神様との会話
「なにやらひどく混乱しておるようじゃな」
そう言って神様みたいな爺さんがふぉっふぉっふぉっと笑う。
なんか気品があって本当に神様みたいだ…ってか。
「もしかして、神様?」
思ったことをそのまま口に出してみた。
俺には今この状況に至る記憶が曖昧だし聞いてみた方が早いよね。
「如何にも。儂はお主らが呼ぶ神、というもので相違ない」
「じゃあさ神様。なんで俺はここにいんの?」
「お主は死んだからじゃ」
「ふ〜ん」
特に驚きはない。だって最近のアニメってこんなんばっかだし。テンプレって感じ。
本当にこんなことがあるのか、とはちょっと驚いたけど。ってか俺死んだのか〜。
「思ったよりは冷静に事を捉えているようじゃの」
「まあね〜、ってか神様。俺はどうして死んだの?」
俺にある最後の記憶はいつも通りゲームに励んでいたことだけだ。暑い夏のとある土曜休みに夜通しゲームしてたのは覚えている。
「お主の死因はズバリ…熱中症じゃ」
えぇ〜…そんなしょ〜もない死に方したのか俺、我ながら情けない。
「実際、熱中症になって死ぬ輩は多い。特にお主らのように何かに熱中していると水分も取らず暑さにも気づかない者共がおるからな」
俺の考えていることがわかるかのようにそう神様は言う。ってか分かるのかもしれない。神様だし。
「ある程度なら分かるがな」
やっぱり。さて、そろそろ本題に入ろう。
「それで、なんで神様は俺をこんなところに?」
地獄に行くか天国に行くかは閻魔様じゃなくて神様が決めるのかな?
「それなんじゃがな。昨今、お主らの世界で少子化が進んでいるように。他の世界…即ち異世界での少子化も加速しておる。
そこで、他の世界で死んだ者をその年齢のまま他の世界に転移させるということをしているんじゃ」
ふ〜ん。ようは人間が絶滅危惧種を保護し、繁殖させるように、神様が人間が絶滅しないように色々手を加えているってわけか。
「そういうことじゃな」
もうこれ完全に心読まれてるじゃん。
でも一応会話はしよう。
「じゃあ俺をどっかの世界に転移させてくれるってわけ?」
「そうじゃな。お主には…趣味思想からして…異能のある世界がいいかのう?」
「じゃあそこで!」
即答。なんたって俺は絶賛厨二病真っ盛り!異能なんて聞いたら行かない訳にはいかないでしょ!!
「代わりに科学技術などほぼ発展して無いが良いかのう?」
ようは俺の世界での中世ぐらいってことかな?
中世がどんなもんか分かんないけど中世ヨーロッパって聞くとある程度想像つくし。
「大丈夫!そこにいかせてくれ!」
「ふむ…それではそこに転移させるとして…転移させたあとは儂には何も出来ん。じゃから何か要望があればその力を付随させた上で転移させてやろう」
キター!!お約束の展開!!
こういう時の妄想はばっちし済ませてあるぜ!
「じゃあ顔をイケメンにしてもらって!あと!
俺にチートできる能力をくれ!」
「心得た」
そういうと神様は玉座からゆっくりと立ち上がる。俺に近付くと頭に手を乗せた。
「神の加護を」
そういうと神様の手が眩く輝きだす。俺はあまりの光に目を瞑る。
そんな中神様の言葉が聞こえる。
「お主の考えている通り、その世界の者よりも強い力と想像を具現化する力をやった。
努努、その力に溺れるでないぞ」
俺が返事をする間もなく、光がさらに増す。
俺は必死に目を腕で押さえていた。