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「自分達からの報告はこれぐらいです」
定例報告会の会議の場でクロツキはサタンとリコと共に手紙の内容などを話し終えると同時にほとんどのギルドマスターと従者が呆れ果てる。
「まさか・・・・クロツキ君の姉だったとはね」
「そうねぇ~」
報告を終え、席に座り直すクロツキの姿を見ながら呟くロベスと弧万智の声が響く。
「ゴホンッ、クロツキ君、君の姉は一体どういった人物なんだね」
静かになった中、わざとらしい咳をして英王がクロツキに質問をするが、クロツキは言葉を濁すような形にする。
「えっと、ですねぇ~。すごい人です」
「それじゃぁ。説明になってないわよ。クロちゃん」
クロツキの言葉にツッコミを入れる弧万智だが、目が真剣だったために、クロツキはため息をつき、諦めて話始める。
「姉さんは、元クルセイダーのリーダーを務めていた人です」
「「なっ」」
その場に居た古参プレイヤー全員が驚き、声がはもる。
「あのう、クルセイダーってなんですか?」
未だに驚きを隠せず黙っている古参プレイヤーをよそにクルセイダーを知らない従者の一人が質問をする。
「そういやぁ、まだ、聞いたりしないレベルの者もいたな」
知らない者達のレベルを見た後一人の古参プレイヤーが頭を掻きながら喋り、その後に続くように英王が話始める。
「まず、聞くが“伝説の伝説”と言われているクエストを知っているか?」
「えぇ、ハイレベルのモンスターの連続討伐をする大規模戦闘用のクエストですよね」
英王の問いに一人が答え、その後に名を知らない他の者達も頷く。
「あぁ、基本、最大レベルで百以上の古参プレイヤーがいないとクリアが出来ないといわれるクエストなんだが、そのクエストをたった、四人で突破した純粋な実力プレイヤーだ」
「えっ」
英王の言葉を聞き、驚く姿を見ながら、弧万智はクロツキに視線を向け質問をする。
「クロちゃん、あなたの姉さんが助けに行った相手は、もしてかしてクルセイダーのメンバー?」
「はい、たぶん合ってます。姉さんの友人はそういませんから・・・」
クロツキの言葉を最後に報告することも無く、報告会はそこで終わり、それぞれ自分達の拠点へと帰り始めた。
「ふぅ~」
一通りの書類と報告内容のまとめと整理を手伝ったクロツキはギルド会館から出ると体を伸ばす。
「お疲れのようだな。クロ」
「大丈夫でござるか?」
すぐに聞こえた声の方向にはねこ丸と暁が手を振って待っていた。
「どうしたんですか。二人とも」
「もうそろそろ出てくる頃だと思ってね」
「食材を買いに来てたのでござるよ」
クロツキの質問に暁は冗談交じりに答えたため、ねこ丸が代わりに手に持っている袋を見せながら話し、クロツキは二人と共に拠点へと歩き始めた。
「チカちゃんだったんだね~」
「変わってないな~あの人は」
食事の席で手紙のことを改めて話し、クロツキの姉の事を知っている者達はいろいろと喋っていたが、やはり、それ以外のメンバーは驚いていたが、リッカと何も知らないホロは反応が違っていた。
「チカ、ダレ?・・ツヨイ?」
「うん、すごく強いよ」
「ハウ~」
かえでの言葉にホロはテンションをあげ、今すぐにでも会いたいかのような動作をしていた。
「・・・ん?、どうした。具合でも悪いのか。リッカ?」
先ほどから黙っているリッカを心配した暁が声をかけると顔を上げ、クロツキに迫る。
「なんで、言ってくれなかったんですか。チカさんのことっ」
「そ、そう言われてもだな」
「落ち着くのだ。リッカ」
「あんたに言われたくないっ」
リッカに迫られている姿を見たボビーがリッカを落ち着かせようとするが、ツコッミを入れられる。
「落ち着かないとクロ兄、喋れないよ」
「そうだね、ごめん」
ようやく小雪の言葉で落ち着きをとり戻したリッカは席に座り、もう一度クロツキに聞き直す。
「なんで、チカさんのこと黙ってたの?」
「昔にいろいろあったんだよ。チカさんのことで」
リッカの質問に対して黙り込んでいたが、横から暁が代わりに答え、リッカは謝り黙る。
「ごめん」
「大丈夫だよ」
「・・・・・」
話しはそこで終わり、長い沈黙が続いた、そしてそれぞれ食器を片付け部屋へと戻る。
「ふぅ」
深く息を吐きながらベットに座ったクロツキは報告会の時にまとめた書類をバックから取り出し改めて目を通し始める。
「・・・魔道教団に狩猟兵団か」
各地方で急激に勢力を伸ばし、支部が立ち始めたギルドのこと名を呟くと同時に報告会での内容を思い出す。
(魔道教団は裏で怪しいことをやって、大きく成長した闇ギルドって言ってたよな。こっちは、確か世界ランカーの上位が数人入っているギルドか―――)
「開いてるよ」
書き忘れが無いかを確かめながら、書類に目を通しているとノックの音が聞こえたので声をかける。
「うん、入るね」
扉が開くと同時にリッカが申し訳なさそうに入って来た。
「どうした?」
「謝りたくて」
バックからグラスとジュースを取り出すと、クロツキはリッカに指さしながらソワーにテーブルを挟む形で座り、リッカと共に飲み始める。
「慣れてるから、大丈夫だよ」
明らかに気を遣った言葉に頷きながら、リッカは喋り始める。
「チカさんには駆け出しの頃、助けてもらった恩があってね。いつか御礼がしたいと思ってたから、まさか、チカさんの関係者だとは思わなくて、ね」
飲みながら話を聞くクロツキは、時折頷いたりして、話を聞いていたが、ジュースが無くなったぐらいで、リッカの話も終わり、もう一度謝った後、リッカは部屋を出て行った。
「・・・・やっぱ、姉さんには適わないな」
姉の凄さを感じながら、クロツキはベットに横になり意識が遠のいて行くのだった。




