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フィフロスヴ  作者: 煎茶
勇者の章
10/13

Number.10 ハイド・チーム

夜になると、改めて寂しくなるものだ。

かつては夜でも人が行き来し、明かりが灯っていた町。

今や明かりはおろか人ひとりおらぬ。

町全体を見下すことのできる城も、同じように人も明かりもない。

「"トール"が見たら...びっくりするな」消えた英雄を想いながら、空に浮かぶ星を眺める。


岩の後ろに隠れるというのは、想像していた以上に心もとない。

さっきまでいた村を離れ、ケントゥリア・1の目をかいくぐるために隠れてはいるが...

「フィティ...杖は降ろしておいた方がよさそうだ」岩の外を監視していたミナトが声をかけてきた。

近づいている、ということなのだろう。

断る理由もないので、持っていた杖を地面に置いた。


足音が聞こえる。訓練された集団の足音...言わずもがなケントゥリア・1だ。

息を殺し、身体全体を岩に潜める。

「.........行った、か」遠ざかる足音を聞きながら、ホッと一息つく。

「動くなら...今のうちかな」忙しいものだな、と心の中でため息をついた。


「......」

「ん?どうした?フィティ...」彼女が、こちらをじっと見つめていることに気が付いた。

「あのっ......いえ、なんでもありません...」フィティは慌ただしく目をそらした。

なんだろう?疑問が頭に浮かんだが、尋ねるのは後にしようと思った。今は、逃げるのが先だろう。


「そういや...この近くだったな...」

「?何かあるのか?村以外に?」ミナトが興味ありげに尋ねてきた。

「いやな...このあたりにはレジスタンスの拠点があるって話なんだ...結構でっかいな...ん?」

話している途中、何かの足音を感じた(・・・)

地面に顔を近づけ、さらに詳しく調べてみる。


「シスクトさん...?ど、どうしたのですか?」フィティが珍しいものを見る目で見つめてくる。

まあ、こんな間抜けなことをしてたら仕方がないのかもしれないが。

「この距離は...さっきの村ぐらいか。バラバラな足音が、こっちに近づいてくる!」

いきなり現れたのは、あの村に隠れていたから?それとも......

そんなことを考えている間にも、足音は大きくなる。しかも、今度のはしっかりここ(・・)を狙って!


「良い夜じゃないかー?星がよく見える夜だ。」岩の向こうにいる三人に、聞こえるように声を出してみる。当然返事は無い。

「ほんとにいるんですかぁ?ハイフィスの旦那?」部下の一人があくびをしている。それを横目に、岩の方へ足を動かす。「スドキヨクルの"生命探知"は正確だ。見てろ...」


「私はこんな夜が好きだ...なにせ...」


「星のおかげで、その宝石の見栄えも良くなろうからなぁ!」

岩に手をかけた、その時だった。


期待通り、岩の陰からミナトが飛び出してきた。連れの青年と少女も一緒だ。

「ハイフィス!!」ミナトは剣を引き抜き、こちらに斬りかかってくる。

待っていた...この時を!興奮する気持ちを抑えながら、こちらも剣で対応した。


「今度こそ...その首をいただくよ!ミナト!」ハイフィスは興奮を抑えきれないといった面持ちだが、こちらとしてはたまったものではない。

折角ケントゥリア・1を隠れてやりすごしたというのに、派手に動けば見つかってしまうかもしれない。

とにかく、ここは手早く済ませなくては。

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