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alternatives of fate

「強くなったなー、集。だけど、まだまだ! まだまだ足りない!! お前にはもっと強くなって俺を楽しませてくれないとなー?」

「うるさい! そんなことのために姉弟子を・・・!」

「ああ、霧崎 朱里のことか。彼女は実に残念だった。才能も剣術も全てが俺たちを上回っていた。だけど、優しすぎた。それでは、鬼神の力を受け入れることは出来ない。

 だから、彼女には早々に退場をしてもらったのさ。何かおかしいかい?」

「退場? ふざけるな! お前が姉弟子を殺したんだ!」

「俺が霧崎 朱里を殺した? いいや、違うね。殺したのはお前だよ、集。お前が殺したんだ。お前がその手で斬ったんだ。思い出せ! あの時の感覚を! 鬼神の力に目覚めた時のお前を思い出すんだ!」

「俺が・・・姉弟子を殺した? 嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ!」

「嘘じゃない。覚えているはずだ。その手に霧崎 朱里を斬った感覚が。ほら、思い出してきただろう?」

「う、うわああああああぁぁぁーーーーーー!!」

 集は叫び声を上げるとその場に立ち尽くす。そして、体からは紅と蒼の魔力が溢れ出ている。それは、酷く乱れていて交互に色を替えながら溢れ続ける。

 なんだあの魔力は・・・。あれが、煉という者が言っている鬼神の力なのか。苦しそうだ。私には、何も出来ないのか? いいや、今ならまだ間に合うはずだ!

「会長! どうする気なの?」

「私が行って助ける」

「いくら会長でもああなった集はどうしようも・・・」

「それでも、行くんだ。集と共に聖魔杯に出るために」

「どうしてそこまで集にこだわるの?」

「彼だけなんだ。彼だけが聖魔杯で勝てるパートナーなんだ」

「会長は自分のために集を助けるんだね」

「そうだ。私は私の目的のために彼を助ける。だが、それ以上の理由なんていらない。私は、聖魔杯で絶対に勝たなければならないのだから」

 私は、覚悟を決めて集の元へと走り出す。集は、落ち着きを取り戻したのか刀を構えて煉と対峙している。

「いいね、実にいい! あの時よりも更に力が伸びてる! さぁ、殺ろうか」

「グギギギ・・・グガガガガァァァーーー!! グルァ!」

 不知火と手合わせをした時よりも更に速く集は煉へと斬りかかる。それを余裕の表情で煉は捌き続ける。化物の戦い。それが、一般人の感想だ。

 神速の刀の打ち合いはしばらく続いた。キンッ! キンッ! という打ち合いの音と共に火花が空中で起こる。だが、誰もがその姿を捉えることは出来ない。

 そして、しばらくして動きが止まる。

「うーん・・・理性を失うほどの鬼神化をしてもこんなものなのか。つまらないなー・・・。どうすればもっと力を出してくれる?」

「そこまでだ! 集、いい加減目を覚ませ! 君はこんなところで終わっていい人間ではない!」

「おやー? 君は・・・そうか、君が不知火家の末裔か。ククク・・・集、更なる力を引き出させてやる。不知火 楓、今から貴方を殺すとする」

「ふん! 殺せるなら殺してみるがいい。その前にお前を倒してみせる!」

 遅延によって貯めていた魔法10発全てを一気に展開する。私を格下だと思って油断して隙を見せた瞬間だけが唯一攻撃を当てれる。それ以外で私に勝ち目はない。

 これで決まってくれ!

「残念~♪ 君の攻撃は知ってるんだよ。さっき見てたからね。遅延10発のフル展開なんて魔力の大盤振る舞いどうもありがとう。けど、無意味な攻撃だったね」

「無意味かどうかはまだ分からないさ」

 私は遅延魔法を展開し終わった後に更に魔法を展開する。遅延の後からの魔法展開にさすがに煉も驚いたのか攻撃を全て捌けずに1、2発当たってしまう。

「・・・どういうことだ? 遅延魔法は10発が限界のはず。なのにどうして、その後から魔法が展開される?」

「全てをあの時に語ったとでも思ったか? 確かに遅延出来る数は10発が限界だと言った。だが、それは同魔法がそうなだけだ。異なる魔法なら遅延魔法の限界は無い」

 まぁ、その分魔力の消費は異常だから何度もやれるものじゃないが。

 しかし、ここで倒せなかったのは厳しい。もう私もそんなに魔力が残っていないのと遅延でストックしておいた魔法も無い。絶体絶命か・・・。

「なるほどなるほど。面白い物を見させて貰ったよ。だけど、終わりだ。死ね」

 鬼神化した集と同程度の速度で煉が差し迫って切り伏せようとする。そして、目の前に突如として現れた死神の顔は醜く笑っていた。


『こんなところで何してるの?』

「俺は、姉弟子を殺したんだ」

「俺は、自分が犯した罪を忘れてしまっていたんだ」

「俺は、いるだけで周りを不幸にさせてしまうんだ」

「俺は―――」

『だぁーーー!! さっきからウジウジウジウジとうるさいな! そんなに私を殺した事を後悔してるの!?』

「当たり前だ! 俺は、好きだった姉弟子をこの手で殺してたんだぞ! 後悔しない訳がない。あげく煉が殺したと勘違いして罪を忘れてのうのうと生きてたんだ。許されるはずがない」

『あいつの言う事を信じるんだ?』

「信じた訳じゃない。けど、確かに斬った感覚が残ってるんだ。俺が、姉弟子を斬った感覚が・・・」

『そっか・・・。けどさ、私が本当はあの時に笑ってたって言ったらどうする?』

「え?」

『私は、鬼の力に選ばれた最初の人間だったの。だけど、紅 煉の介入によって暴走。そして、次々と止めに入った神無の人たちを傷付けてしまったの。

 そんな時に集が来てくれた。殺してくれと言った私の願いを集は叶えてくれた。だから、最期に私は笑うことが出来たの。

 感謝はしても恨むことなんて無かった。だから、集は最初から許されてたんだよ』

「そうだったのか・・・。俺は、俺は、姉弟子に許されてたのか」

『そう。だから、集は守らなくちゃいけない。あなたを助けてくれようとしている人を』

「守る? 俺の鬼神の力は守ることなんて・・・」

『神無の力は無類の力を誇る。それゆえに鬼神にも剣神にもなることが出来る。だから、忘れるな。鬼神になるのではない。剣神になるのだ。それこそが、神無に与えられた力だ。

 ・・・集のお父さんの言葉。集は鬼神か剣神、どっちになりたい?』

 姉弟子は両手を俺の前に出す。片方は紅く歪な形をした球体。もう片方は蒼く綺麗な球体。俺は―――俺が取るべき道はこっちだ。

『そう。集はその道を選ぶんだね。それがいいよ。集なら絶対になれるって信じてるから!』

「姉弟子、俺は・・・ありがとう」

『気にしない気にしない。弟弟子の面倒を見るのも姉弟子の役目だから。だから、笑って別れなきゃ!』

「うるせぇ・・・うるせぇよ・・・姉弟子だって泣いてるじゃねぇか」

『えへへ。集の貰い泣きだからノーカンだよ』

「なんだよそれ。・・・それじゃあ、いってくる」

『うん。いってらっしゃい』

 俺は、もう自分を見失わない。姉弟子に誓ったんだ。俺は、剣神になって全てを守ってみせる!

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