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スーパー変態シリーズ

ロリコン変態ハンザイシャー・シーズン2~ロストリビドー~

作者: あざらし

 欠けたブルーの穴を埋める人材は未だ見つかっていなかった。

 ハンザイシャーは紹介制。交遊関係の狭い現メンバーには背中を任せられるような同志がほとんど居ない。日に日に強まる偏見の視線は、性癖のカミングアウトすら躊躇わせた。

 それでも性犯罪者は現れる。今日も四人は卑劣漢をひとり成敗していた。

 公園の自販機でコーヒーを買うブラックに、レッドは訊ねる。

「ブラック、最近身が入ってないんじゃないか?」

 ここのところブラックの動きが鈍いのだ。どこか上の空で、目の前の敵に集中していない。

「ああ、悪いな……最近また仕事が忙しくて」

 彼は社畜だった。急な呼び出しも多いらしく戦闘に参加しないことも多々ある。しかし彼もまた幼女を愛するハンザイシャー。その情熱は誰にも負けないはずだ。

 それなのに。

「忙しくてな……このところしてないんだ。もう二ヶ月になるかな」

 一大事だった。性欲のコントロールはロリコンの義務だ。いや、ロリコンでなくてもそうなのだが、とにかく溜まったものは発散しなければ健康にも良くない。

「大丈夫なの? それ」

 イエローが心配そうに言う。彼は日に五回出すと言っていたが多分嘘だ。七回はやっている。

「いや……問題ない。今週に入ってからそもそもた勃たなくなったし」

「いや駄目だろそれ。病院行け」

 ピンクのアドバイスも、しかしブラックには届かない。

「忙しくてなかなかな」

 彼にはとにかく時間が足りていないようだった。社畜というのは悲しいものだ。

 その日はそれで解散せず、打ち上げとブラックの慰安も兼ねて焼き肉に行くことになった。しかし、それも途中で中止になる。店に連絡を入れようとしたところでまた呼び出しが入ったらしく、彼はすぐに会社へ向かってしまった。



 その日の性犯罪者はとても手強い相手だった。

 スクリュードライバーキックが通用しない。こうなればストームロリコンブリンガーを使うしかないが、アレはチャージに時間がかかる。

「ブリンガーを使う! 時間を稼いでくれ!」

「ロリー!」

 散開するピンクとイエロー。ブラックは――ワンテンポ、出遅れていた。

 動きにいつものキレがない。全盛期の彼はとても優秀な戦士だった。それが今は――素人と変わらないではないか。

 情熱に溢れた彼の姿を夢想し、レッドは瞑目する。

 いや、今は目の前の性犯罪者だ。幼女の平和を守るため、今は使命に邁進するのみ。

「ストームロリコンブリンガー!!」

 ピンクとイエローおかげで、なんとか性犯罪者を倒すことができた。しかしそれでも、彼は上の空だった。



「お前……リビドー足りてないんじゃないか?」

 基地に戻ったレッドはブラックに問い質す。

 迸る情熱と熱いリビドーがハンザイシャーの力の源だ。それが足りないロリコンは戦う力を失ってしまう。

「かもしれないな」

 ブラックは否定しなかった。レッドは彼に詰め寄る。

「もう、駄目なのか」

「そのようだ……俺はハンザイシャーをやめる」

 すべてを諦めた瞳で言うブラックを止められるものなど、この場には居なかった。

 ただひとり、イエローを除いては。

「お、おい!」

 彼は情に厚いが動きが遅いタイプだ。そのせいで、ブラックが基地の外に出るまで追い付けなかった。

「ま、待てよ!」

 汗ばんだ手で背広の肩を掴む。湿った効果音にブラックは不快そうに振り返ったが、イエローの表情を見て俯く。

「やめちゃうのかよ、お前」

「……ああ。もう俺は、幼女に興味が持てないんだ」

 体ごと振り向いたブラックの両肩を掴み、イエローは叫んだ。

「そんな、寂しいこと言わないでくれよ!!」

 すがるように肩を掴み、必死の思いで語りかける。

「一緒にL○買いに行ったじゃないか! イルカセックはロリじゃなくてロリコンが描きたいだけだよねって! プリヤも鑑賞会やったじゃないか!! 確かに映画は行けなかったけど、でも、それでも……!!」

 しかし、ブラックの決意は変わらなかった。

「……お前はその情熱を失くすんじゃねえぞ。俺はもう駄目だからよ……」

「そんな、だって……!」

 イエローの制止を振り払い、彼は立ち去る。その背中は、大切なものを失った男の背中だった。

「ブラック……」

 彼は仕事に追われ、忙しさの中に情熱を忘れてきてしまった。最初はまだ見ぬ幼女を夢見て生活のために始めた仕事だったのに、気づけばそれに呑み込まれてしまったのだ。過度の疲労は人間の精神を蝕み、生き甲斐までも奪ってしまう。それはとても哀しいことだった。

 いつか彼がまた心に平穏を取り戻し、その情熱を再び手にすることができたなら、その時は彼の復帰を歓迎しよう。

 それまでは、俺達で幼女を守るから。



 俺達は小児性愛者。幼い少女に興奮する、犯罪者予備軍だ。

 しかしそのリビドーは、情熱は、他のなにとも変わらない。誰もが持つ心の火を、俺達は幼女に向けている。それは制御を失えば危険な感情に落ちぶれてしまうだろう。しかし正しく志せば、見知らぬ誰かを守る力にだってなる。

 この胸の炎は、決して間違ったものではない。

 だから。

 今は動けぬ友のために、俺達は今日も戦おう。

 ロリコン変態ハンザイシャー

 その戦いは、今日も続く。

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