第13話 私のファーストキスなど、どうでもいいんですっ!
お風呂に入った後、下着姿のまま部屋でのんびり過ごすサビーナ。
セヴェリに本を貸す約束をしていたことを思い出し、部屋中を探し始める。しかし、どこを探しても見当たらない。
リックバルドに衣装ダンスの上に置かれたことを思い出した。
かなり高くて、椅子一つだけでは手が届かない。
仕方なく椅子を二つ重ねて上り、本の入った箱を取る。
「良かった。これで明日、セヴェリ様に本を貸せ……るっ!? ぎ、ぎやあああああっ」
椅子がぐらつき、衣装ダンスにしがみついて、にっちもさっちも行かなくなってしまったサビーナ。
「だ、誰か助け……だ、駄目だっ。何で私、服を着てないのーっ」
と、その時ノックの音がした。
「サビーナ、いますか? 何か声が聞こえてきましたが、困った事でも?」
「い、いえ! ちょっと、その、今は手が離せないと申しますかっ」
「ドアくらい、自分で開けられますよ。入ってよろしいですか?」
「セヴェリ様、入ってはいけま……ぎゃあああっ!助けてッ!!」
ドアが開けられた瞬間、足元は盛大に崩れ去った。
瞬間、サビーナの落下地点にセヴェリが滑り込み、ガチッと嫌な音がして何かがぶつかった。
お互い、唇から出血してしまっている。
「それよりも、先に服を着なさい。目の毒というか保養というか……とにかく、目のやり場に困りますから」
自分の姿にハッと気づいたサビーナは、慌てて服を着た。
しかしセヴェリは辛そうな顔をしている。
「やはりこんな状況では、納得がいかなかったでしょうね。あなたの大事なファーストキスを、こんな形で奪ってしまうとは……」
お互いの傷に目と手をやる二人。
よく分からずも、サビーナはコクリと頷いた。
何故セヴェリがこんな時間にサビーナの部屋に来たのかというと、リックバルドに言われたかららしい。サビーナがお礼の品を送りたいと言っているからと。もちろんサビーナはそんな事を言った覚えはない。
慌ててキョロキョロしていると、セヴェリが小瓶と袋を見つけて、これをもらうと言ってくれた。
しかもその出来損ないの袋ごと、セヴェリの腰に装着されてしまったのだった。




