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【書籍化】乙女ゲームの設定で私に義弟なんていなかったはずだけど、トキメキ止まらないので悪役令嬢辞めて義弟に恋していいですか?  作者: 雨宮レイ.
第1章

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42.第一王子ルートについて考えましょう。

ブックマーク&作品評価ありがとうございます!

 




 お父様とお母様は王宮に仕事に、お兄様は学園に、ウィルは部屋で家庭教師のお勉強を。……まるでもも〇ろうみたいだなぁ。なんて考えながら私はと言うと、久しぶりに机の引き出しから紙の束を取り出して机全体に広げ考え事をしていた。



 その考え事というのはこの世界の『矛盾』についてである。



 この世界は確かに私の知っている『ゲームの中の世界』であるが、今の私にとってのこの世界は『現実の世界』である。


 前提として私はずっとこの世界はゲームの世界だから、いくら私がフラグ回避をしようとしてもシナリオ通りに進む物だと考えていた。

 しかし今の段階で既にゲームのシナリオ通りに進んでいない事は明白である。



 ウィルの存在、王子であるアルフレッドの魔力量、近衛騎士団団長であるエルガーの性格。この矛盾は既に誤差の範囲を超えているのだ。


 それはつまり、今後どのような未来が待っているのか予測できなくなったということ。これまで予備知識として持っていた前世の記憶が、今後ほとんど使い物にならないという事である。



 つまり、第一王子であるアルフレッドルートだと思っていたのに、知らないうちに他の攻略キャラルートになっているという可能性もあるし、攻略キャラ以外のキャラが出てくる可能性もあるという事だ。そのため()()()()()()()()()という可能性も捨てきれないのである。


 シナリオではなく、1秒先も決まってない現実。



 ただ、私は悪役令嬢の立ち位置でこの世界に存在している。そのため15歳になった時、ヒロインとなる少女がこの世界に異世界転移してくるのであれば、十中八九私は悪役令嬢に仕立てあげられるだろう。



 いくら私が今フラグ回避の行動をしていようが、ヒロインの転移については私にどうこう出来る問題では無いのだ。


 だからと言って何も行動を起こさなければ、もしヒロインが現れた時に私はあれよあれよという間に悪役令嬢になり断罪されてしまうかもしれない。



 と、ここまで自分の考えを整理していて、その中にもいくつかの矛盾がある事が分かる。



 私はこの世界はシナリオ通りに進んでいないと言った。どんな未来が待っているか、1秒先も決まってないと言った。なのに6年後、ヒロインがこの世界に来る可能性を捨てきれないのだ。


 そのため私の考えは矛盾してしまっているのである。



 今この世界がシナリオ通りに進んでいないとして、それなら最初からフラグ回避なんてしなくても良かったのではないかというのは結果論である。

 これまでの行動が無ければシナリオ通り、私は悪役令嬢の道を進んでいたのかもしれない。



 考えるれば考えるほど何が正しい行動なのかわからなくなり、少なからず正解にほど近い行動があるはずなのに、一向にそれが見えてこない。負のループ、とまでは言わないけれど、沼にハマってしまっているのは確実だろう。



 なら今はやれる事をやろう。そう思い新しい紙とペンを取り出し私はゲームの内容とこの世界の出来事を丁寧に書き綴ることにした。





 ◇ ◇ ◇




【ゲーム内容】



 ◆第一王子ルート◆


 アルフレッド・フォン・クライシス


 隠れイベントは攻略キャラの中で最も多く、全部で8個も存在する。

 メインストーリーでの彼は銀髪碧眼の穏やかな性格であり、誰もが憧れる男性である。15歳の時ヒロインに出会い一目惚れするが、婚約者がいるためその恋心は隠そうとしていた。しかし婚約者で悪役令嬢がヒロインを虐めている事を知り、ヒロインを守ろうと決意し、16歳の卒業パーティーで悪役令嬢を断罪、国外追放とする。その後ヒロインと第一王子は婚約し、ふたつ並んだ指輪が映し出されハッピーエンド。……というのがメインストーリーの彼である。


 ただ、このラストは全キャラ共通エンドのためハッピーエンドとは言い難いエンドであるため、ファンからはノーマルエンドと呼ばれていた。



 しかし、隠れイベントで正しい選択肢を選び続ける事により、彼の本当の姿を知る事になる。それが、例の拗らせ王子である。

 しかもその隠れイベントは正しい選択肢を選ばなければ次の隠れイベントは出現しない設定になっているため、進めば進むほど隠れイベントの内容は過激になる。



 その中の幾つかに、第一王子の魔力に対するコンプレックスや、悪役令嬢のヒロインへの嫉妬の煽り、悪役令嬢へのとばっちり、ヒロインへの愛の囁きなどがある。



 そしてその全ての隠れイベントにて正しい選択肢を選び続け全ての特別スチルを手に入れると、卒業パーティーで悪役令嬢は処刑を言い渡される。

 その時、死を覚悟した悪役令嬢目線で第一王子への愛が語られる特別イベントが発生する。

 全てが終わった後ヒロインと第一王子は婚約し、数年後結婚した2人は幸せに暮らす。……というのがこのゲームにおいての真実の終わり(トゥルーエンド)である。




【ゲーム内の重要な出来事】


 8歳→悪役令嬢と婚約

 9歳→魔力発現

 15歳→ヒロインに出会う

 16歳→断罪イベント





【現実】


 ・優しく穏やかな性格だと思う。

 ・拗らせ……てない??

 ・8歳→婚約、してない!!

 ・9歳→魔力発現!!

 ・魔力量多い!!

 ・ゲーム内では幼少期よく遊んでいたが、実際はそんなに関わりを持っていない(?)





 ◇ ◇ ◇





 正直、ゲーム内容的にはこれから起こることの方が多いから今の段階では判断材料が少ない。それでも書き出したゲーム内の第一王子と現実の第一王子の性格や行動はその大半が既に違っていた。



 これはもう誤差の範囲で収まるものでは無い。そうなると、絶対に、とは言いきれないがかなりの高確率で未来は変わっているのでは無いだろうか。それも悪役令嬢()にとっていい方向に。


 もちろんこの世界がどれくらいヒロイン補正という機能を発揮するか分からないし、実際にヒロインがこの世界に転移してくるかもわからない。



 でも、少なくとも15歳までは何事もなく平和に過ごす事が出来るのではないか。なんて少しだけ期待してしまう。



 これまでフラグ回避の為に奔走した日々を思い出すと、前世の記憶を思い出してから約4年、特に最初の2年半はフラグ回避の為、明るい幸せな未来のために、言葉通り血のにじむような努力をした。


 勉強のしすぎでペンだこだって出来たし、ダンスのための靴は何足も履き潰した。何時間にも及ぶ練習のせいで足の裏の皮や踵の皮がめくれた事なんて何度もあるし、何千……何万回とやらされたカーテシーの練習は次の日欠かさず筋肉痛になるほど辛かった。それに慣れないマナーの面でもかなり苦労した。


 元日本人の私にとってフォークとナイフを器用に使いこなすのにはそれはそれは時間がかかったものだ。何度箸が欲しいと心で泣きながら懇願しただろうか。

 ……もちろんこの世界に『箸』という文化は一切ないため、すぐに諦めたけれど。



 ……と、今でこそ朝飯前にできる事が、当時はかなり苦労した。何度も心が折れかけたし逃げ出したくもなった。でも、明るい幸せな未来のためだからと頑張ってこれた。

 だから、もしこれからゲームの物語が始まるであろう15歳までの約6年が平和に暮らせるのであればそんな苦労も報われるというものだ。



 特に最近はお兄様やウィルの稽古を見てから一緒にお茶をする時間がほぼ毎日のように取れていて、私にとってその時間は何よりも幸せで心安らぐ時間なのだ。



 あぁ……、もうこのまま平和な毎日を……!!


 なんて珍しく願ってしまえばフラグは喜んで立つ様で、コンコン。と部屋に響いたノック音は私の肩を落胆させる出来事を運んできたのだった。そして――






「なんでぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」




 と、お決まりの叫び声が邸中に響き渡ったのも言うまでもない。











20210626.



次回更新予定日は7月5日です。




6月の毎日更新にお付き合い頂きありがとうございました!

7月は通常通り月曜日と木曜日の週2回更新となりますが、ある程度余裕が出てきたら更新ペースを早める予定です。

7月もよろしくお願いいたします!

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