Number.10 ハイド・チーム
夜になると、改めて寂しくなるものだ。
かつては夜でも人が行き来し、明かりが灯っていた町。
今や明かりはおろか人ひとりおらぬ。
町全体を見下すことのできる城も、同じように人も明かりもない。
「"トール"が見たら...びっくりするな」消えた英雄を想いながら、空に浮かぶ星を眺める。
岩の後ろに隠れるというのは、想像していた以上に心もとない。
さっきまでいた村を離れ、ケントゥリア・1の目をかいくぐるために隠れてはいるが...
「フィティ...杖は降ろしておいた方がよさそうだ」岩の外を監視していたミナトが声をかけてきた。
近づいている、ということなのだろう。
断る理由もないので、持っていた杖を地面に置いた。
足音が聞こえる。訓練された集団の足音...言わずもがなケントゥリア・1だ。
息を殺し、身体全体を岩に潜める。
「.........行った、か」遠ざかる足音を聞きながら、ホッと一息つく。
「動くなら...今のうちかな」忙しいものだな、と心の中でため息をついた。
「......」
「ん?どうした?フィティ...」彼女が、こちらをじっと見つめていることに気が付いた。
「あのっ......いえ、なんでもありません...」フィティは慌ただしく目をそらした。
なんだろう?疑問が頭に浮かんだが、尋ねるのは後にしようと思った。今は、逃げるのが先だろう。
「そういや...この近くだったな...」
「?何かあるのか?村以外に?」ミナトが興味ありげに尋ねてきた。
「いやな...このあたりにはレジスタンスの拠点があるって話なんだ...結構でっかいな...ん?」
話している途中、何かの足音を感じた。
地面に顔を近づけ、さらに詳しく調べてみる。
「シスクトさん...?ど、どうしたのですか?」フィティが珍しいものを見る目で見つめてくる。
まあ、こんな間抜けなことをしてたら仕方がないのかもしれないが。
「この距離は...さっきの村ぐらいか。バラバラな足音が、こっちに近づいてくる!」
いきなり現れたのは、あの村に隠れていたから?それとも......
そんなことを考えている間にも、足音は大きくなる。しかも、今度のはしっかりここを狙って!
「良い夜じゃないかー?星がよく見える夜だ。」岩の向こうにいる三人に、聞こえるように声を出してみる。当然返事は無い。
「ほんとにいるんですかぁ?ハイフィスの旦那?」部下の一人があくびをしている。それを横目に、岩の方へ足を動かす。「スドキヨクルの"生命探知"は正確だ。見てろ...」
「私はこんな夜が好きだ...なにせ...」
「星のおかげで、その宝石の見栄えも良くなろうからなぁ!」
岩に手をかけた、その時だった。
期待通り、岩の陰からミナトが飛び出してきた。連れの青年と少女も一緒だ。
「ハイフィス!!」ミナトは剣を引き抜き、こちらに斬りかかってくる。
待っていた...この時を!興奮する気持ちを抑えながら、こちらも剣で対応した。
「今度こそ...その首をいただくよ!ミナト!」ハイフィスは興奮を抑えきれないといった面持ちだが、こちらとしてはたまったものではない。
折角ケントゥリア・1を隠れてやりすごしたというのに、派手に動けば見つかってしまうかもしれない。
とにかく、ここは手早く済ませなくては。




