第一話「謎の怪物」
それはある日のテント内で1人の少女が目を覚ました。少女は状況が分からずテントの外に出る。
時は昼、天気は雲一つない快晴。灼熱の太陽と砂以外何もない景色、そして空気を揺らすほどの高温がここは砂漠であることを意味付けていた。
少女は何一つ理解できなかった。何故自分が砂漠にあるテント内で意識を失っていたのか。何故自分の身体には包帯が巻かれているのか。そして「自分が何者」であるのか。
そんな時、少女に近づく男が歩いて来た。男は少女に向かって、「おお、目覚めたか!」と言った。男の顔には安堵の顔が浮き出ていた。
「あなたは・・・・誰なの?」
震える声で少女は尋ねた。
「俺か?俺の名前は佐藤悟。この難民キャンプで働いてるただの職員だ。」
男は答えた。しかし少女はますます混乱した。何故自分がそんなところにいるのかを。
「君の名前は?」
「・・・・・・・・・・・・。」
答えられなかった。少女は自分が何者であるか、つまり自分の出身地はおろか自分の名前すら分かっていないのだから。
「ごめんなさい、分からないです。」
男は感じ取った。これはやはり訳ありであることを。
「・・・・そうか。じゃあ君は何故砂漠に一人で倒れてたんだい?しかも血まみれで。」
男の発言に少女は少し思い出した。先日、少女は人ならざる何かから逃げていたこと、そして逃げ切ったあと力が尽き意識をこの砂漠で失ったことを。
少女は恐怖した。自分が怪物のような存在に追われていることに。
男は震える少女を優しく抱きしめた。
「ごめんな。怖い記憶を思い出させたようで。でも大丈夫だ、ここには俺がいる。」
男の声は優しかった。初めて会う人間であるのにも関わらずこの男は優しい人間であることを表すかの如く、少女にとっては安心できるそんな声だった。
男は少女が落ち着いたのを確認し、少女が話しやすいよう目線を合わせるため少しかがんだ。
「ここは暑いからテント内に行こう。ここより涼しいし、何よりせっかく目が覚めたんだ。まずは飯食って早く怪我を治せるようにしなきゃな。」
男は笑ってそう言った。後ろの二つの人影に気づかずに。
ドーーーン
男は轟音と共に吹き飛ばされた。少女はまた恐怖した。男が吹き飛んだことに?違う。目の前にいる人間の腕が触手のように動いていたから。そして触手の男の隣にいる女は思い出した記憶の中で自分を追っていた女と同じだったから。
「ちょっとぉ、あんまり外ぉでは派手に能力をぉ使うなって言われてたでしょぉ。」
「仕方がない。アレは俺たちの上位互換。故に二人がかりでの出し惜しみは命取りに繋がる。」
少女は理解できなかった。先ほどの会話をそのまま取るなら自分にも人ならざる力を持った男以上の力を持っているということになるからだ。
「あらぁ?いつもと違う感じねぇ。カ・ル・エ・ちゃん」
カルエ、それがおそらく少女の名なのだろう。しかし今の少女にとってはそんなことなどどうでも良かった。今の少女は恐怖で頭が一杯であったから。
「おい、待てよ。」
少女たちは声のする方へ向けた。それは悟だった。
『何?俺は奴の骨を砕く気で薙いだ。なのに何故動けている?』
「テメェら何者だ?特に触手の、何でテメェは人間の形してアイツらのような力を持ってる?」
悟の気配は先ほどとは違い歴戦の猛者のようだった。
「あらぁ?いいのぉ?私たちは一般人であるあなたとぉは違うのにぃ。」
「うるせぇ黙ってろ、改造女。」
「あらぁ!知ってるのぉ?私のような人間をぉ?」
「当たり前だ。こちとら滅亡も襲来も経験してんだからな。」
『だが触手の方は初めてだ。奴らの仕業だったら新型ってとこか?』
悟は少女の前に背を向けて立つ。
「やる気か?貴様。」
「ああ、最近のはどんなもんか知らねえからな。それに、震える子供を見捨てたら死んだ仲間にぶん殴られるからよ。」
悟は顔に怒りを表してそう言い、空手の構えをした。
少女は悟の背中を見て思ってしまった。
『これ以上この人に迷惑はかけられない。』
少女は走った。人間離れしたスピードで。
「!?」
悟は驚愕した。少女の人間離れしたスピード、そして少女の走る姿が「襲来戦争」にて何度も相対してきた「改造人間」のと酷似していることに。しかしそれは女が少女を追うのに充分な隙となった。
「ばぁ〜いび〜〜」
女は一瞬で悟との距離を作った。
「しまっ・・・・!?」
悟は女をすぐに追おうとした。だが触手の男が遮るように悟へ攻撃した。
ドーーーン
悟は何とかその攻撃を躱した。そして触手の男に向けて強烈な圧をかけた。
「テメェ、これ以上邪魔するならコッチも容赦しねぇぞ。」
触手の男はその圧に対し激怒した。
「ただの人間が最高峰の力を持つこの俺を相手取れるとでも?舐めるのもいいところだ。」
少女は全力で走った。しかし女に追いつかれてしまった。
「つっかまぁ〜〜えたぁ〜〜!」
ダーーーン
少女は女に頭を掴まれてそのまま地面に叩きつけられた。
「昨日より全然おっそいなぁ〜。怪我、まだ治ってないのぉ?」
女は少女に問いを投げた。
「一体何なの!?あなたたちは何で私を狙うの!?」
涙を流しながら少女は女に聞いた。それに対して女は醜悪な顔を浮かべた。
「えぇ!?アンタもしかして記憶がないのぉ?最高じゃない!!あのカルエをことごとく痛ぶれるなんて!!しかも残虐だったあの頃のアンタじゃなくて、か弱くなっちゃった今のアンタを!!」
女の言動に少女は恐怖を感じた。今まで気味が悪かった女がここまで感情を表に出したから。
バキッ
女は少女の右足を折った。
「ア”ア”ア”ーーーー!!」
少女は悲鳴を上げた。
「はあぁぁぁああ〜〜〜。最&高♡」
女は少女の悲鳴に対し愉悦に浸っていた。
『何で?何でこんな目に?』
「それじゃぁ、もう一本折っちゃおうか♡」
そう言うと女は少女の左足を折るために自身の足を少女の左足に置いた。
「ヒッ!?」
少女の頭は恐怖でいっぱいだった。
バチーーン
「・・・・・・・・は?」
謎の音と共に女は困惑した。何故なら少女の左足に置いたはずの足が消えていたからだ。
「アンタ・・・・まさか力を・・・・」
ドゴーーン
女が何かを言い終える前に落雷のような一撃が彼女を蒸発させた。少女は今目の前で起きたことを理解できなかった。だが自分を襲う恐怖の対象がいなくなり安堵していた。そして少女は気を失った。
数分後、気を失った少女の元に近づく人影が現れた。その人影は悟のものだった。悟の身体には無数の打撲跡があり、肋骨も1本折れていた。だが悟にとってはそんなことなど少女の無事と比べればどうでも良かった。普段なら。悟は見てしまったのだ。目の前の惨状を。目の前にある黒焦げの何かを。悟はこのカルエという少女が改造人間と思っていた。しかしこれは脳やDNAをいじくって身体能力を異常強化させた改造人間では到底できるようなことではなかった。悟の脳裏には倒した触手の男が浮かんでいた。何故なら彼は自身が体験した最悪の経験の一つである「滅亡戦争」で対峙した地球外知的生命体の能力と酷似していたものが記憶にあったからだ。故にこの謎の少女も触手の男と同じ存在であるのではないかと感じた。
『・・・・・・今はそんなこと考えてる場合じゃないな。少なくともこの子は記憶がない。なら後で問い詰めて判断するのでも遅くはないはずだ。』
悟はそう決めて少女をおぶり、その場を後にした。道中で悟は決意した。もしこの少女が敵ならば殺す覚悟を持つことを。
To Be Continued
皆様こんにちは。カルバです。人生で初めての小説投稿ですごく緊張しております。セリフが多くて小説に感じなかったり、読みにくいところもあると思いますが初心者ということで飲み込んでいただけると助かります。一応連載するつもりなので伏線なども貼ってあるので深く読んでいただければ嬉しい限りです。




