第42話 うわ……お酒って、こんな味なんですね
デニスに手を引っ張られて、彼の家に到着した。
「あ、あの……はじめむ、初めますて、オーケルりゅフェりゅトでテニスさんと一緒にはたりゃいております、サビーナと申ししゃす」
サビーナは緊張のあまり言葉が出てこず、棒立ちのままだ。
「ざっと紹介するから聞き流してくれ。父ちゃんのランス、母ちゃんのシーラ、弟のキース、妹のシェリー、末っ子のラルフ、キースの嫁のアネルー、その子供のココル、じいちゃんのカイセリス、ばあちゃんのドロシア、それとひいばあちゃんのスフィだ」
促されるまま座ると、デニスたち兄弟は母親の料理の手伝いに行ってしまった。
「サビーナちゃんだったね。よく来てくれた。まぁ一杯飲んでくれ」
「飲めるじゃないか。これだけ二十歳を過ぎた人間が山のようにいるのだから、構わないだろう」
勧められて飲まないのは失礼に当たるかもしれないと思い、サビーナは初めてのお酒に口をつける。
頭の中にパーっとお花が咲いたような爽快感で、お酒がぐいぐい進む。
そこへ両手に料理の皿を持ったデニスが戻ってきた。
「げっ! これキッツイ酒じゃねーかよ! おい、父ちゃん!!」
今度は目の前にあった唐揚げを手で掴み、次々と口の中に放り込んだ。
「おい、サビーナ? 食うのは構わねぇけど、ほどほどにしとけよ?」
しかしそんなことをしていると、唐突に気分が悪くなる。
椅子を立とうとした瞬間、ドデーンと派手にずっこけてしまった。
デニスに抱き上げられ、ベッドの上に座らされる。
そのあと、サビーナはデニス思いっきり世話になったあと、そのまま眠ってしまったのだった。




