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おみせやさん

ごっこ遊びを始めました。

「いらっしゃいませー」

「はい、こんにちは」


「あ、パパだめよ!そっちはいりぐちじゃないの」

「そこまでこだわってるの?」


 麗らかな午後。

 ボクの仕事が休みだから、ニアと一日遊べることになったので、庭に布を敷いてお店屋さんごっこをすることになった。


 ニアを近々一人でお使いに出す計画をしていることもあって、いい勉強になるんじゃないかなって思ってる。


「薬草をくださいな」

「いちまんコインでーす」

「え、ちょっと高過ぎ……なんで?」

 ニアが満面の笑みで掌を差し出している。本気だ。

 それにしても高過ぎる。家が買えてしまう。

「おじーちゃんが、ここはへきちだから少しぼったくってもだいじょうぶだっていってたよ!」

「………」

 

 あのじいさん、ボクの娘に一体何を教えてるんだ。

 集落の外れに住んでいるスレイと言う学者のじいさんは、余程暇なのかよくニアを話し相手にしている。

 ボクはじいさんが何を研究しているのか知らないけれど、家の中にある機材とかを見ると、結構難しい研究をしている気がする。


「とりあえずニア、そんな値段で薬草は売れないから値下げして」

「えー」

 ニアの頬がぷくりと膨れる。

 どうしてこんな守銭奴になっちゃったのか。


「ニアはねー、おかねもちになるのよ」

「そりゃまたどうして」

 常識の範囲まで値下げしてもらって、葉っぱで作ったお金を支払った時に、ニアがにこにこと笑って言う。


「いっぱいおかねためてお城をかうの」

 普通なら王子様が迎えに来て、お姫様になってお城に住むんじゃないのか。

 自分の娘ながら独創的な発想をするというか、自立心旺盛というか。なんか複雑な気持ちだ。

「そしたらね、ずっとパパといっしょにあそぶの」

「ボクと?」

「だっていつもパパ、おしごとでいないんだもん」


 寂しい思いをさせていたのか。

 そういえば最近は仕事が忙しくて、鍛冶屋の奥さんにニアを預けてた。

 同じ年頃の子がいるからニアは寂しくないって思ってた。

 どうやら違ったみたいだ。

 

「きゃーパパくすぐったぁい!」 

 ボクは堪らずニアを抱き締めた。

 今日はいっぱい遊んでやろう。

 ニアが、寂しくならないように。




「こんどは何を売ってくれますか?」

「いもりのくろやきでーす」

 

 だから、なんでそんな発想になるの?

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