし、やはりミナトは死ななかった。

「だから意味ないってのに。」二発、三発...デセアトはミナトに向かって発砲し続けるが、やはり目前で止められる。ミナトは掴んだ銃弾(・・)を、パラパラと地面に落とした。


ミナトは、腰に携えた剣を引き抜いた。「次はこっちから、行くぞ!」

デセアトは相変わらず銃口をミナトに向けていたが、今度は発砲できなかった。

発砲するよりはるかに早く、デセアトは斬り裂かれていた。


「え!」少女は目で追うことすらできなかった。ミナトは既に剣をしまっている。

何が起きたのか、目の前の青年は今何をしたのか、少女には理解できなかった。

デセアトが砂のように崩れ始める。頑丈そうに見えたその装甲も、驚くほどあっけなく崩れ落ちた。


デセアトを構成していた砂が風にあおられて飛び去ったあと、ミナトは少女の方を向いた。

「君、平気?名前は?」ミナトは少女に向かって手を伸ばした。

「私...フィティ、フィティ・ジャッジと言います。」少女、もといフィティは戸惑いながらも、自己紹介をしてミナトの手を取った。


「おぉい!ミナトーッ!」遠くからシスクトが走ってきた。

全速力で走ってきたようで、二人がいる場所まで来た時にはぜぇぜぇと息を荒くしていた。

「お、お前...テレ...ポートなんて、つ、使えたのか...よ...」シスクトは荒い息遣いのままミナトをにらみつけた。

「い、いや、俺じゃない。気づいたら突然.....」ミナトは自分がしりもちをついた位置を一瞥した。

そこには、まだ大きな杖が落ちている。


「ええ...?じゃあ、そこのお嬢さんが...?」シスクトはフィティの方に目を向けた。

「え、いや私は何も.....」フィティは首を横に振った。


「......てか君、"ウィザード"じゃん。ライト・ウィザード。」シスクトは、フィティが着ているフードの内側にある"/"のマークを目ざとく見つけた。

「?ウィザード?何それ?」ミナトは困惑しながらフィティの方を見た。

「へぇ?知らないのかよ?今時珍しいぜ?要は"魔法使い"だよ。」


フィティは頷いた。

「は、はい...私は"ライト・ウィザード"の称号を確かに頂いています...でも、何をしても、魔法を発動できなくて...」フィティは後ろめたそうに自身の杖を見た。


「まあなァ...ウィザードの称号は今の実力だけじゃ決まらないっていうし...よく知らんけど。」

「あ、あの...!私を、連れて行ってくださいませんか?!」フィティは顔を上げ、二人をまっすぐ見つめる。


「つ、連れて行く...だって?あ、あのなぁ...俺たちゃ旅行してるんじゃないのよ!?」シスクトはフィティのまっすぐな視線に押されながらも、その発言には難色を示した。

「私、絶対いつか、"ライト・ウィザード"としてふさわしい人間(・・・・・・・)になります!だから...」それでもフィティは意見を曲げない。


「つったって...さぁ...」

「...いいよ。一緒においで。」シスクトとは対照的に、ミナトはフィティの願いをあっさりと受け入れた。

「...ただし!」その言葉に、フィティはビクッと身を震わせた。

「俺たちの旅が終わるまでに、その"ふさわしい人間"になるんだよ。いいね?」

フィティは笑みを浮かべ「はい!」と元気よく答えた。


「.....ってことだけど、シスクトはいいかい?」ミナトは苦笑しながらシスクトを見た。

「いいかいって言われてもさぁ....全くズルいもんだぜ。ほら、ついてきなよ...ええっと?」シスクトはフィティに向かって手招きをする。


「私、フィティ・ジャッジです!」

魔法使い(ウィザード)


"魔法"を使う者たちを"ウィザード"もしくは"魔法使い"と言い、大きく3つに分類される。

治癒やステータスアップ等、補助系の魔法を専門に扱うのは「ライト・ウィザード」、

攻撃や防御等、戦闘系の魔法を専門に扱うのは「レフト・ウィザード」、

両方を扱える最上位の魔法使いは、「クロスウィザード」と呼ばれ、それぞれ"/"、"\"、"X"の意匠を身に着けている。

これらは単純な能力だけでなく、その人物の将来性も加味されて与えられるらしい。

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