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閑話 亜麻色と白磁の乙女の目覚め

「シュウゴは何処!レーミクさんが捕まっちゃう!」


「シュウゴさま!どこ!?レーミク危ない!」 


 私はさっきまでみんなと一緒に居たはずなのにベッドの上で飛び起きた、隣ではエレレファさんが私と同じように大きな声を上げて、私と同じように飛び起きていた。


 漸くはっきり分かった、シュウゴの言っていた事は本当だったんだ!呪が私達を過去に戻しているんだとこの時はっきり分かった。


「ロリーエ!レーミク居ない!」


 私達は昨日、ううん、ずっと三人でベッドを並べて寝てた、さっきの悪夢だと思っていた現実の中で恐ろしい何かに捕まりそうになっているレーミクさんの姿が確かに見えた。


 今この部屋には私とエレレファさんしか居ない、きっとあの怖い何かに捕まったんだと思う。


「ロリーエ!シュウゴ様の部屋、行こう!」


「うん!シュウゴにレーミクさんが居ないって伝えないと!」


 着替えたはずの服装は何故か寝間着になっていた、これもきっと過去に戻ったせいなんだと思う。


 このまま男の人の部屋に行くのは少しはしたないとは思うけど、そんな事気にしてたらレーミクさんが大変な事になるかもしれない、私達は急いでそのまま廊下に飛び出した。


「巫女様!朝から飛び出してくるとは、一体どうなさいましたか!?」


 廊下に出ると昨日?と同じお城の兵士の人が居て、いきなり出てきた私達に驚きの声を上げて聞いてくる、ちゃんと説明しないといけないのにびっくりして上手く言葉が出ない私の代わりに、エレレファさんが説明してくれた。


「レーミク居ない!シュウゴ様に伝えたい!」


 エレレファさんは片言の言葉しか喋ることの出来ない森の民の人だ、でも言いたい事は十分伝わるはず、だった。


「レーミク?様とは、一体どの様な方でしょうか?このお部屋にはお二人しかお休みになられていない筈ですが……」


 エレレファさんの言葉がよく理解できない、そんな表情で兵士の方が私達に疑問の言葉と表情で返してきた、私はなんとかして伝えようと頭の中でいっぱい考えるけど、やっぱり上手く纏まらないで、自分の気持が上手く伝えれなくて泣きたくなる。


「シュウゴ様、会いたい!シュウゴ様の部屋行く!」


 エレレファさんはそんな私の頭の中にあった伝えたい言葉を簡単に口にした、やっぱり彼女は凄いと思う、短い言葉だけど、ううん、短い言葉だからこそ伝わるように選んで話しているんだと思う。


「わ、解りました、火急の事態と言うことは理解しました、ですが朝の廊下はよく冷えます、せめて何か羽織るものを着ていただかないとお体が心配なのと、その、なんというか若い兵には些か刺激が強うございます……」


 やっぱりはしたない格好でお城の廊下を歩く事は許してもらえないみたい、その兵士の方の言葉を聞いて、エレレファさんは直ぐに部屋に戻って自分の外套と、私の為にクシーナが編んでくれた外套を渡してくれた。


「外套着た!直ぐ行く!」


 兵士の人を急かす様に言って、エレレファさんは私の手を握って先に進む、誰かの傷を癒やす事しか出来ない私と違って彼女は本当に頼りなる、シュウゴが私より彼女を頼りにするのは当然だと思った瞬間、少しだけ胸がチクリと傷んだ。


 私は悪い女だ、今の痛みはきっとそんな私をクシーナが見てて、レーミクさんが大変な時なのにこんな事を思ってしまう私を叱ってくれたんだ、ちゃんとシュウゴを支えないとダメよって言っているんだと思う。


「ロリーエ!早く、レーミク大変!」


 そんな私の浅ましい部分を知らないエレレファさんは私に声を掛けて来てくれる、こんな真っ直ぐで一生懸命レーミクさんを救おうとしている人に私はなんて事を考えていたの?恥を知りなさいロリーエ!ごめんなさいエレレファさん!


 クシーナの真似をしていい女になれるようちゃんと反省して、朝の冷気が中に入ってこないようにクシーナの贈ってくれた外套を両手で握りしめながら、レーミクさんとクシーナにもこんな時にごめんなさいって心の中で謝った。

  

「うん!急ぎましょ、シュウゴなら絶対レーミクさんの事を助けてくれるはずよ!」


 少し遠い昨日から一緒にいる彼女に引っ張られて、私は白い息を吐きながら、お城の立派な廊下を走りだした。


 待っててレーミクさん!私絶対シュウゴとエレレファさんと一緒に助けに行くから、それまでどうか呪に負けずに無事で居て欲しいと思いながら、私達はシュウゴの部屋へと走っていった。  

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