part1
女の産まれた年は、とにかく「発見」の年だった。
「ツチノコ」の正体がとある食虫植物の動物に擬態する過程の姿だったこと。
「雪男」は元々旧政府が秘密裏に開発していた巨人化実験の実験体が脱走した姿だったこと。
「吸血鬼」は少数民族が都市へ移民した際にビタミンAを動物の生き血を飲む事で摂取していたため、その姿を見た都民からあれよこれよと噂が先回りした結果、生まれた姿だったこと。
数々の都市伝説や空想世界ともてはやした伝説が私の産まれた2077年に証明された。
2077年、それは正に歴史に名を残す偉大な発明家が誕生した年でもあった。
「絹田正幸」
彼が発明した「タイムマシン」
それを使い2077年は時の権力者による過去への干渉が一斉に始まる年でもあった。
こうして2077年は連日ニュースで発表される、おこぼれ発見の数々で人々の興奮と熱気が収まることを知らない年となっていくのである。
時は流れて2097年、、、
秋の夕暮れ時、部室で男女の影2つ
「どや、スゴイッしょ?」
「ぶぉっ!」
ヘッドフォンを耳から取った瞬間、耳元で男 間虎丸が距離と合わない声で話し掛けてきたため女は思わず声を上げてしまった。
「ひゃーひゃっひゃっひゃっ、なにいまの!?ひゃひゃはらいてー!」
「うるさいわよマル!あんたが基地外じみた距離と声で話しかけてくるからでしょ!!」
女が腕を上げると、虎丸はしり込みをつきながら後退りした。
「ひゃひゃごめんごめん!だよな、あんなドキドキからのおれさまのささやきだもの、こえだしたってしょうがないけど、、、けど、ひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!」
「全くもって違うわーーーーーーーっ!!!!!」
部室に鈍い音が1発響いた。
「お疲れ様でーす♪今日も見事なラブラブブリリングですな嬢♪」
また一人軽快な足取りで部室に入ってきたのはどこぞの魔法少女を想起させるピンクのコスプレ衣装に身を包み、とある中華の六大将軍さながらの図太い体格をした男だった。
「青髭!何度も言うけどこいつとラブラブ何とかなんて地球滅んでもないからっっ!!」
青髭こと佐門龍作はまたまたーとクルクル回って女の前に跪き
「無理しなくてもいいんですよお嬢♪我慢は無用、恥こそ罪です♪無知なる心を開放しなさい♪」
「お前は少し開放しすぎなんじゃーーーーー!!!!!」
「あおひげーっ!」
虎丸の悲鳴の後、部室に鈍い音が1発響いた。
「もーなんなのさっきから、エレベーターホールまで怒声が聞こえてきたわよ!」
小太りな男はそう言いながら部室に入るなり冷蔵庫の中にある缶ビール数本と隣に置かれている「つまみ!」と書かれた段ボール箱からチータラや柿ピー等を手際よく自前の袋に詰めてじゃあと再び部屋を出ようとした瞬間。
「「「何しとるんじゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」」」
部室に鈍い音が3発響いた。