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3話目

気付いたらブックマーク数が100件を越えてるなんて…。


ご期待に応えれる様、全力を尽くす所存でございます。拙作ですがどうぞ楽しんで下されば幸いです。

あの後、しばらく困惑して『今日はもうお休みになった方が…』とメイドさんがしつこく言ってくるのを何とか宥め、メイドさんに身だしなみを整えてもらったりドレスを着付けてもらって朝食へと出向いた。


宥めた後はお互い終始無言だったので、恥ずかしさでいたたまれない気持ちだった。


今の俺の心情はエロ本を母親に見つかった時のそれに良く似ている。あるいは中学の時にひっそりと隠し持っていた真っ黒なノートの中身を友達に見られた時の心情。恥ずか死ぬ。


ちなみに、カタリナ・フォーゼは貴族令嬢らしく毎日の着付けを全て侍女に任せていたらしく、メイドさんに着せ替えられてもあんまり動じなかった。強いて言うならば男としての俺の部分がびびっと反応した程度だろうか。メイドさんに服脱がせられるのは中々良う御座いました。メイドカフェに無いロマンを感じたぜ。



その後の朝食はつつがなくやり過ごした。一応は何時ものカタリナとしての態度で過ごしたのだが、特に怪しまれる事なく終わった。


違和感を感じたのは、広間で食べたのが俺とお父様の2人きりだったということくらいだろうか。お母様が一昨日亡くなって、親しいものと親戚だけで葬式を行ったのが昨日。カタリナは途中で気絶して辞退したのだが、お父様は葬式が始まった最初からカタリナが気を失う最後までずっと泣いていた記憶がある。


カタリナの記憶では何時もお母様と一緒に食べていたので違和感を感じていたらしい。


ちなみにお父様は俺の事を一瞥もしなかった。お父様は堅実な性格で、厳格な貴族の代名詞の様な存在だったので、我が儘なカタリナの事を相当毛嫌いしているらしい。


カタリナの記憶を思い出してみると、それも当然かと納得出来てしまった。何時も何時も我が儘ばかり言って本当にごめんなさい。もうしません。はい。


カタリナは、それはそれは凄い勢いで金を使い、使用人を罵倒しては使い倒していたらしい。もの凄く我が儘で薄情、更にサドスティックで陰湿なイジメが大好きなヒステリー女が自分の娘だったら、誰だって毛嫌いすると思う。カタリナたんなら俺は我慢出来るが。


朝食が終わった後、お父様は俺に何を言うでも無く自室へと戻っていった。その表情は今にも倒れそうな程生気がなく、目の下の隈や虚ろな目からは寝不足と多大な疲れが見て取れた。もう休んだ方が良いんじゃないか。


ちなみに、今日の朝食はジャガイモのスープと黒糖パンだった。とても美味しかったのでコック長に素直に感想を述べて感謝の念を伝えたら、唐突に俯かれてしまった。俯かれてしまった後で、そう言えば俺ってカタリナじゃん、この世界の悪役じゃん、という事を思い出してすぐにコック長から離れた。


悪役何かから感謝されても困るだけですよね。気まずくさせてごめんなコック長さん。


それからの時間は、午前中は屋敷中を見てまわる事、そして午後は庭を見てまわる事で費やした。どうやらフォーゼ家というのはもの凄い権力を持っていたらしく、屋敷も庭もかなり広い。午前で全部見てまわろうと考えていたが、結局一日中かかってしまった。


お屋敷の部屋を一つひとつ見てまわって、書斎の場所を確認した。勉強の為には本が必要だったからだ。書斎には部屋一杯に本棚が並べられていて、勉強するには申し分内程の量の本があった。教科書は確保したも同然だ。


ちなみに、カタリナの記憶にはこの屋敷の見取り図があんまり入っていなかった。というか、カタリナの生活圏内の地理しか頭に入ってなかった。なんと言うアホっ娘っぷりだろう。


…文字、ちゃんと読めるかな?




庭では、低木の庭木で仕切られた道をあるいたり、薔薇の木で仕切られた迷路みたいになっている温室の中をあるいたり、木陰で休んだりした。何だか冒険している様な気分でとても楽しかったです。


途中で庭師の人に会ったので挨拶してみたらとても驚かれた。何でもカタリナたんは挨拶どころか庭師さんが話しかけても無視する程だったという。多分無視じゃなくて、本気で興味が無くて気付かなかっただけなんだろうが、これは流石に酷い。


謝って見たら更に驚かれた。うん、ほんとごめんね。


ちなみに、庭を歩いている間は、ずっと後ろにメイドさんが控えていた。話しかけてもあんまり話が長続きしないので途中からお互い無言だったが、メイドさんを引き連れて散歩とか最高ですた。


夕方は貴族の令嬢らしく庭先のテーブルで優雅にティータイムを楽しんだ。庭で遊ぶ小鳥達がとても可愛かった。あとメイドさんも可愛かった。


メイドさんの名前はキャシーと言うらしい。キャシーさんは何故かティータイムの途中で、『大丈夫ですか?』としきりに心配してきた。多分葬式の途中で気絶したから、その事を気にしていたのだろう。


だから『ええ、大丈夫。これからは強く生きていくわ』とこれから来るであろうイケメン達と主人公との地獄の学園生活を思いながら返したら、また無言に戻ってしまった。何故だ。



そんな感じで午後を過ごして、転生最初の一日は終わった。夜中はご飯を食べたりお風呂に入ったりしただけなので割愛。カタリナたんの裸は俺だけのものだ。



そして次の日。俺は太陽が出る前の朝一に起きて、メイドさんに動きやすい服装に着付けてもらい外へと飛び出した。思い立ったが吉日。身体を鍛えるために、まずは朝の運動から始める事にしたのだ。


が、俺はカタリナたんの今までの怠惰な生活により培われた幼いボディーの事を侮っていた。


まさかちょっと早足で外に出ただけで足がつるとは思わなんだ。もうちょっと運動しようよカタリナたん。まあ可愛いから良いけど。


これは行けない、ますます鍛えなければ。改めてそう感じて、早速ラジオ体操を始める。身体中がぽきぽきなって辛いのなんのったら。


その後庭を軽くジョギングした。すぐに息切れてしまうので、ちょこちょこ休憩を挟んでゆっくりとしたジョギングだ。途中で庭師さんに会ったので挨拶をすると、今度は普通に挨拶してくれた。ちょっと嬉しい。


ちなみにキャシーはずっと運動する俺を見守っていた。運動出来ない姿を見られるのは恥ずかしいのであんまり見ないで欲しかった。まあ何も言わないけど。


その後は風呂に入って、朝食。お父様は相変わらずこちらを一目もせず黙々と食べて部屋へと戻ってしまった。今日の朝食はコーンスープとハムエッグだった。コック長さんにめげずに美味しかったと伝えたら今度はちょっとどもりながらだが返事してくれた。ちょっと嬉しい。


その後の午前中は勉強に時間を割いた。書斎から本を持ってきて部屋で読んでみたのだが、流石カタリナたん。読む事自体は出来るが難しい文字が一つでも出ると全く分からなくなってしまう。読んでいる文章の中に難しい語が出て、それを調べる為に他の本を読んで、説明の途中でまた難しい語が出て、を永遠に繰り返す羽目に。無限ループって怖くね?


なので早々に諦めてキャシーさんに『この文字ってどういう意味なの?』と聞く事にした。最初は結構渋々だった。ごめんなさい、業務外の仕事ですよね。


だが、途中からすらすらと教えてくれる様になったのでどうやらそこまで嫌ってことでは無かったらしい。キャシーさんマジ天使マジ。



そして昼食を挟んで午後。午後の時間は、全て魔法の勉強と練習に当てることにした。


例によってカタリナたんの魔法知識がもの凄く乏しかったので、魔法の事について載っている本を読み、キャシーさんに習って、ゲームの知識に照らし合わせながらの勉強だ。メイドさんとお勉強なんて、俺以上にリア充なやつなんて一体どこにいるというのだろうか。カチューシャ撫でていいですか?


その日は魔法を勉強するのが初めてだと言う事で、アニメやゲーム知識しか無い俺でも知っている様な超基本的な事を勉強した。


まず、魔力について。


魔力、別名マナ。マナは万物に宿っている万能パワーの事であり、このマナを膨大な量で扱え、更に扱いに長けていると出来ない事は何も無いと言われている。このマナは存在していればどんなものにでも宿っている。花、土、昆虫。そして空気にも宿っている。このマナを扱って人間に普段出来ない様な事を実現させたり具現化させたりするのが魔法。つまり理論上魔法は昆虫や小鳥だって扱えるのだ。


ただ、マナを扱うにはその個体の精神力が必要らしい。よって昆虫や小鳥はマナを扱えない。逆に言うと人間などのちゃんとしたアイデンティティを持った知的生命体ならばどんなやつであろうと大なり小なり魔法は使える事になる。


だが、ここで理解しておきたいのが、存在しているからマナが宿っている、ではなく、マナが宿っているから存在している、という考えである。


この世にありつづけるにはマナが必要で、マナが無くなれば存在を保てない。例えば魔法を乱発してマナが完全に枯渇すれば、その個体は存在を保てなくなって消える。消えた後は、世界そのものがその穴を埋める為にオドと呼ばれるマナの結晶が生成する。つまり、マナが無くなれば身体がマナの結晶に変わって死んでしまうという訳だ。


実際、アニメ内でもキャラクターがマナを使い果たして人型の結晶となってしまうという展開があった。これだけは注意しなければならないだろう。


「ただ、マナを使うには精神力が必要です。大抵は枯渇まで精神力が持たず、途中で気を失ってしまうので余り心配する必要はありませんが、注意はしておいてください」


とはキャシーさんの言である。


では、そんなマナを使っての魔法とは一体どのようなものなのか。


その実態は実に単純なもので、呪文を唱える事でマナを練って、精神力によってそれを制御、そして発動する。それが魔法である。


だが、今の一連の過程を経てば全ての魔法を使える、という訳ではない。魔法を使うには、それに見合ったマナを使わなければならない。例えば、火を出す魔法を使うには火のマナが必要だし、水を操る魔法を使うなら水のマナが必要なのだ。


人間に宿るマナの属性には限りがあり、殆どの人間は一つの属性のマナしか持っていない。たまに数種類のマナを扱える者もいるが、その存在は非常に希有である。


ちなみにカタリナには『氷属性』と『闇属性』の二種類のマナが宿っている。二つの属性持ちなのだ。この事実だけで優秀扱いされるので、ちょっと鼻が高い。


だが、勇者のイケメン達は大抵が2属性持ち。最高で4とか5属性持ちもいた筈だ。伸びていた鼻を思いっきり折られた気分だ。


人間には一つの属性のマナしか宿らず、その属性の魔法しか使えない。だが、そうならば使いたい魔法が使えなくなるし、弱点も増えてしまう。


そう言った事をなくす為にあるのが、普通の魔法とは一味違う魔法、『契約魔法』である。


この魔法はこの世界にいる妖精や精霊などと言ったスピリチュアルな存在と契約し、そのマナを分けてもらい、他の属性の魔法を扱える様になる、というものだ。


ゲーム内でのカタリナは悪魔と契約し、火の魔法を扱えるようになり、闇の魔法を何倍にも強化した。契約するだけで多大な利益を受けるので、大抵の魔法使いは精霊と契約している。勿論ゲーム内のカタリナの様に悪魔やそれに類する存在と契約する事は御法度である。悪魔は普通に人間の肉や血を要求してくる危険な奴らなのだ。精霊よりも多大な利益を与えてくれるが、代償として求めてくる要求は全て非人道的なものばかり。そりゃ禁止にもなる。


まあ、カタリナは普通に契約したのだが。可愛いから許せるね、うん。


普通の魔法と契約魔法。例えるなら、肉体で行う拳法と、武器を使って行う拳法という違いだろうか。俺もいずれは普通の精霊と、普通に契約したいものだ。それだけで戦力の増加が見込めるはずだ。


…ただ、イケメン達や主人公ちゃんも普通に上級や伝説級の精霊と契約してくる筈なので、プラマイゼロ、寧ろマイなんだけどね。



勉強が終わった後はすぐに実践である。キャシーさんにちょっと休んだ方がいいのではと提案されたが、俺の要望により却下して貰った。


だって魔法だ。魔法にときめかない高校生なんて存在しない。中学生の時『漆黒のブラックエンペラー』を名乗っていた俺からすれば尚更だ。


…その後何度か魔法を使ってみて分かったのだが、カタリナたんの魔法の才能は中の中、つまり平凡そのものである事が分かった。なんと言うことだ。


夕方に入ってティータイムを挟んでのジョギングタイム。朝と同じく死にそうになりながら庭の8分の1を見事完走した。終わった後庭師さんと少し話して仲良くなった。嬉しい。



そう言う訳で、俺はその日から朝ジョギング、朝食、勉強、昼食、魔法の練習、夕方のジョギング、というサイクルで日々を過ごした。キツいけど生きる為なら頑張ります。


ちなみに、一週間ほど経ったあたりから朝のラジオ体操に庭師さんが加わる事になった。最初は半信半疑だったラジオ体操の効果だったが、いざやって見ると何たる事。血流が良くなって身体の節々が良く動く様に。中年を少し過ぎた辺りの庭師さんもラジオ体操の効果にびっくり。すぐにのめり込んでしまった。流石ラジオ体操さんやでぇ。


それからは朝のジョギングが終わった後、庭師さんに庭の手入れや畑の手入れの仕方について教えてもらっている。農家への道への第一歩である。


…それとコック長さんに食事が終わる度に話しかけてみたら、すぐに仲良くなった。ので、料理についても教えてもらおうと思って一緒に厨房で料理をしてみたのだが、カタリナクオリティーにより厨房がその時着ていたドレスもろとも真っ黒の炭だらけになってしまった。すぐにコック長さんと一緒にキャシーさんに叱られた。キャシーさんは鬼の様に怖かった。


結論、俺には料理の才能は全くなかった、という事に。


…俺、1人暮らし出来るのかな。毎日外食だったり出前とるのは気が引けるが。


まあ、そこは精進するという事で。


次話はメイドさんのお話にする…つもり。


ツッコミ感満載の文才ゼロの作品です。ご指摘、ご感想ともに心よりお待ちしております。

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