第45話 拒否してる訳じゃ……
部屋でサビーナは悶々としていた。
セヴェリとの抱擁を、デニスは見てしまったのだ。ショックを受けてはいないだろうかと気になる。
本日デニスは夜勤で、邸内を見回りにくるはずだ。その時を狙って、サビーナはデニスを部屋に引き入れた。
しかしそこまで言って言葉が詰まってしまった。最初は謝るつもりだったが、何をどう謝ればいいというのか。
黙っていると、デニスの方から言ってくれた。
「さっきのアレ、何だよ? 何でサビーナとセヴェリ様が抱き合ってたんだ? セヴェリ様は、レイスリーフェ様との結婚が決まってるってのに……」
小動物がいたから驚いて抱きついたと、サビーナは下手な言い訳をした。
「……あんた、よくセヴェリ様と出掛けてるみてーだけどよ。いつもあんななのかよ」
「セヴェリ様の護衛として出掛けてたんじゃなく、ああやっていつも一緒に食事をしてたのかって聞いてんだ」
「あ…… うん……護衛も兼ねてるけど、一緒に食事してた……」
デニスはサビーナのことを心配してくれたが、大丈夫だと答える。
そして彼は部屋を出ようとした足を止めて、振り返った。
サビーナが何かを言う前にグイッと抱き寄せられた。そしてそのままギューッと抱き締められる。
「おう、期待しとけよ。よし、エネルギー充填完了! 仕事に戻っか!」
「おー、賊が来ても俺がすぐに倒してやっから、泥舟に乗ったつもりで安心して眠ってくれ!」
カカカと笑うデニスがあまりに自信満々で、サビーナは「うん」と答えて送り出す。
そして自信満々に『泥舟』と言い切った彼を思い返し。
肩を揺らせながらベッドに潜ったのだった。




