Number.11 プロテクション
「イルマ"卿"...」星を眺めていたら、部下の一人が話しかけていたころにも気が付かなかった。
「その呼び方はやめてくれ...」ハスファド・"イルマ"。この王国有数の貴族、イルマ家の末裔...
だから、今でもイルマ"卿"と呼ばれている。もう、そんなものは何の意味もなさない筈なのに...
「......この付近で、人間同士の戦闘が確認されました。"国境"ギリギリです。」
「国境、ね...入ってきたら排除するし、そうでなければ放っておく。いつも通りで良いだろう。」
「そうなんですが...一人は額の装飾に赤い宝石をつけていると報告が。」
「......?なんだと...?」私は目の色を変え、部下をにらみつけた。
「?いま、何か...」視線を感じたが、今はそれどころではなかった。
ハイフィスに目を取られ、フィティがまた彼の仲間に捕らえられたことに気づかなかった。
彼女は屈強な男に抱き着かれ、身動きが取れずにいる。
「おおっと...前みたいにはいかないぜ?こいつに近づけばこの首が飛ぶぞ!」
男が短剣をフィティに突き付けたことで、さらに焦りを募らせた。
とにかく、早く...早く"用事"を済ませなければ。
「気乗りはしないんだがな...逃げられても困るんでね」少女を人質にせよ、など命じてはいないが...
まあよい、殺しはしないだろう。これで気兼ねなくミナトの首をもらえそうだ。
「おっ...!」そんなことを考えた矢先、ミナトがこちらへ向かって飛び込んできた。
よーやくやる気を出したか!...と思ったのだが。
「剣を捨てた......?」
この用事を済ませるのに、剣は邪魔だ。なので走りながら捨てておいた。
剣の代わりに掴むのは...ハイフィスの、肩だ。
ハイフィスが反応するよりもはるかに早く、彼の両肩に掴みかかった。
「うわ!?」素っ頓狂な声を出してしまったのは、ミナトが掴みかかってきたからだ。
両肩を掴まれて、身動きが取れない。
「くそ...離れろ...!」抵抗してみたが、それもむなしく私の身体は押し倒されてしまった。
「くそー!やめろ離せー!!私にそのような趣味は無いぞー!!」無駄だと分かっているが、身体全体を動かして脱出を試みる。しかしミナトの力は想像以上に強い。私の抵抗などものともしない。
「俺にだってそんな趣味はない!黙っておとなしくしてろ。」ハイフィスが何か言っていたが、無視して押さえつける。
こんなことをする目的はただ一つだ...
「対象魔法は......"ブレイン"。我が名において...ハイフィス・フェイビデイへ永久の加護を与える...」
詠唱と共に、"用事"は済んだ。
加護魔法
分類:???
あらゆる魔法を跳ね飛ばす"加護"をかける魔法。
それぞれの魔法に対応した加護魔法が存在し、例えば"ブレイン"に対応した加護魔法なら"ブレイン"のみを跳ね飛ばす。
使用できる者は"テレポート"や"ブレイン"よりも少数である。
使用の際は固有の詠唱が必要。




