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フィフロスヴ  作者: 煎茶
勇者の章
2/4

Number.2 サモン・ヒーロー

「助けに行こう!」"勇者"はそう言いながら、あわただしく残骸を出て行こうとしていた。

「あ?!おい!待てよ"ミナト"!」先程まで見物していた男が、双眼鏡を投げ捨てて"勇者"、ことミナトを捕まえた。

「わわっ!止めるな"シスクト"!」急に抱きつかれ、ミナトは身動きが取れなくなってしまった。


「離せよ!」

「うるせぇ!お前ばっかり危なっかしいことやりやがって!!」

二人はそんなやり取りを繰り返していたが、シスクトは"あること"に気づいた。

「あ...あれぇ?ミナト?おーい!」ミナトが、消えた。

つい先程まで抱きかかえていたはずのミナトは、既にシクストの腕の中にはいなかった。

シクストはまさかと思い、双眼鏡を拾いなおして再び赤髪の少女を見てみた。


「うわっ!」ミナトは突然シスクトの拘束が無くなり、勢い余ってしりもちをついてしまった。

周囲を見渡してシクストを探してみたが、シスクトどころか周りの残骸すら無くなっていた。

あるのは果てしなく続く荒野と、先程まで遠目で見ていた赤髪の少女と、少女を掴み上げているデセアト、それとミナトの隣に落ちている大きな杖だけだった。


「杖を抱えた小娘だ。ひときわ魔力の強いやつな それ以外は殺してしまって構わん」

と、いう巨漢の命令に従い、デザアトは少女を掴む手を離した。

代わりに、背負っていた黒い"武器"を取り出した。"小娘"ではない目の前の男を殺すために。


「あっ...!」少女はデザアトが自分の代わりに握った黒い武器を見て、恐怖した。

これまで数多くの人間を殺してきたそれが、また少女の目の前で、人間を殺そうとしている。


ミナトは立ち上がろうとした矢先、自身に黒い武器の先端(・・)が向けられていることに気が付いた。

「ああ~..."それ"ね...」とりあえずゆっくりと腰を上げた。ミナトの動きに武器の先端が追従してくる。

「やめたほうがいいと思うけどなぁ...意味ないよそんなことしても。」この期に及んで命乞いのようなことを言い始めた。


当然デセアトは武器を握る手を緩めない。

少女は思わず目を瞑った。そしてその瞬間、聞きなじみのある乾いた音が聞こえた。

デセアトの指がかけられた引き金(・・・)が、容赦なく引かれていた。

魔法

神の力の片鱗とも言われている力。

人間、「魔族」問わず魔法を使える者たちはたくさんいるが、いまだに解明には至っていない謎多き力である。

使用時に謎の声が聞こえ、それを唱えることで発動する魔法も存在するらしい。

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