Number.2 サモン・ヒーロー
「助けに行こう!」"勇者"はそう言いながら、あわただしく残骸を出て行こうとしていた。
「あ?!おい!待てよ"ミナト"!」先程まで見物していた男が、双眼鏡を投げ捨てて"勇者"、ことミナトを捕まえた。
「わわっ!止めるな"シスクト"!」急に抱きつかれ、ミナトは身動きが取れなくなってしまった。
「離せよ!」
「うるせぇ!お前ばっかり危なっかしいことやりやがって!!」
二人はそんなやり取りを繰り返していたが、シスクトは"あること"に気づいた。
「あ...あれぇ?ミナト?おーい!」ミナトが、消えた。
つい先程まで抱きかかえていたはずのミナトは、既にシクストの腕の中にはいなかった。
シクストはまさかと思い、双眼鏡を拾いなおして再び赤髪の少女を見てみた。
「うわっ!」ミナトは突然シスクトの拘束が無くなり、勢い余ってしりもちをついてしまった。
周囲を見渡してシクストを探してみたが、シスクトどころか周りの残骸すら無くなっていた。
あるのは果てしなく続く荒野と、先程まで遠目で見ていた赤髪の少女と、少女を掴み上げているデセアト、それとミナトの隣に落ちている大きな杖だけだった。
「杖を抱えた小娘だ。ひときわ魔力の強いやつな それ以外は殺してしまって構わん」
と、いう巨漢の命令に従い、デザアトは少女を掴む手を離した。
代わりに、背負っていた黒い"武器"を取り出した。"小娘"ではない目の前の男を殺すために。
「あっ...!」少女はデザアトが自分の代わりに握った黒い武器を見て、恐怖した。
これまで数多くの人間を殺してきたそれが、また少女の目の前で、人間を殺そうとしている。
ミナトは立ち上がろうとした矢先、自身に黒い武器の先端が向けられていることに気が付いた。
「ああ~..."それ"ね...」とりあえずゆっくりと腰を上げた。ミナトの動きに武器の先端が追従してくる。
「やめたほうがいいと思うけどなぁ...意味ないよそんなことしても。」この期に及んで命乞いのようなことを言い始めた。
当然デセアトは武器を握る手を緩めない。
少女は思わず目を瞑った。そしてその瞬間、聞きなじみのある乾いた音が聞こえた。
デセアトの指がかけられた引き金が、容赦なく引かれていた。
魔法
神の力の片鱗とも言われている力。
人間、「魔族」問わず魔法を使える者たちはたくさんいるが、いまだに解明には至っていない謎多き力である。
使用時に謎の声が聞こえ、それを唱えることで発動する魔法も存在するらしい。




