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「クロ兄!久しぶり」

「久しぶり。ユキ」

 飛行用の竜に乗り、目的地に旅だったクロツキ達一行は目的の島の開けた場所に降り立つと大剣を背負った少女が駆けてきて挨拶をしてきたのでクロツキが返事を返しているとクロツキの後ろから声がかかる。

「よっ!ユキ。久しぶりだな」

「久しぶり。暁」

 暁も挨拶を交わしている中でボビーは黙ってそのやり取りを見ていたのに気が付いたクロツキは、ユキと呼ばれる少女にボビーを紹介する。

「えっと、こちらは同じギルドのメンバーのボビーさんね」

「よろしくお願いします。ボビーさん。私は、クロ兄の幼馴染で小雪といいます」

「こちらこそ、よろしくお嬢ちゃん」

 クロツキと暁は、ボビーがにやにやしながら挨拶を交わす姿を見ながらやっぱりと心のなかで納得していると遠くの方から小雪の名を呼ぶ新人だと思ってしまうような動きをする少年がやってきた。

「小雪師匠~。待ってくださいよ~」

「はぁ~、もっとはやく来れないの、マグロっ!」

 クロツキ達は、マグロという少年を叱りつける小雪の姿を見ながら立ち尽くしていると、そのことに気付いた小雪が紹介してきた。

「えっと、名前はマグロっていって、新人プレイヤーでなんか懐かれちゃった」

「ペットですか。僕は!」

 やっと辿り着いたマグロは小雪の説明を聞きツッコミを入れる。

「もうそろそろ移動しようか。詳しい話は向かいながらするから」

「……ねぇ~、聞いてますかぁ?」

 マグロを無視して小雪はクロツキ達に説明しながら町へと向かう。

「――っと、まぁ~こんな感じで今町にいる半数が原因不明の病にやられているのよ」

 小雪とマグロが滞在していた町で突如流行り始めた病の説明と現状を聞いたクロツキ達は、険しい顔になったが、今さっきまで考え込んでいたと思っていたボビーが諦めたのか、一番後ろで愚痴っていたマグロの方へ移動して行き、暁も後は任せたとクロツキに言うとかえで達に連絡を入れようとするが繋がらなかったので断念して静かに歩く。

「一番初めに発症したプレイヤーが誰か分るかユキ」

「確か先住民の貴族の一人が発症したんじゃないのかな」

「そうか……」

「着きましたよ。皆さん」

 いつの間にか前に移動していたマグロが、話し合っていたクロツキと小雪に呼びかけるが、小雪にうるさいと叱られ、落ち込む姿が見えたのでクロツキは小雪に優しくするように言おうと声をかけるが、その時にフレンドコールがなったので出ると弧万智からだった。

「聞いたわよ。クロちゃん」

「そう・・・・ですか。すみません」

「いいのよ。それより、発症者が出たわよ。」

「えっ」

 クロツキの驚きの声に周りにいた全員が反応して何が起きたのかを尋ねるかのようにクロツキを向いたのでクロツキは、後から話すと手で伝え弧万智の話を聞く。

「発症者は、ちょうどクエストから帰ってきた戦闘ギルドのメンバーで都市に入ってきたと同時に突然倒れたかと思うと高熱を出して腕に斑点のような模様が出てきたわ、そして、魔法を使っても治らなかったからいまは隔離されているわ」

「そうですか……他に何か隠していませんか?」

 弧万智の話し方に疑問を持ったクロツキは少しきつめに質問すると数秒間が開いたが喋り出した。

「……ふぅ、あのね、あなたのギルドメンバーがちょうど近くにいて発症者を助けたんだけど、その時に感染したのか同じような症状が出て、彼らに触っていなかったねこ丸以外の全員が同じように隔離されているわ」

「・・・わかりました。知らせてくれてありがとうございました。こっちで何かわかったら知らせますね」

「こっちも報告するわ」

 弧万智との通信が終わって、深いため息をついていると険しい顔でボビーが訪ねてきた。

「もしかして、向こうでもおこったのですか。クロ」

「えぇ、まぁ~、一部の戦闘ギルドとねこ丸以外のメンバーが隔離されている状態です」

「おいっ、それって大丈夫なのかよっ」

「わから―――」

「大丈夫よ。命の危険はないわ」

 暁の言いたいことが分かった小雪はクロツキの言葉を遮って、はっきりと断言した。

「命の危険はないわ、ただ・・・」

 小雪が途中で言うのをためらったのでボビーと暁は苛立ち同時にきつい言い方で質問をした。

「ただ、なんだって」

「早く続きを言いたまえっ」

 小雪が黙っているとマグロが間に入り、小雪の代わりに話し出す。

「見てもらった方がいいです。絶対に」

 マグロの言葉で静かになったボビーと暁はすでに門をくぐっているクロツキ達に追いつこうと急いで門をくぐる。


  弧万智とタカのんが居なくなった後かえで達は巡回の報告と交代を済ませ、露店を見るために広場へとやってきていた。

「ん~、ほいひい」

「おねぇちゃん、食べながらしゃべらないでよ」

「まぁ~まぁ~、落ち着くでござるよ。鈴奈殿」

「そうだよ。今日は楽しまなきゃね。鈴奈ちゃん」

 いつの間に買ってきたのか、今度は骨付き肉を食べながらしゃべるかえでを見た鈴奈は、怒りながらかえでの服についている汚れを拭いている横でねこ丸とリッカは笑いながら鈴奈に声をかける。

「どうしたんですか?ねこ丸さん」

「ん?いや、向こうが少し騒がしいと思っ――」

 ねこ丸がずっと見ていたのが気になった鈴奈が質問をすると一旦鈴奈の方を見てからすぐに視線を戻して喋り出したが、途中で侍るのを止め駆け出す。

「近づくなっ!」

 着くと同時に倒れた者に近づこうとする人たちに殺気を込めた声で叫んだため、周りにいた者全員が離れる。

「今すぐに、主催者とゲームマスターに連絡をしてくれ」

「こっちに運んできてください」

 全員がねこ丸を注目している中で落ち着いた様子で喋り出したねこ丸の指示に従い何人かのプレイヤーが走り去っていくのが見え、また、駆けつけてきた数名の巡回者が手を振りながら呼ぶ声を聞き後から追いついてきたかえでとリッカがねこ丸の制止がかかる前に地面に倒れているプレイヤーを抱え起こして運んでいく―――

「大丈夫でござるか・・・」

「・・うん、鈴奈は・・・・」

 緊急で用意された隔離室に倒れた者を運び終わった後すぐに、かえでとリッカの二人の体にも異常が現れ倒れたのであった。目を覚ましたばかりのかえでに窓越しから声をかけるねこ丸にかえでらしくない弱弱しい声で返事と質問が返ってきた。

「それが、拙者が止めるより早く触った者がいたらしくその者を助けた時に……」

「そう・・・無事なのよね」

「今は別室で眠っておられるよ」

「わかった」

 鈴奈の状況を聞いたかえではそのまま眠りに入る姿を見届けた時に弧万智が奥から現れた。

「クロツキ達に連絡を取ったわ。何かわかったらすぐに連絡をいれるって言ってたわ」

「そうでござるか。少し見回りに行ってくるでござるよ」

 弧万智からクロツキ達と連絡を取ったことを聞いたねこ丸は、拳を強く握りしめた後に部屋を出て行った。

「自分を追い詰めるなんて・・・」

 ねこ丸の様子を見た弧万智は、外に出て行くねこ丸の背中を見ながら心配そうに呟いていると奥の方からヘル・ロベスが現れて声をかけて来た。

「ほとんどのプレイヤーは自分たちの宿などに避難させたよ。それでこれから会議を開くようだから招集がかかってるぞ」

「そう、わかったわ。行きましょうか」

 ロベスからの話を聞いた弧万智は、タカのんに来るように連絡を入れると直にロベスと一緒に会議室へと向かった。

「では、現状の報告と対策などをしていきたいと思います」

 都市に居るギルドマスターが全員席に着いたことを確認したゲームマスター代理のリコが会議を始める。

「今現在、感染者は十二名に抑えられています。また、一部のプレイヤーと戦闘ギルドの隊員たちが巡回をしている状態です」

 レッド・ドッグ副団長のディアミスによる報告が終了すると辺りが静かになるがすぐに全員の視線が空席になっているギルド“黄昏の夕日”の席に向くと一部のマスターが呟き始めた。

「状況は分かったが、なぜこのような大事な話を知らせなかったのだ」

「そうですよ。今回の祭りに関係していないプレイヤーとギルドには報告が――」

「そっ、それについては混乱を抑えるためでして・・・・」

 呟く内容を聞いたリコは直に理由を説明し出すが辺りに広がっている重い空気に話を途中で止め静かになる中で弧万智が勢い良く立ち上がりリコの代わりに話し出した。

「急なことで、なんとも言えない状況だったから関係者以外には知らされなかったのよ。今はこれ以上の被害を抑えてクロちゃん達からの吉報を待つしかないわ」

 弧万智の迫力とそれ以外の選択がないことを示されたことにより今さっきまで呟いていたマスター達はため息を吐き、弧万智が座るのを待った後これからの巡回と感染者に対しての対応策を始めた。

「――――以上で会議は終了させていただきます」

 会議室を本部として新しい隔離施設と巡回の順番が決まり、会議が解散されるのと同時に各ギルドマスター達は自分たちの仲間に連絡を入れてこれからのことを報告し出す者と準備に取り掛かる者達で騒がしくなったが、依然として重たい空気は変わらない中で弧万智はただ、ただクロツキ達からの報告を待つ事しか出来ない状況に苦いものを感じるしかなかった。

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