「わたし足がない!」これって……異世界転生じゃない! 幽霊転生だ!
「わたし足がない!」これって……異世界転生じゃない! 幽霊転生だ!
「やばい……転生する先を間違えたわ……」
まさか幽霊に転生するなんて……。
私の名前は尾形京子というごく普通の女の子だった。異世界あるあるな事があって私は死んでしまった。でもなんと! 女神様がわたしに転生する機会を与えてくれたの!
『あなたは次の世界でどういう人になりたいのですか?』
「うーん、チート系のスキルを持って魔王を倒しに行くのもいいけれど、私は静かにスローライフを楽しみたいわ」
『なるほど……静かに暮らすっと……メモメモ』
「それと空は飛べた方がいいかも! 飛行スキル的な感じでよろしくね!」
『なるほど、空を飛ぶことができる……メモメモ』
「あとねー! 不老不死! これは外せないわ! もう死ぬのはごめんよ」
『はい、不老不死ですね! なんとかやってみます!』
あ、あとは容姿! 可愛い女の子でよろしくお願いします!
『はい! かしこまりました』
「次の世界が楽しみだわ!」
『それではいってらっしゃい!』
○ ○ ○
「それで私幽霊に転生してしまうとか、どっちみちわたしは死んでるじゃん!」
たしかに静かな場所と言えば『墓地』、空が飛べるといえば足が無い幽霊……か。不老不死の所は既に死んでいるから? ということ? なんか納得いかないけれど、たしかに不老不死……という願いは叶ってる……
現世で死んだのに、なんで異世界で幽霊しないといけないのよ!
幸い顔だけは可愛くなってるからそれだけはよかったわ。転生先が可愛くなかったら死にそうな気分になるからね……て、私もう死んでるけど……
つんつん
あたり一面は夜。
「幽霊に転生って……はぁ……」
私は大きなため息をついて、再び当たりを見渡す。日本とは違う雰囲気の墓地……石の石碑が綺麗に並んでいる。
つんつん
「なに? わたしは今状況整理で忙しいの!
えっと……とりあえず散策するのが大事だわ」
つんつん
「うるさいわね! って? あれ? 私のこと触れるの?」
「お嬢さん、ここは初めてで?」
私の背後から声が聞こえた。
「……」
私はおそるおそる後ろを振り返ってみた。
バァ!
それは傘の幽霊だった
「ぎゃあああああ! かさの幽霊なんて初めてみたあ!!!!」
「ふっ、人間を脅かすのは幽霊の嗜み……あれ? 人間だと思って脅かしたら足がない!!! もしかして人間の幽霊? ぎゃあああ、こわいいいいい!」