マインドブレスレット ifハーレムストーリー
ふと、短編を書いてみたいなと思ったので、頭を空っぽにして書いてみました。
(結果、本編より行き当たりばったりな話になってしまいました)
この話をきっかけに、本編を読んでくれると嬉しいです。
ここは日本のどこかにある町【心李町】。
この町で会社員をしている男【時橋 夜光】34歳(独身)。
こわもてな上、給料を酒代とキャバクラ代に使いまくる典型的なダメ人間だ。
春うららかな、晴天に恵まれた日。
夜光は心李公園に来ていた。
公園内では桜が満開に咲いており、あちこちに花見に来ている客が楽しそうに騒いでいる。
しかも今日は祝日のため、家族連れや子供も多い。
・・・だが、夜光の目的は花見ではなく、公園内で配られる酒瓶だ。
とても貴重な酒で、滅多に飲めるものではないと言われる品物。
本日限定でしかも先着3名には無料で配られるという、金欠気味の夜光にとっては願ってもいないチャンス!
夜光はこの情報をネットで入手した瞬間に、公園に訪れた。
その時すでに、チンピラ風の男が数名公園を占拠しており、ほかの人間を威嚇して遠ざけていた。
だが、喧嘩の強い夜光の敵ではなく、夜光に絡んできてから10分も経たない内に、泣きながらその場を去っていった。
「よっしゃ!! 手に入れたぜ!」
上機嫌に酒瓶を眺める夜光。
もちろん無料で手に入れたものだ。
「(よ~し。 コンビニで適当につまみでも買って帰るか)」
そう思い、コンビニへと向かおうとした夜光に後ろから「あの・・・」と小さな声を掛けられた。
「・・・ん?」
振り返ると、ピンク色のセミロングをした少女がもじもじしながら夜光の後ろに立っていた。
彼女はセリアと言って、シンカイ学園に通うコミュ障の女子高生だ。
夜光とは通院している精神科クリニックで知り合った仲だ。
「なんだ、セリアか。 お前こんなところで何してんだよ?」
「えっと・・・ゆっ友人とお花見に来ました・・・あのえっと・・・」
上手く言葉が出ないセリアの後ろから人影が近づく。
「セリアちゃん! 急にいなくならないでよ!」
ピンク色のロングヘアをした少女のはセリナ。
セリアの姉で、少し天然。セリアと同じくシンカイ学園の生徒である。
「あっ?夜光! こんなところで何してるの?」
「ここで配られていた酒をもらいにきただけだ。 お前らは花見か?」
「そうだよ! 家族でお花見に来てるんだけど、お父さんが少し仕事が入っちゃって、今はセリアちゃんと2人なんだ」
「大変だな・・・」
「あっ!そうだ! 夜光もお花見しない? お菓子とかジュースとかいっぱいあるよ?」
セリナの誘いに乗る義理はないが、それはつまりただで食べ物が食えるということ。
「・・・まあ、別にいいぜ? どうせ暇だし」
「やった! よかったね!セリアちゃん!」
「はっはい!」
夜光は2人に自分達の花見の場へ案内された。
案内された場所には、大きな桜がまるで立っており、風に乗った桜の花びらが舞うように辺りを包む。
夜光はセリア達に用意してもらったお菓子をつまみに、先ほど手に入れた酒を紙コップに入れて飲む。
「・・・くぅぅぅ!! こいつは効くぜ!」
酒をゆっくりと味わう夜光だったが、ここでトイレに行きたくなった。
「ちょっとトイレに行ってくる」
夜光はそう言うと、公園のトイレへと向かう。
残ったセリアとセリナはそのまま楽しく話をしながらお菓子やジュースに手を伸ばす。
「・・・あれ? コーラなくなちゃった」
今まで飲んでいたコーラを飲み干したセリナが、新しい飲み物を探す。
「え~と・・・あれ? こんなところにお水なんてあったかな?・・・まあいいや」
セリナが手に取ったのは、夜光の酒瓶であった。
「セリアちゃんもお水いる?」
「はっはい。 ありがとうございます」
セリナは自分とセリアの紙コップに酒を注ぐ。
「ゴクゴク・・・」
「ゴクゴク・・・」
何も知らない2人はそれを飲んでしまった・・・
トイレから戻ってきた夜光は、再び酒を飲もうとするがここである異変に気付く。
「・・・あれ? 酒の量が減っているように見えるな・・・おいお前ら、誰か俺の酒を飲まなかったか?・・・ってどうした?」
夜光が2人に声かけた瞬間!
「夜光~!!」
セリナが不気味なほどにこやかな顔で夜光に抱き着いてきた。
「なっ何しやがる!」
「えへへ、ねぇ夜光。 チューしよ!」
突然夜光にキスを求めるセリナ。
「(こいつ、もしかして俺の酒を飲んで酔っ払ってんのか?)・・・は? お前、天然を通り越してバカになったのか?」
夜光が皮肉っぽくそう返すと、セリナは子供のように頬を膨らませる。
顔が赤い上、近寄ってきた時に酒の臭いもしたので、酔っ払っているということは理解できた。
「ぶー! 私、バカじゃないもん! この前、学校の友達に『成績が悪くても、セリナちゃんには良いところがたくさんあるよ』って褒められたもん!」
「それは慰められるっていうんじゃねぇのか?」
「もう!うるさいな! 夜光、私とチューしたくないの?」
少し寂し気にそう尋ねるセリナに、夜光はツッコミのようにこう返す。
「キスした後が怖いんだよ!」
大勢の花見客がにぎわう公園で、未成年にキスなどすれば、良くてネット上でのさらし者!
最悪の場合は通報されて、連行されてしまうことを夜光は恐れていた。
「えー!つまんない!・・・どひゃ!」
セリナが駄々を捏ねだした時!
ずっと押し黙っていたセリアがセリナを押しのおける。
セリアの顔も赤いので、酔っ払っていることはわかった。
「あの、夜光さん。 お願いがあるのですが・・・」
「今度はお前か。 なんだよ!」
「わっ私と・・・付き合ってください!」
「・・・」
なんの前触れもなく、セリアから告白を受けた夜光。
開いた口が塞がらなくなったその顔は、驚いて声が出せないというよりも、理解が追い付けないというパニックによるものであった。
「おっおい。 ちょっと理解ができなんだが・・・」
「えっあの・・・つっつまり、私と恋人同士に・・・」
「告白の意味を聞いてんじゃねぇ!! 告白のタイミングを聞いてんだよ!!」
セリアはしばらく考え込んだあと、口を開く。
「告白にタイミングなんて関係ありません!」
「(少女漫画のヒロインみたいなことを言いやがって!)・・・悪いな。 俺はまだまだ遊びたいんでな。 誰かと付き合うことなんて考えてねぇ」
「・・・」
顔を背けてしまうセリア。
「おいおい、告白を断ってしまったのは謝るけどよ・・・」
その時、セリアが突然夜光に向きを戻した。
その目には光が灯っておらず、まるで死者のような目になっていた。
「夜光さん。 もしかして、ほかにお付き合いされている方がいらっしゃるのですか?」
「なんでそうなる!」
「もしかして、最近一緒にいる佐藤さんと言う女性ですか?」
それを聞いた瞬間、夜光の背筋は凍った。
佐藤というのは夜光の仕事仲間の女性で、もちろんセリアに会ったことはない
「なっなんでお前、佐藤のこと知ってんだよ!?」
「お付き合いされているんですか?」
夜光の質問を無視して問い続けるセリアに、夜光はおそるおそる返す。
「あっあいつはただの仕事仲間だ。 それ以前にあいつ来月結婚するし」
そう返すも、セリアの問いは止まらない。
「じゃあ、先週夜光さんの家に遊びに来ていた倉田さんという女性は? 高校時代の同級生だからと言って、深夜まで2人っきりだったんですよね?」
夜光の背筋がさらに凍る。
「なっなんでそんなことまで知ってんだよ!」
「ふふふ。 そんなことはどうでもいいじゃないですか・・・それで、どうなんですか?」
「いっいや。 あの時は、本当に適当に世間話をしたり、映画を見たりしていただけで・・・」
もはや、妻に浮気を疑われている夫のような状態になってしまった夜光。
「でも、夜光さんの家でシャワーを浴びたんですよね?」
「お前見てたのか!? それとも聞いてたのか!?・・・いや、どっちにしても、完全にストーカーの言葉だよな!?」
夜光のストーカーとい言葉に、復活したセリナが反論する。
「ひっどーい!ストーカーなんて! 女の子はね? 好きな人のためならなんだってできちゃうんだよ?」
「いや! そんな乙女チックな話だったか!?今の!!」
夜光のツッコミすら無視し、セリアは「答えてください」と詰め寄る。
一方のセリナも「ねえねえ、チューは?」とキスをせがむ。
「(こっこうなったら・・・)エスケープ!!」
その場を全力で逃げ出す夜光。
「「あっ!」」
逃げ出す夜光を追いかけるセリアとセリナ。
「うわぁぁぁ!!ついてくるなぁぁぁ!!」
こうして夜光の花見は、散々な日になってしまった。
後日・・・
「セリナちゃん。 最近、夜光を見かけた?」
「いいえ、お花見以降会っていません。 お体の具合でも悪いのでしょうか?」
花見の日のことを完全に忘れてしまっていた2人であった・・・
一方の夜光はと言えば・・・
「ここか?それともここか?」
セリアのは話が怖くなり、隠しカメラや盗聴器がないかを徹底的に探していた。
「当分セリアには会わないでおこう・・・」
夜光の災難は続く・・・
夜光「まさか本当に書くとは・・・」
セリナ「驚いたよねぇ~」
夜光「って言うか、セリアに関しては本当になんかやってそうで笑えないんだが・・・」
セリア「えっ!? わっ私、ストーカーなんてしてませんよ!?」
夜光「(本編で平然と包丁を振り回す女が何を言っているんだ?)」
セリア「・・・?」
セリナ「あと、私はいきなりチューをせがむようなことなんてしないからね! あれじゃあ私、ただの変態じゃん!」
夜光「安心しろ。 お前にそんな度胸がないのはわかってる」
セリナ「そんな言い方しないでよ! なんか屈辱だよ!」
夜光「それはそうと、こういう短編ってまたやるのか?」
セリア「作者さんはまだ未定と言ってましたが・・・」
セリナ「きっとやるよ。 まだスノーラちゃん達が出てきてないし!」
夜光「短編もいいけど、本編も進めてくれよ?」
???「もちろん!」
夜光・セリア・セリナ「・・・誰?」