Number.12 レジスタンス・コンタクト
「離せ!どけっ!!」ミナトは、案外あっさり手を離した。まるでさっきまでの力が嘘みたいに、いとも簡単にその手を離してしまった。
気持ちの悪いやつ...心の中で悪態をついた。なぜなら、目の前でミナトはニコニコと笑顔を浮かべていたからだ。
「やっぱり、そういう気があったんだな!......」
決してそういう気はなかったが、これで用事は済んだ。ハイフィスにかけた"加護魔法"は、きっと役に立つことであろう。
さて、問題は......「フィティ...」
フィティの顔をきれいにうつす短剣は、少しでも動かせば彼女の肌に突き刺さりそうだ。
「ミナト...これでは手が出せん!」シスクトも焦りを募らせる。
助ける手立てはある。しかし、それでは駄目なのだ。駄目な理由がある。
「なにか...なにか別の......」
「ひ...」こんな殺伐とした世界、命の危機に陥ったことは何度もあったが...やはり慣れるものではない。
目の前に突き立てられた短剣が、恐怖を煽る。
「動くんじゃねえぜ!動けば、この小娘は死ぬ!」自分を捕まえる男の声が、さらに恐怖心を加速させる。
「死......!!」その言葉に頭が真っ白になる。何も考えられない。
地面に落ちた杖がまるで頭の中のように白く光っていることも、その時は気づかなかった。
「白く...え、これ...!」
「"ブースター"......!」シスクトにその魔法がかかっていることは、彼の姿を見れば明らかだった。
全身が白く発光する。それが、増幅魔法"ブースター"の印。
「ミナト......!?」シスクトは真っ先にこちらを疑った。が、こちらもそんなものをかけた記憶はない。
なら、誰が...?
「とにかく行け!シスクト!」ミナトに疑いの目を向けていたらそう怒鳴られた。
やっぱりミナトなんだな。と思いつつ、フィティの方に身体を向ける。
ミナトなら"ブースター"の増幅度合いもそれなりだろう。
「だったら......!」足にぐっと力を入れ、フィティめがけて走った。
「え...おい待っ...」言い切るよりもはるかに早く、彼の拳が仲間の顔に接触する。
その拳は、少女を残して仲間をどこかへ吹き飛ばしてしまった。
「なに...!?あのパワー......」理解が追い付かない。あれほどのパワーを、ブースターの増幅程度で出せるものなのか?吹き飛ばされた仲間の姿は見えない。
「貴様らっ...!」落ち着きを取り戻せないまま、ミナトへ剣を向ける。
だが、どうやら時間切れのようだった。
ハイフィスの剣が、何かに吹き飛ばされる。
立て続けに、その何かがハイフィスたちを狙って向かってきた。
黄色く発光する直線が、次々に襲い掛かってくる。
「ぬおっ..."攻撃魔法"か!スドキヨクル!!」
「へいへい」驚くほど気の抜けた声が聞こえてくる。
「さっき吹き飛ばされたやつを探して、そこにテレポートしろ!救出する!」
スドキヨクルが準備をするのを確認しながら、自らも剣をしまって彼の方へ向かう。
「覚えておけ!これで終わりじゃないからなミナト!!」捨て台詞も忘れない。
ハイフィスの捨て台詞を聞き流しながら、攻撃魔法が来た方を確認する。
遠くから、数台の"馬車"が向かってくるのが見える。
「あれは......」シスクトが知っているふうに呟いた。
「ミナト...フィティちゃん...あれが噂の"レジスタンス"だぜ...」
レーザー
分類:戦闘系魔法
基本的な攻撃魔法。
直線的な黄色いレーザーを発射する。
素手でも使用可能だが、基本的には杖を介して使用する。




