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たとえ貴方が地に落ちようと【簡易版】  作者: 長岡更紗


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第49話 うん、絶対に大事にします

 風邪も治り、デニスとの約束の日が来た。

 店の個室に入り、料理を味わう。


挿絵(By みてみん)「なぁ、また今度うちに来てくれっか?」

挿絵(By みてみん)「はい、もちろんです。ちゃんとお詫びもしたいし。今日はデニスさんの家に行くのかと思ってました」

挿絵(By みてみん)「あー、まぁ、家族のいる場所じゃぁ渡し辛えからな」

挿絵(By みてみん)「え? 何をです?」

挿絵(By みてみん)「受け取ってくれ。あると便利だぜ」


 目の前に出されたのは、懐中時計だった。

 サビーナは、セヴェリに貰った懐中時計を内胸のポケットに入れてあるので、一見して懐中時計を持っているとは分からない。だから彼は、サビーナは懐中時計を持っていないと思い込んでしまったのだろう。

 女の子が喜びそうなものを選んだというそれは、星空をイメージした懐中時計だった。


挿絵(By みてみん)「礼はいいぜ。俺が勝手にプレゼントしたいだけだったからよ。それよりこれうめぇぞ。食べてみっか?」


 断ることもできず、結局は懐中時計を受け取ってしまった。


 食事が終わり、帰る段階になってようやくサビーナはデニスに頭を下げる。


挿絵(By みてみん)「ご馳走様でした、ありがとう。それに懐中時計も……」

挿絵(By みてみん)「おう、使ってやってくれ」

挿絵(By みてみん)「うん、絶対に大事にします」

挿絵(By みてみん)「ヘヘッ」

挿絵(By みてみん)「……えへへ」


 デニスと一緒にいると、ほっこり出来る。

 そして……何故か胸がきゅっとなる。


 しかし、そのかすかな胸の痛みの正体を言及しようとすると、何かのセーブがかかるかのように、心に鎧戸が降りた。

 いくらリックバルドに実の母親の情報に惑わされるなと言われても。

 身についてしまった反応は、どうしようもなかった。


 結局サビーナは、二つの懐中時計を胸ポケットに入れる事にした。

 両方とも大切な人からもらった、素敵な宝物なのだから。

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