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【書籍化】乙女ゲームの設定で私に義弟なんていなかったはずだけど、トキメキ止まらないので悪役令嬢辞めて義弟に恋していいですか?  作者: 雨宮レイ.
第1章

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48/85

48.ヴィーおじ様の恋のアドバイス?

ブックマーク&作品評価ありがとうございます!

 




「なんなん?お嬢らいつもあんななのか?」

「えっと……、いつもでは……ない……と、思うのですけれど……」

「いやいや、めちゃくちゃ思い当たる節があるだろその感じだと」



 何かと理由をつけてウィルをキッチンから追いだ……コホン。部屋へと戻るよう促し、2人きりになった途端ヴィーおじ様は、溜息半分、いや、8割くらいと、他人の色恋沙汰への好奇心や興味、悪戯心2割くらいを込め、はぁ。と息を……、いや、溜息を吐いた。



 ()()()()()()が無い訳では無い。むしろすぐに思いつく。

 でも、あの時ウィルが私に伝えた気持ちや、最近の彼の行動を私自身がどう受け止めたらいいのか分からなくて、ウィルの行動一つ一つにドキドキしてしまう。




「それで?お嬢はどうなんよ?」

「どう、とは?」

「お嬢は坊ちゃんの気持ちに応える気はあるのか、って事」



 あまりに直球に聞かれたものだから一瞬トキメキでは無い方の意味で胸がドキッとした。

 正直、私はまだこの質問に対する答えを持っていない。だから、応えられるのか。と聞かれても、分からない。と言うのが現状である。


 ただ、ひとつ言えるとすれば、嫌ではない、という事だろうか。

 ウィルの行動も甘い言葉も、恥ずかしいしびっくりしたけど、これまで1度も不快に思ったことは無い。むしろ心臓が痛いくらいにドキドキさせられることもある。


 でも、それがウィルと同じ気持ちなのかと聞かれたらハッキリとイエスとは答えられない。



「まぁ、色恋なんてやつはお嬢も坊ちゃんもまだまだこれからだしな。焦らずゆっくり答えを見つければいいさ。」

「……でも、ウィルは弟です。そんな気持ちを持ってもいいものでしょうか」

「なんで?別にいいんじゃねぇ?」



 一瞬視線を下げた私にお構いなくヴィーおじ様はあっけらかんと言い放った。まるで、何が悪いんだ?とでも言いたげに。



「弟ったって義理だろ?血は繋がってないんだ。気にするこたぁねぇよ。それに好きになったら姉貴だとか弟だとかどうでも良くねぇか?」


 いや、それは良くないだろう。

 ……と、思わず突っ込みそうになる。



 この国でもその辺の法律はちゃんとあって三親等内の傍系血族の間では婚姻が出来ないと定められている。


 ただし、この世界では後継者となる男児がいない貴族が優秀な養子をとる事はよくある事で、さらに血を途切れさせないため娘と婚姻を結ばせる事も割とある話だから私とウィルがそういう関係になる事は決してダメなことではない。


 強いて言うならモラルの問題かもしれないけど……、それも日本人としての感覚だろう。そもそもこの国にモラルなんて言葉があるかすら怪しいところだ。



 たしか日本では養子も血族としてみなされいたはず。そんな日本とは違ってこの世界は、血が繋がって無いならいいんじゃない?と法律が緩いというか、曖昧というか……。


 まぁよくある事、つまりこの世界では当たり前の常識で、そういう共通認識なのだろう。




「にしてもその言い方だとお嬢もその気なんじゃねぇか」

「っ!?」



 ヴィーおじ様の思いもよらぬ指摘に私はハッとして自分の言った言葉を思い出した。


 ウィルは私にとって可愛い弟だった。普通弟にそんな感情は持たない。

 でも私はいつの間にか、ウィルと【恋人】という関係になってもいいものなのかと、遠回しにそう口にしていたのだ。



「でも、いずれきっと、ウィルには可愛い婚約者ができます。」

「だったらその前にホークスの旦那に言えばいい」

「そんな他人事だからって……」

「実際俺からしたら他人事だしな。でも、お嬢が幸せになる事が俺の幸せでもあるからよ。」



 そんな簡単な話じゃない。ヴィーおじ様の他人事だから言える言葉にちょっとムッとするも、最後の言葉を聞いて内心でちょっと反省した。



 私が生まれた時からヴィーおじ様は私のことを知っていて、いつもお菓子を内緒でくれたりしていた言わば年の離れたお兄ちゃんや、叔父ような存在だ。

 だからヴィーおじ様も私のことを妹や姪っ子のように思ってくれていたのかもしれない。



「ホークスの旦那は話せばちゃんと聞いてくれる人だ。それに旦那が1番お前らの幸せを願ってるよ」

「でも……」

「お嬢に坊ちゃんと望む未来があるなら、坊ちゃんが頑張ってるようにお嬢も頑張るしかねぇんじゃねぇの?」



 ウィルが頑張っているように……?



「でも、私はまだこの気持ちが恋なのかは分かりま」

「さっきからでもでもでもでもって、でもでも星人かお嬢は!」

「で……っ!?!?」


 でもでも星人とは!?!?



「昔からお嬢は言い訳なんかせずに何かあれば考えてたじゃねぇか。考えて行動して、失敗したらまた考えて、そうやって来たのがお嬢だろ?

 こんな風に言い訳ばっかり並べる姿なんてらしくねぇよ」



 やけにヴィーおじ様の言葉が胸に刺さる。


 昔からより良い未来のためにずっと考えてきた。でもそれは死亡フラグを回避するためで、更には前世の記憶があったからこそだ。相手との関係や相手の性格、相手が自分に対してどんな風に思っているのか、そんなのを知った上で出来た対応だ。


 でも、ウィルは……


 ウィルはゲームには登場しない。だから心を貰ってもそれをどうすればいいかが分からない。


 もしウィルとそんな関係になったとして、それが未来にどんな影響を与えるかわからないのが怖い。


 ウィルは私以外の令嬢との交流がほとんどない。だから今は唯一の女である私を好きだと勘違いしていたら?

 ほかの令嬢と関わるようになってその人を好きになったら?ヒロインが現れてもしヒロインを好きになったら?


 そう考えられずには居られない。そうしたら私はきっとまた悪役令嬢のレールに乗ってしまうだろう。


 好きになった人には振られ、悪役令嬢として破滅する。


 そんな未来を回避するために行動していたのに、……ウィルを好きになることが怖い




 でも……



「未来なんてどうなるかわかんねぇんだ。さっきまで話していたやつが一瞬で目の前からいなくなるかもしれねぇ。好きだったやつが、自分以外のやつと結婚するかもしれねぇ。1秒先に何が起こるかわかんねぇんだ。

 お嬢は後悔すんなよな」

「……はい………」




 ウィルの隣に違う令嬢が立つのは嫌だ……

 誰かとウィルが笑いあってるのはもっと嫌だ……




「ヴィーおじ様、ありがとうございます。」




 後悔しない未来はきっとない。でも、少しでも自分の後悔の少ない未来を選びたい。

 そのために……

 



いつの間にかオーブンに入れてじっくりと焼かれるマドレーヌをボーッと眺めながら、私はこれからどうしようかを考えていた。








20210718.


次回更新予定日は7月22日です。




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