第47話 うん、リック臭がする
川に入ったサビーナは翌日、見事に風邪をひいてしまった。
夕方になると、セヴェリが様子を見にきてくれる。
軽い抱擁を交わしたあと、疲れてはいけないからとすぐ出て行ってしまった。
もう少し一緒にいて欲しいと思ったのは、風邪をひいて寂しくなっているからだ。
その後で、リックバルドも部屋に入ってくる。
問われて、サビーナは昨日のことを話した。
相変わらず腹の立つ兄の物言いにヒートアップしていると、だんだんと息苦しくなってくる。
「まぁ、今日くらいは居てやる。病気の妹を置いて帰って来たと言っては、親父に向ける顔がない。それに、お袋に真剣で斬られかねんからな」
リックバルドの母親は元冒険者で、天真爛漫な人だ。
夜も更けてくると、リックバルドは当然のようにベッドに入って来た。
リックバルドとこうやって一緒に寝るのは久しぶりだ。
目の前の胸に顔を寄せると、思い切り息を吸い込んだ。
「まぁ良い匂いってわけじゃないけど、私にとっては安心できる匂いかな」
リックバルドからレイスリーフェの名前を出されて、サビーナは少し眉を顰めた。




