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掌編小説集6 (251話~300話)

用件

作者: 蹴沢缶九郎

部屋の電話が鳴り、私は受話器を取った。電話向こうの男が言う。


(わたくし)、ワンダーキャスト株式会社の塚田と申しますが、ご主人様はご在宅でしょうか」


どうやらセールスの電話らしい。


「いや、主人ならいないよ…」


私は適当にあしらい、電話を切ろうとするが、塚田と名乗る男も食い下がる。


「失礼ですが、ご子息様ですか?」


「…用件は何だ」


私の問いかけには構わず、塚田は続ける。


「ご主人様は何時頃ご帰宅されますか?」


「用件を聞いているんだ」


「ご主人…」


ガチャ。


埒のあかない塚田との電話を一方的に切った。


ご主人ご主人とバカの一つ覚えのように…、あいつは何を考えているのだ。曲がりなりにもセールスマンだろ。奴はもう少し礼節を学ぶべきだ。


「電話、誰から?」


ソファに座っている、この家の家主である女性が私に聞いた。


「セールスだったよ」


「そう。最近、セールスの電話が多くて嫌ね」


と、うんざりな様子の女性の膝の上に、猫の私は飛び乗り、大きくあくびをした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「ワンダーキャスト」って、もしや犬の・・・? 主従関係にこだわるあたり、そんな感じがしました(笑) でも、私は猫派なので、家主さんになりたいです(*´▽`*)
2016/08/14 17:39 退会済み
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