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ウキヨってヤツは!  作者: メタルリフレクトスライム
1章
9/11

part8

それは、一瞬の出来事だった。


突如現れたその男は拳銃を手に、部屋にいた女性一人に対して発砲。


放たれた銃弾は女性の脳天に直撃しそのまま後ろの壁にまで貫通。


女性の背後の壁に見事な血飛沫(ちしぶき)の花が咲く。


周囲のものは何が起きたのか状況を飲み込めずに、恐怖の視線を向けてくる。


遅れて部屋にいたもう一人の黒髪ロングの女性が、まるで自身の役割を思い出したかのように絶叫。


その声に苛立ちを抱きながらも男は再び拳銃のハンマーを起こす。


先程殺害した女性に対し深い謝罪と愛の言葉を何度も何度も何度も心の中で叫びながら、銃口を自身の口元に当てて引き金を引いた。


こうして葛飾大学4号館7階704号室で起きた銃撃事件は二人の若い命が失われて幕を閉じる。





...筈だった。


「え?」



それは、一瞬の出来事だった。


突如現れた男は拳銃を手に、部屋にいた女性一人に対し発泡。


放たれた銃弾は速度を急激に緩めそのまま床に落下。


女性の背後の壁に見事な円球の穴が数カ所。


周囲の者は何が起きたのか状況を飲み込み、哀れみの視線をこちらに向けてくる。


遅れてもう一人の黒髪ロングの女性が、まるで自身の役割を思い出したかのように発勁(はっけい)


その()で左肩が外れた事に恐怖を抱きながらも男は再び拳銃のハンマーを起こす。


先程肩を外してきた女性に対し深い畏怖と疑問を何度も何度も何度も心の中で叫びながら、銃口は巨漢の男の手でひしゃがれ、もう片方の手で手刀を食らった。


こうして葛飾大学4号館7階704号室で起きた銃撃事件は一人の男性の気が失われて幕を閉じる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「...っ」


硬く冷たい床の感触を背中に感じながら男は目を覚ます。


ーーここは?俺は一体?


「お目覚めのようね」


隣で声が聞こえる。


ゆっくりと上体を起こすと鋭い痛みが首筋から伝わる。

痛みに耐えながら部屋を見渡すとそこが先程襲撃した場所だと気づく。

部屋の奥でパイプ椅子に座り腕と足を組みながらこちらを見下ろす女性が一人。


「まぁ...話さないといけない事が色々あるわけだけど...いいかしら?」


女ー絹田兎樹代は冷たい口調で問いかける。


部屋には兎樹代ともう一人、ちょんまげヘヤーで小太りの男ー植草巳千流の姿があった。


ミチルはパイプ椅子の背を前にし、全身を前に預けるように座っており、手には拳銃をダランとぶら下げている。


「植草くん...」


「久しぶりね、純」


「ミチル、知り合い?」


ウキヨが男から視線を離さず質問する。


「まぁね、同じ学科でたまに会うのよ。名前は末純(まつじゅん)。『神が作りし世紀のイケメン』って事で各大手芸能事務所の社長達が自宅まで来て直々にスカウトしたとか、街を出歩けば周囲の女どもが一途な恋に落ちる事から男供には『歩く少子化問題』なんて言われてたりもするわ。ってあんたホント知らないの?」


ミチルの問いかけにうーんと首を傾けるウキヨ。

その様子にハァとため息をつくミチル。


「ま、知ってたら何の躊躇もなく発勁(はっけい)で肩外すなんて出来るわけないわよね」


その言葉に「歩く少子化問題」こと末純はボーッとしていた頭が高速にクリアになっていく。

自身が何の為にここにきたのか、結果自分の身に起きた結末を。


「そうだ、土器子...ど、土器子は何処だ?彼女に会わないと...ぃ、今すぐに会わないとッ!」


「アンタ、さっきまで自分が何しようとしてたか忘れたわけじゃないでしょうね?」


「あぁもちろん覚えているよ、仕方ないんだ!俺が彼女を殺す!痛みなんて感じさせない、一瞬だッ!!」


ウキヨの質問に徐々息を荒げて話す末純。


彼は続ける。


「どうしてかって思うだろ?俺も最初はそうだったさ、()()()の話を聞くまでは!でも話したところで信じちゃ貰えない、あぁ信じる訳ない、現に俺もそうだった!だがそうなんだ、それが事実なんだ!彼女にとってこの世界は地獄でしかないッ!!」


そういうと彼はフルフルと体を震わせながらウキヨ達の前で正座になり頭を下げた。


「お願いだ、土器子に会わせてくれ!この通りだっ!」


額をグリグリと当てながら渾身の土下座で頼み込む末純。


その様子に顔を見合わせるウキヨとミチル。


ミチルがはぁと溜め息を吐きながら吐き捨てる。


「あんたね、そんな感情的な未来の殺人者を前にハイそうですかって突き出す訳ないでしょ、ハァなんか似たようなセリフねさっきと」


「さっき信じてくれないとか何とか言ってたけど聞かせてくれないと私たちから何かする事はないわ、まずはそこからよ。教えてちょうだい」


苛立ちを声に乗せて、訳を聞き出すウキヨ。


その声に体を震わせつつも末純は、ゆっくりと顔をあげる。


部室の空気は時が止まったかのように静かで、張り詰めていた。


全身で空気の圧迫感を感じながら、彼は口を開く。


「わかった。信じてもらう気はないが、これが真実なんだ。よく聞いてくれ」


彼はこう続けた。


「土器子の体内には...『時限爆弾』が搭載されているんだ」


「「・・・・は?」」



張り詰めた空気に涼しい風が吹いた。

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