プロローグ
3年前、突如リリースされた超大規模VRMMOである『life like life(LLL)』は、瞬く間に世界中のゲーマーを、いや、元々ゲームに興味がなかった人までを熱狂させていた。現実の航空写真を元に作られた第二の地球:通称アイアースを舞台にしたフルダイブ型のVRゲーム。世界中のどこでも行くことができ、さらに度重なるアップデートでファンタジー世界や中世を再現したマップが追加され、その人気は衰えることを知らなかった。
専用のハードは20万円というゲームにしては超高額なのにも関わらず発売して即完売を繰り返していた。
そして今、俺の目の前には待ちに待ったLLL専用ハード。俺の田舎ではこんな最新鋭の機械が手に入るわけもなく、発売されるとの情報を得てわざわざ東京まで行って徹夜して並んで手に入れた。発売されると聞いた時からためていた小遣いをはたいて、やっと念願のお宝を手に入れることができたのだ。
開封し説明書を読むと、その指示に従ってベッドに横になる。ドキドキしながら頭に装着するとスイッチを入れた。目の前で『loading』の文字が何度か点滅した。
『Welcome to life like life』
その文字が画面に浮かんだとたん、意識が急速に薄れていった。
次に目を開けたとき、まるで今まで夢を見ていてこちらが現実なのではないかという感覚に陥った。
「すっっげえ…」
自分は今宇宙空間に漂っている。味わったことがないから断言はできないがおそらくこの感覚が無重力というやつなのだろう。目の前には超巨大な水の青い星、おそらくあれがアイアースだ。本当に地球に似ている。
「地球は青かった……って誰の言葉だっけなあ」
次に薄く発光する自分の体を見下ろす。手の感覚、ほくろの位置、髪の毛、声、すべてが現実と変わらない。
「こんにちは、life like life へようこそ」
振り向くとナビゲーターであるらしい、エレベーターガールのようなかわいらしい女性が佇んでいた。
「新規登録のプレイヤーですね。早速、名前とアバターを設定いたしますか?」
「よろしく頼む」
女性はパチンと指を鳴らすと、その途端目の前に全身鏡が現れた。そこに映っていたのはいつもと変わらない俺の姿。ただ、洋服だけは部屋で着ていたものではなく”THE 無課金”とでもいうべきシンプルなシャツとズボンだった。
「まずはニックネームを決めてください」
俺は春日井 セイタ、だから
「セータで頼む」
「かしこまりました。セータ様ですね。次に顔や身長、性別を変えますか?」
この辺の設定はどうするのか、この三年間でさんざん考えていた。
イケメンやネカマも考えたが、そういう考えの人は大勢いそうだし、身長なども実際の体格と違っていると、慣れるまでが大変らしい。
結局この見慣れた顔と体で行くことにした。
「初期設定は以上になります。これからあなたをアイアースの世界へと送ります。まずは初心者ギルドを目指してください」
そう言うとエレベーターガールはにこやかにこちらに手を振った。体が重力を思い出したようにアイアースへと引き寄せられていく。その速度はどんどん早くなり、本当にエレベーターに乗ったかのような浮遊感を覚えた。そうして日本のど真ん中へと落ちていった。
投稿したはいいけどちゃんと掲載されたのかな