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【書籍化】乙女ゲームの設定で私に義弟なんていなかったはずだけど、トキメキ止まらないので悪役令嬢辞めて義弟に恋していいですか?  作者: 雨宮レイ.
第1章

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64.地下牢はまるで監獄のようで。

ブックマーク&作品評価ありがとうございます。

 





 バシッ!!!と乾いた音が小さな部屋に響く。

 それと同時に左頬に鈍い痛みが走った。



 目の前には大きく重たそうな体で肩で息をしているキモぶ……モリンナの父親が目を釣りあげて立っていて、その後ろには冷ややかな目で私を見下ろす執事の姿。



「余計なことしやがって!!」



 そう声を荒らげながら振り下ろした手は熱を持った頬に再び勢いよくぶつけられた。



「っ!!!」

「大人しくしとけば良かったものを……っ!!!」



 ジンジンと痛みが増す左頬に熱を感じ、目からは生理的な涙が流れる。



 失敗した。


 そう心の中で呟き増し続ける痛みに顔を歪める。




 どれくらい時間が経っただろうか。

 人間の集中力は90分が限界だと言われている。なんてどこかで聞いたことがあって、とにかく集中していた私はいつの間にか目の疲れに気づき、両目の目頭を摘むようにして揉みほぐしていた。


 そして体制が悪かったのもあって、ファイルを広げたまま私は夢の世界へと意識を飛ばしてしまったのだ。



 それがいけなかった。私は近づいてくる足音に気づけなかった。それどころか、ドアが開く音さえ気づかなかった。



 ドカッと鈍く響いた音とお腹に走った痛みで目が覚めた。髪を思いっきり引っ張られる痛みに目を開けると、執事の冷ややかな表情が見えれば、そのまま髪を離され体は床に叩きつけられる。



「いっ……」


 縛られたままの手では上手く体を支えることが出来ず、床にぶつかった左肩に痛みが走り思わず声が零れた。



 ゆっくりと目の前に立っていた執事が出入口の方へと下がれば、次に太い足が目に入り、一歩、また一歩と近づいてきた。そして、近くに落ちている開かれたままのファイルを見て地団駄を踏んだ。


 ドンッ、ドンッ!!と響く足を床に叩きつける音に体が震える。



「あぁ、クソっ!!」


 と頭を掻きむしりながら苛立ちを隠す事無く暴れれば、私の髪を乱暴に掴んで持ち上げると、右手を大きく振り上げて勢いよくそれを振り下ろした。



「このクソガキが!!」



 そう吐き捨てながら振り下ろされた手は私の左頬に鈍い音を立ててぶつけられた。



 そして今、生理的な涙を流す私に目の前の男は苛立ちを感情のままにぶつける。



 体中に痛みが走る。これまで味わったことの無い痛みに今にも意識が飛びそうになる。



「クソがっ!!モリンナもこんなやつ寄越しやがって!!使えねぇガキがっ!!」

「伯爵様、そのくらいに」

「クソっ!!コイツも他のガキと一緒地下に連れていけ」

「かしこまりました」



 ガリガリと頭を掻きむしりながら部屋を出ていく姿は何とも不快で、体の痛みを感じながら何とか意識を保っていれば、執事に強引に腕を引かれ立ち上がれば、まるで猫の首根っこを掴むかのように力強く掴まれる。


 引っ張られるままに痛みを堪えながら足を前に出せば、2つ隣の扉の前にたどり着き、鍵を開けてドアを開ければ、ドアと同じだけの横幅しかない下へと続く階段のある真っ暗な空間が現れる。



「歩け」



 言われるがままにゆっくりと階段を一歩ずつ降りれば、バタンと後ろ手に扉を締められ光が一切無くなった真っ暗な闇が私をつつみ足がすくむ。


 するとどこかにボタンがあったのか、壁に等間隔に設置されていた小さなランプが一斉につき、ぼんやりと足元が見えるようになった。



「早く進め」



 階段を踏み間違えないように慎重に螺旋状になっている階段をおり続ければ、広い地下空間のような場所に出る。



 私は思わず顔を逸らしてしまった。



 壁に打ち付けられた手枷に片腕を吊るされ拘束されていて、喋る気力もないのか冷たい地面に力なく腰を下ろして項垂れて牢の中に入れられている子供が何人もいた。



「お前はこっちだ。」



 監獄のような牢の横を通って奥に進めば進むほど目を瞑ってしまいたくなる光景が目に入る。



「入れ」


 隙間風を感じる1番奥の鉄格子の中に小さい入口から入れば、突き飛ばされて私はコンクリートに勢いよく倒れ込む。


 その内に執事の男は慣れた手つきで私の腕の拘束を解いたかと思うと、新たに片手に壁に打ち付けられた拘束具を取り付けた。



「ここでしばらく大人しくしておけ。」


 その一言を残し執事は小さな入口から外に出て厳重に鍵をかけてその場を後にした。



 右腕が吊られた状態をどうにかしたいが、体中が痛くて今はそれどころではない。

 正面の牢に入れられた子供は1度も顔を上げることはなく、私と同じように手を吊られて項垂れている。



 床の冷たさが触れている足に伝わる。

 この冷たさが今は不安や恐怖へと変わっていく。










20210831.



次回更新予定日は9月4日です。



9月に入りました。8月はコンテストの一次選考通過という貴重な経験をさせて頂きました。本当にありがとうございます!

今後ともよろしくお願いいたします!!


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