Number.13 フォーマー・キングダム
馬車から見える景色と言っても、特別美しいものではなかった。
何もない荒野がただ流れていくだけ。感動などない。
ところどころ火がついている箇所があったが、そんなものが我々の気分を高揚させるはずがなかった。
「......それで、俺たちを疑わないのか?」同じ馬車に揺らされている男に尋ねてみる。
生真面目そうな男だった。我々が馬車に乗ってから今まで、姿勢どころか表情一つ変えずに座り込んでいる。もしかしたら、答えてくれないかもしれないなと思った。
「あなたのそれが、信頼たりうると判断させた。それだけの事です。」生真面目はこっちを見ながら自分の額をトントンと叩いて見せた。
恐らくは、この赤い宝石のことを言っているのだろう。頭飾りについている美しい宝石。どのようなものなのかは......つけている当人ですらよく分かっていないのだが。
「さあ、つきましたよ。」生真面目は相も変わらず生真面目な表情をしている。
どんなものなのかと馬車の隙間から覗き込んでみると、ボロボロになった門のようなものが正面に構えていた。
王国......だったんだろう。門には薄れた国章のようなものが大きく描かれている。ギシギシと不快な音をたてながら扉が開くと、それが半分に分かれた。
ミナトやフィティと一緒に王国の様子を覗き込んでいたが......なんだか哀しい気持ちになってきた。
王国を取り囲む塀は、塀として全く機能していなかったし、中の建物だって一つとしてまともに形を残しているものは無かった。
真ん中を陣取る、巨大な城だけが悪目立ちしていた。
「あの城に......レジスタンスのアジトがあんのか?」城に向かって馬車が進むのを感じながら、生真面目をにらみつける。
「そうです。しかし、上はほとんど使われていませんがね」
その返答に、彼へ向ける目はさらに細く鋭くなった。
「おーい!生きてるか?!」仲間が吹き飛ばされた地点までテレポートで来てみたが...
「うう...」言葉にならないうめき声が聞こえてくる。その声を辿ってみると、力なく倒れている仲間がいた。
生きてはいるようだ...顔面は思い切り殴られて潰れていたが、全身を見てみれば大した変化はなかった。
「スドキヨクル......回復できるか?」
「ええー...私はあくまでレフト・ウィザードですよ...回復魔法は専門外です。包帯を巻いとけとしか言えません」まあ、分かっていた答えだったが...少しがっかりした。
「...てか、ここ......」仲間が吹き飛ばされた先は、何もない荒野...ではなかった。
こんな偶然があるものなのかと、しばらく呆気に取られていた。
白い建物に白い装飾...不気味なほど全体が白い都市......
「自治領......ペリセデュー。」薄い膜のようなものに囲まれた都市が、目の前に佇んでいた。




